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Marketer‘s Note:外資系マーケターが伝える仕事の魅力 Vol.3

外資系企業でマーケターとしてご活躍の方々に「仕事の魅力」「キャリア」についてお伺いしていくインタビュー。今回は、世界の化粧品業界のリーダー『日本ロレアル』小野田 遼平さんです。(聞き手:鈴木玄

日本ロレアル株式会社は、「すべての人生に、美しく生きる力を。世界を日本へ。日本を世界へ。」という企業理念のもと事業を推進。ロレアルグループにおいて日本ロレアルは、戦略的な市場として位置づけられ、日本のみならず、アジア、グローバル市場のためのイノベーション拠点という役割を担い、アジア初のリサーチ&イノベーションセンターや、アジア唯一のラグジュアリーブランドを製造する工場を有する。その強みや独自性は、革新的な製品と高品質なサービスにあり、美に対するさまざまなニーズや願いに応え、美を通じて心豊かに自信を持って生きる人々を応援しています。

デジタルの強みを活かし「メイベリン ニューヨーク」のカテゴリー責任者へ


プロダクトを通じて人が輝く瞬間を届けたい

Q:日本ロレアルに入社するまでのご経歴を教えてください。

中学高校と父親の仕事の関係で4年ほどベトナムに住み、インターナショナルスクールに通いました。ベトナムがドイモイ政策(社会主義に市場経済システムを取り入れる政策)を経て、工業化と近代化を進めている時でした。現地での刺激的な生活を通じて、さらに多様な文化的背景を持つ仲間と切磋琢磨して勉強し、視野がぐっと広がりました。その後、大学ではソーシャルイノベーションを学びました。買い手・売り手・世間の「三方良し」を実現し、単純なお金儲けではなく、世の中にポジティブな影響を与えられるビジネスとは何かを考えるようになりました。また、将来的には、人生を豊かにする・自己実現を後押しする、そんなプロダクトやサービスをグローバルで展開する仕事をしたいと強く思うきっかけになりました。

大学卒業後は、香水をはじめとした香り商材に力を入れているフィッツコーポレーションに就職しました。

理由としては、まず香水というプロダクトの面白さにあります。香水自体は、生活の必需品ではありません。目にも見えません。しかし、気分やオーラを演出することができ、人生を豊かにし、コミュニケーションの潤滑油にもなりうるものです。そのコンテンツ性が非常に面白く、好きだなと思えました。また、海外のブランドを輸入販売するだけでなく、日本でも製品開発を行いグローバル展開している点にも興味を抱きました。「社会人としてすぐに活躍したい」という想いがあった私にとって、小規模な組織で幅広い仕事を早く任せてもらえそうな環境、業界No.1を狙えるのではと感じる香水業界の可能性に魅力を感じ、フィッツコーポレーションを選びました。


Q:新卒で入社した会社では、どんな仕事をされましたか?

4年ほど在籍し、最初の2年は営業、残りの2年はブランドマネージャーを経験しました。営業時代は、EC企業へのルート営業からはじまり、専門店や百貨店の香水売場も担当しました。お客様に一番近い現場で学ぶことができ、行動の成果を短期スパンで見ることができたので楽しかったですね。

ブランドマネージャーへの異動後は、海外の香水ブランドを担当しました。日本での販売計画を練り、ブランドを大きくするのがミッションでした。1ブランドにつき担当1人の少数精鋭組織でしたので、需要計画などの物流や宣伝販促までの幅広いプロセスに携わりました。振り返ってみると、この頃の「折衝する」経験での学びは大きかったですね。海外ブランド製品が日本市場にマッチするとは限りません。いかに製品の持ち味を理解し、日本で展開するか。ときにはコンセプト、香り、パッケージの変更を提案することもありました。変えなければいけない点をどうやって海外メーカーなどの関係者に理解してもらうのか。ブランドマネージャーとしてオーナーシップをもって折衝し、相手に理解してもらい、物事を進めていく経験を積むことができました。この経験は今にも活きています。


Q:日本ロレアルへの転職のきっかけは何だったのですか?

ブランドマネージャーとして働く中で、マーケティングを体系的に学びたい、と思うようになりました。また、海外メーカーと仕事をしながら、海外のブランドだったらどんなふうにビジネスを作り上げるのか興味が湧きました。グローバル展開するブランド側で市場を理解してみたいと思ったんですよね。それが転職のきっかけです。

ロレアルは、お客様を理解するためのリソースが豊富です。フォーカスグループインタビューやコンシューマーテストといったお客様に関わる情報を収集するノウハウを多く保有しています。それまで携わってきた香水と、ロレアルの「フレンチ」というエッセンスに親和性が高かったのもよかったですね。プロダクトやサービスで、多様な人々に輝く瞬間を与えたい。さらに、それを国際的なレベルで展開していきたい。それは、私が仕事を選ぶ原動力です。ロレアルは、世界no.1の化粧品会社であり、それを十分に実現できそうだと感じられたのも大きかったです。


信頼できる裏付けとストーリーで製品を訴求する

Q:日本ロレアルでの仕事内容を教えてください

コンシューマー プロダクツ事業本部「ロレアル パリ」ブランドのヘアカラーのプロダクトマネージャーとして入社しました。「ロレアル パリ」のヘアカラーカテゴリーでビジネス規模が大きいのは、白髪染めです。前職では10代や20代をターゲットにしたブランドを担当していたため、改めて消費者を理解するチャレンジとなりました。女性向けの製品は自身がターゲットとならない場合もあります。店頭に足を運び、お客様の声を聴き、自分でも使用感を確かめながら、身をもって製品の良さを語れるようにしていました。

1年半後にヘアカテゴリー全体を統括するグループプロダクトマネージャーに昇進。3年ほど経った後、アクティブ コスメティックス事業部へ異動し、マーケティングマネージャーとして「ラ ロッシュ ポゼ」ブランドを担当しています。スキンケアは初めてのチャレンジでしたし、ラ ロッシュ ポゼの成長ポテンシャルにも興味がありました。

続きは、下記からご覧ください。

Q:担当されている「ラ ロッシュ ポゼ」は、どのようなブランドですか?

Q:他の化粧品とは違う特徴のあるブランドですが、どのようなマーケティングを行っていますか?

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