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女性たちやご家族に寄り添うサービスを展開〜保育所経営 金森律子さん

「自分の人生の主人公は自分自身だという意識を持つことが自立につながる」

「自分と同じようなお母さんたちを救いたいという想いがある」


自分の周りから良い環境を作り、拡げていく」。
「自分らしい選択をしていく」
仕事への想いや公私のバランスなどについて伺い、お人柄や魅力に迫りながら、良い環境づくりのヒントを探っていくインタビュー企画の第3弾です。


今回ご紹介するのは、
岐阜県大垣市で企業主導型保育所、訪問保育・訪問看護ステーションを経営されている、株式会社リリフル代表取締役の金森律子さん

女性たちが自立して生きていけるよう、こどもから高齢の方までの支援サービスを提供し、トータルで女性たちやそのご家族に寄り添う事業を展開されています。全てを受け入れてくれるような優しい眼差しと、軽やかな行動力を併せ持つ金森さんに、事業を始めたきっかけや思い、活動の広げ方、これからの目標や公私のバランスのとり方について伺いました。

金森律子(かなもり りつこ)さん

岐阜県大垣市
株式会社リリフル代表取締役

ピックアップ! 金森律子さんの”言の葉”

●「あなたは一人じゃないよ」というメッセージと共に、背中を支える存在になりたい
●根底には、自分と同じようなお母さんたちを救いたいという想いがあった
●想いのある方たちと一緒に仕事をしたい、個人を大切にしたい
物事を成していくには想いが大切
行動した先に、作りたい未来が見えてきて、自分のやりたいことも実現していける
●働く場所を作ってみて、女性たちが成長していく姿を見るのが幸せ
●これから先、何が起こるかわからない、不安があるなかで、女性として自立していくということは大切なテーマ
自分の人生の主人公は自分自身だという意識を持つことが自立につながる
●自分はどう生きたいのか、どんな人生を送りたいのか
●こどもたちの表情を見ていると、誰かを思うことそれ自体がS D G ’sなんだということを強く感じる
●こどもの姿を見ながら接し、こどもが成長した時に後悔をしない子育てをしたい

初めての地での子育て

株式会社リリフル代表取締役の金森律子さん。企業主導型保育所を経営、訪問保育や訪問介護にも力を入れています。看護師やベビーサイン、メディカルアロマ等の資格をお持ちで、特色のある保育所経営をされている金森さんの「始まり」のお話を伺いました。

金森さんは臨月の時期に大垣市にお引越し。「引っ越してきて最初のうちはとても不安でした。身内もいない、友達もいない、初めての子育てで」。

赤ちゃんを抱えながらだと美容院にもなかなか行けない、買い物にも難儀していたと話す金森さん。そのような中、地域のカルチャー講座でベビーサインの講座に出会います。

ベビーサインとは、まだおしゃべりできない赤ちゃんとパパ・ママが、ジェスチャーやアメリカ手話のような動きで会話をする方法です。
「それを育児に取り入れ、娘もたくさんサインを覚えてくれて、まだしゃべれないのに表現してくれたという体験をし、育児をしながらベビーサインの講師を取得しました」。

そして、ベビーサインの講師として10年間活動された後に、看護師としてのご復帰を決意しました。「その時に、保育園に看護師さんがいないことにびっくりしました。低年齢は病気にかかりやすかったり、急変しやすかったりもするので、園に看護師がいると良いのにとその時に思いました」。

企業主導型保育事業への応募

看護師としてお勤めされている時に「たまたま企業主導型保育事業の募集があるということを聞いた」と金森さん。
「園に看護師がいると良いのでは」と思っていたことや、育児経験、ベビーサイン講師の経験、もともと赤ちゃんが好きだということなどが複合的に繋がり、応募に踏み切ります。
「幸いにして企画が通ったので、思い切って株式会社を設立し、地域のために貢献しようと思いました」。

金森さん:応募した動機として、根底には、自分と同じようなお母さんたちを救いたいという想いがありました。美容院へ行くにも、買い物をするにも大変なお母さんたちが、「ちょっと見てて」と言えるような場所を作りたい。と。働くお母さんたちへの手助けがしたいとも思いました。
「あなたは一人じゃないよ」というメッセージと共に、背中を支える存在になりたいと強く思ったのです。

個人の「想い」を大切にした仲間集め

株式会社設立当初は、ベビーサインの講座を受講してくれていたママさんや、主催する市民活動団体の活動で知り合った仲間に声をかけたと話す金森さん。
「もちろん保育のプロの方も採用しましたが、保育の現場が未経験の方も多く採用しました。私は、チャレンジしたい人や想いのある人たちと一緒にやりたかったのです」。

金森さん:低年齢の少人数保育で、人間形成の大事な時期なので、その子が安心して来られる場を作るために、こちらも「個人」を大切にしていきたいと考えました。
どこに子どもを預けるか…ではなく、誰にこどもを預けるか…ということをすごく大事だと思っていまして、「お母さんたちが安心して預けられる人」というところを重視して採用をしました

物事を成していくには想いが大切

「会社でもボランティア活動でも言えることは、物事を成していくには想いが大切だということです」。想いが集まり、いろいろなアイデアが生まれ、輪が広がっていくという経験をされたといいます。

金森さん:私が最初に市民活動をした時も、「被災地に物資を届けたい」という目標はありましたが、その活動自体は、「私たちにできることは何か?」といった想いを持った人たちで成り立っていました。一人では達成できないけれど、想いが集まっていくと、いろんなアイデアが生まれ、輪が広がっていくという経験をしました。
だから、「想い」というのはとても大切なことだと思うのです。

行動した先に、作りたい未来が見えてきて、自分のやりたいことも実現していけるのだと思っています」と話す金森さんの人生プランには、保育所を経営することはありませんでした。「何か社会に貢献できることはないか、お母さんたちの応援サポートがしたい、という想いが今、形となっているだけだと思います」と全てを包み込むような優しい表情で話します。

金森さん:経営者としてはまだまだですが、「ああ助かった、金森さん」と言ってもらえるだけで、私は頑張れます。そう言ってくださる人がたった一人でも良いと思っています。また、働く場所を作ってみて、女性たちが仕事ができて幸せとか、充実しているなどの言葉を聞いたり、女性たちの成長していく姿を見るのが幸せです。

自然な「香り」を大切にしている保育所

金森さんが経営する保育所には、ほっとする香りが。保育所の特徴の一つとして、「香育」を掲げていらっしゃいます。
「私自身がメディカルアロマの資格を持っていて、低年齢のうちから本物の木や花の香りを知っておくということを大切にしています」。
「香りとともに思い出を」というフレーズを掲げていらっしゃる金森さん。「このアロマの香り、あそこの保育所だ」というふうに安心感を香りと共に覚えていてほしいと語ります。

金森さん:看護師でありながら、実は、薬はあまりおすすめしたくないと思っています。薬は口に入れて、腸で吸収してから体にまわる過程で、時間もかかりますし胃や腸を荒らしてしまうこともあります。もちろん重症なケースは別ですが、ちょっとした熱だけで病院に行って、すぐに薬に頼ることはあまり好きではありません。
熱を出すことも、嘔吐や下痢で体に不要なものを出すということも、自分自身の治す力なので必要な働きですいろいろな菌を拾って、多様なウイルスと闘って、小さいうちから免疫を作っておくことが大事だと思っています。

保育所では、ちょっとしたケガや虫刺されなら、メディカルアロマでケアしているとのこと。保護者の方にも、アロマオイルの効能や用途に応じたクリームやスプレーの作り方などを教えてくれるとか。
すぐに薬に頼るのではなく、天然100%アロマオイルを用いてこどもの痛いところやかゆいところに手を当ててさすってあげることをお勧めしています」。

金森さん:手を当てるという行為が、子どもにとっては、「お母さんが治してくれた」「お母さんがいてくれるから大丈夫」という信頼感や安心感に繋がります。仕事と両立をして忙しいママたちにとって、病院へ行かずともアロマで症状が緩和したり、子どもにとって安心感につながったりする上、「お母さんが薬を作ってくれた」「お母さんはすごい」と子どもは思うので、一石二鳥となるわけです。

ーーメディカルアロマの調剤の仕方も教えてくださるんですか?

金森さん:もちろん。

ーーそれは親御さんたち、嬉しいですね。なんだか魔法使いになったように思えるんじゃないでしょうか。ジブリの「魔女の宅急便」の、キキのママのように(笑)

金森さん:そう、そう、そう、そう(笑)まさに「キキのママのようになれますよ〜」と言いながら、お母さんたちの背中を押しています。

「保育所では、テーブル拭きや手指消毒・虫よけなどにもアロマを使用しています」と金森さん。
金森さんご提供

自分の人生を生きる女性たちの環境を支えていく

働くお母さんたちのための働く環境づくりを事業展開として考えている、と金森さん。
「これから先、何が起こるかわからない、不安があるなかで、女性も自立していくということは大切なテーマです。自立といっても、バリバリ働いていこうということだけではなくて、自分の人生の主人公は自分自身だという意識を持つことが自立につながると思っています」。

「女性はつい家族のため…子どものため…とばかりで、自分が本当にしたいことや好きな仕事をしている人は多くはありません。自分はどう生きたいのか、どんな人生を送りたいのか」。

「私たちの事業では、自分の人生を生きる女性たちの環境づくりを支えていきたいと考えているのです。」

金森さん:具体的には、訪問保育、訪問看護を始めました。コロナ禍で休園を強いられた時、お母さんたちが困っているのに何もできないなんて…と、すごくジレンマを抱きました。そこで、「私たちが出向けばいいんだ」と思い、訪問保育を事業化しました。今は、ご家庭のほかにも、ママ対象のレッスンや企業様の会議などに託児として出向いています。
訪問看護のきっかけは、親御さんがコロナにかかり困っているスタッフがいたことでした。私たちは、地域のなかで身近な存在として、訪問看護ステーションのハードルを下げ、保育や介護を理由に働けなくなる女性を少しでも救って自分らしい生活ができる環境を整えたいと思っています。

地域みんなで共に生きる

「”高齢者を高齢者にしたくない”というのが自分の中のテーマとしてあります」。
高齢の方たちにも、目標やミッション、やりがいを持って生涯現役で元気に活動していただきたいと話す金森さんの事業では、65歳以降も働ける職場環境づくりを視野に入れているとのこと。
「こどもたちや働く親御さんたちにとっても、経験豊富な方々がフォローしてくれるというのはとても心強いことだと思います」。

金森さん:今は、地域で子育てをするスタイルが見直されています。住んでいる身近な町で、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に生活をする、そういったまちづくりを今はすごく考えています。昭和の社会に戻るような、地域みんなでともに生きるというような、まちづくりができるといいなと思います。

ーー地域での活動といえば、地域の中で農園をお持ちでしたよね?

金森さん:そうなんですよ。近隣の方の駐車場の一角をお借りして、「リリフルファーム」としてこどもたちと一緒にお野菜をつくっています。トマト、きゅうり、オクラ、さつまいもが今年は収穫できましたね。いつも地域の皆さんには見守っていただいています。徐々にコロナも落ち着いてきて、子どもたちと地域の皆さんが交流できる機会を積極的に作っています。

マーブルクレヨンプロジェクトでSDG's

こどもたちと一緒に、S D G ’sを絡めた「マーブルクレヨンプロジェクト」も行っている金森さん。家庭で使わなくなったクレヨンを使ってマーブルクレヨンとして再生し、提携企業様で使わなくなった布で可愛く包んで、事業につなげています。

2021年度は、小学校をはじめ地域の方々がクレヨンを集めてくれて、4か月で1800個ほどのマーブルクレヨンが作れたとのこと。それを、大垣市内の全小学1年生に寄贈しました。今後は大垣市内の小学校でS D G ’sの体験授業として行っていこうと考えているとか。

金森さん:マーブルクレヨンをつくっているこども達の様子を見ていると、ただ作るだけではなくて、誰かのために作り、それを贈るという行動に喜びを感じていることがわかります。それは体験としての力だなと強く思うんですね。「自分で作れた」という自信にもつながっています。
こどもたちの表情を見ていると、誰かを思うことそれ自体がS D G ’sなんだということを強く感じます。

子どもたちが作ったマーブルクレヨン
マーブルクレヨンプロジェクトでは、たくさんのクレヨンを集めていただきました

公私のバランスのとり方

プライベートでは、お二人のお子さんのお母様。常に心掛けていることは、こどもたちに対しては絶対に不安にさせないということです。

金森さん:こどもたちに「できない約束はしない」ということは意識しています。こどもたちはよく、「仕事をしているママが好き。頑張っているから私たちも頑張れる」ということを言ってくれます。
私にとっては、こどもたちが毎日元気に学校に行き、元気に帰ってきてくれる、今日あった出来事を話してくれるといった当たり前のことが、自分の元気の源になっています。

「こどもが笑顔なら、自分も笑顔なんだなと思えますし、こどもを見て、自分を振り返るようにしています」と金森さん。こどもは自分の鏡なので、こどもがもし荒れていたら、自分のせいかなと思うとのこと。荒れているということは、自分に対して何かメッセージを発しているということだと捉え、真摯に向き合っています」。

こどもたちへ伝えたいこと

「諦めない、いつでもチャレンジはできるんだという姿を、自分自身がこどもたちに見せていけたらいいなと思っています」。

自立して人生を歩んでいける力はこれからの時代にますます必要になってくると金森さん。自立するにはやはり根本の「想い」が大切で、「人を幸せにしたい、笑顔にしたい」とか、「人のために何かをしたい」という思いを持てる子に育っていってほしいと語ります。

金森さん:先日、こどもが「班長になった」と報告してくれまして。「1年生と手を繋いであげて、頑張るんだ」と嬉しそうに話してくれました。
私にとっては、それだけで「大きな丸」をあげたい気持ちなんです。
小さなことでも良いので、人のためになる目標を見つけて頑張っていけたら、おのずと自立していけると思います。

働く親御さんたちへ伝えたいこと

「どんな親御さんたちも頑張っているので「大丈夫ですよ」と支えてあげたいし、お子さんたちにとっても安心させてあげるのが何よりかなと思います」。

「自分が良いと思うこと、自分がされたら嬉しいことというのは、絶対にこどもにとっても嬉しいはずです。子育ては参考書には載っていないこともたくさんありますが、こどもの姿を見ながら接し、こどもが成長した時に後悔をしない子育てをしましょうと、親御さんたちにはお伝えしています」。

むすびに

あたたかな包容力で、そばにいるだけで「大丈夫だ」という安心感を抱かせていただける金森さん。働く女性たちが安心して生活できるような支援を通じて、背中を支えてくださっています。今後は男性向けの支援も視野に入れていらっしゃるとのこと。想いを大切に、地域の方々やパパさんママさんと丁寧に関係を築いていらっしゃいます。

自分の人生の主人公は自分自身だという意識を持つことが自立につながる

自分はどう生きたいのか、どんな人生を送りたいのか

優しくあたたかな雰囲気から発せられる力強いお言葉が、まるで背中を押してくれているように感じられます。自分の想いをしっかりと持って前を向いて歩んでいく勇気をいただきました。


ISSHO NIは、ひとりひとりが大切にされ、みんなで幸せを共有しながら子育てできる文化・環境づくりを目指して発信しています。自分の軸を大切にしながら良い環境をつくり、想いを持って活動されていらっしゃる方々から様々なヒントをいただいています。

取材を通じての協業も始まっています。

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※ISSHO NIの理念とは異なるお話があった場合は、残念ながらご希望に添えないこともありますのでご承知おきください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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