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マトリックスは現実の世界へ

科学技術は、私たちの生活を便利にしてくれています。科学技術の発達は、私たちの生活レベルを上げていくうえで、必要不可欠のものだったと言えるでしょう。ところで、この科学技術の発達が、どこまで許容されるべきなのかという問題について、そろそろ真剣に議論される必要があるかもしれません。

2020年、Facebook傘下のOculusは、新しいVRゴーグル・Oculus Quest2を発売しました。実際に使ってみると分かりますが、視覚全体を支配されると見えている世界が全く変わることに驚かされます。

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例えば、通常、人間は下を見ると自分の体が見えます。これは生まれてきてから、ずっとそのように生きてきているので、下を向いて自分の体が見えないという体験はしてきていません。しかし、VRゴーグルをかけて下を見ると、自分の体が見えないということが起こります。まずそれにびっくりするわけです。

もう少し進んで考えると、そこに架空の体(例えば、サイボーグのような機械の体)が映るようになっていたら、自分の体がサイボーグに変えられたような感覚に陥ることになります。手を目の前にかざして、「グー、パー」と動かすと、その機械の手が「グー、パー」と動くのです。完全に自分の体はサイボーグになってしまったかのような錯覚を覚えます。

ただ、VRゴーグルはまだ少し重量があるので、あまり長続きはしません。適当に遊んだら、ゴーグルを外して、現実の世界に戻ります。

さて、問題はここからです。VRゴーグルは重いですし、脱着も大変なので、いずれ脳に直接信号を送るようになるかもしれません。そんなバカなと思われるかもしれませんが、夢物語ではないのです。こちらはNTTコムウェアのウェブサイトからの転載です。

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例えば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の機器とブレインチップを直接つなぐことで、VRやAR機器からの信号をブレインチップで受信して、脳内で再現することや、反対にブレインチップから信号でVRやARの機器を操作することもできると考えられています。つまり、ブレインチップにより思考するだけで、VRやARの空間に入ってけるようになるのです。
※NTTコムウェアPLUS「感覚を共有する、考えただけで機械を操作できる 「ブレインチップ」で暮らしも仕事も大きく変わる」より引用

つまり、脳にチップを埋め込むことで、VR世界は実現できるということです。こうなると、いちいちVRゴーグルを外す必要はありません。逆にVR世界から抜け出すことが難しくなることすら考えられます。

こうした研究は、報道されるレベルでも、かなり進んでいることが推察されます(報道されないレベルでは、どこまで進んでいるのか不明です)。

今のところ、脳にチップを入れる動機づけとしては、脳性まひやパーキンソン病など病気の治療に使うというものが、主だったもののようです。さらにもう少し踏み込んだものでいうと、脳で思い浮かべただけで、文字入力やスマホを操作するといったものがあるとのことです。

そういう意味では、脳にチップを入れたからといって、即、そのチップを入れられた人が遠隔操作をされるとか、洗脳支配されるとかいうことではないと思います。しかし、必ずしもそれはSFの世界でもないということを知っておく必要もありそうです。

以下のイラストは、内閣府で進めているムーンショット計画のページに掲載されているものです。

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時間・空間、身体、脳から解放されてしまって、私たちはいったいどこに存在するのか?そもそもこの世に生きているのか?くらいの疑問が湧いてしまうほど、パンチのきいた言葉が踊っています。これを「便利で素晴らしい世界」とみてよいものか疑問です。

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ムーンショット目標1「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」の中身をみていくと、人間が肉体的にはほぼ動かなくても、いろいろな活動ができる社会を目指しているようです。こうなってくると、脳に埋め込んだチップを通じた活動だけで、ほとんどのことが事足りてしまうのではないでしょうか。

そして、当然、このように双方向コミュニケーションが可能なチップが埋め込まれるようになれば、これを行政や特定の人々が管理することも容易になってくるでしょう。私たちの記憶も、本当の記憶かどうかわからなくなるはずです。そうなったら、人間は脳だけを提供し、そこで完全管理される世界もみえてきます。そこに私たちの「自我」というものが存在するのかすら疑問です。

こうした議論が、政府内で行われているということ自体、既にオカルトがオカルトではなくなったことの証左ではないでしょうか。

アメリカのシドニー・パウエル弁護士が「日に日に、映画マトリックスは本物だと実感している」と発言したとされています。

彼女のこの言葉が、どのような意図から発せられたのか、私も未だによくわからないのですが、もしかしたら、今回取り上げたような脳内チップの話をしているのかもしれません・・・。





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