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人事×経営 〜人事戦略を語る note.2

企業の成長を支えるのは人材です。人事トップに人事戦略、その背景にあるビジネス戦略を伺いました。どのような組織・企業文化をつくっていくのか、どのように人材を育成するのか、どのような人材を採用するのか。インタビューを通して探ります。

Keyword:人事デューデリジェンス

デル テクノロジーズの総合戦略、今後の積極採用

デル株式会社 人材採用部長 田和健介氏

Dell Technologiesは、Dell、Dell EMC、Pivotal、RSA、Secureworks、Virtustream、VMwareという世界をリードするテクノロジーブランドが一堂に結集した会社です。デジタルトランスフォーメーションを推進する原動力を備え、日々、お客様やパートナーとして連携する方々のために確かな成果を生み出しています。

日本に大きな投資を行う準備がある

Q:デルに入社するまでのご経歴を教えてください。

大学では最後の1年間どん欲にさまざまなことにチャレンジしました。NGOボランティアとしてチベットに赴き、炊き出しや子どもの勉強サポートを行うなど、大学のうちにできることは全部やろうという気持ちで色々なことに取り組みました。そのきっかけは、就職活動でした。色々な経験をして重みのある言葉を発する同年代に出会い、刺激を受けましたね。自分が彼らから尊敬されるような存在になるにはと考え尽くした結果、「とにかく経験から学ぼう」と思い行動していました。

就職は富士通に。富士通に決めたのは、IT業界に大きな可能性を感じていたこと、また、関西出身の私にとっては漠然と東京の企業で勝負してみたかったこと、そして富士通の改革精神に惹かれたからです。なかでも当時採用担当の先輩社員の格好良さに憧れ、先輩の所属する人事部を希望し、めでたく配属となりました。

当時の富士通では、人事部配属の新人は、最初の3カ月、全員が新卒採用担当になりました。面接を受けに来た学生を控え室にアテンドする業務など、誰でもできるような仕事から少しずつ任されました。段階を踏みながら、主体的にチャレンジできる場を用意してくれたんです。その後も、異動・出向・登用・昇進を経験する中で、組合交渉・リストラ・年末調整・M&Aなど、あらゆることを実践・経験させてもらいました。この4年半ほどで、身をもって人事のスコープの広さを知り、人事の基礎を固めることができたのは、本当に幸運なことでした。

その業務の1つ、M&Aに興味を持った私は、M&Aの世界でチャレンジしたいという気持ちが強くなり、ベンチャーのファンド企業を経て、米投資銀行グループに移りました。M&Aチームに所属し、「人事デューデリジェンス」を担当。買収候補企業の人件費は最適な状態にあるか。人事上の隠れ債務はないか。キーパフォーマーが誰で、どのような組織にしていけばより価値の高い企業にできるのか。こうしたことを次々に査定し、人事面から見て、買収する価値がある企業かどうかを見極めていきました。私はここで、人事スキルを活かしながら、ビジネスの現場に立ったわけです。難しかったのは、積極的に攻めながらも、現実的にビジネスを成立させる提案をつくること。保守的で安易な提案も、積極的に攻めすぎて実現不可能な提案もよくないのです。上手にビジネスを成立させ、大きな利益を出すのがどれほど難しいかを知ることができた。これは、自分のキャリアにとって大きなことでした。

さらに、リーマンショックが起こって組織が再編縮小していくなかで、私は数字のセンスを買われてアンダーライティング(投資分析)、アセットマネジメントまで任されるようになりました。これらは投資銀行においてはひとつの花形業務であり、ビジネスのフロントエンドです。同時に、見た目の華やかさとは違い、実は泥臭い側面も数多くあります。そんな環境のなかで、本当に自分の専門領域をそこに定めるのか考える時期がありました。そんなとき、当時、日本マイクロソフトにいた元同僚から人事として誘われたんです。私は思いきって転職を決断しました。そこには、いったん少し人事からビジネス領域にキャリアをシフトしたけれど、やはり専門職としての人事を極めたいという想いがありました。

日本マイクロソフトでは、前半は営業部門のHRマネージャーとして、GMとともに中長期戦略の立案に臨みました。私は米投資銀行グループで現場を経験し、営業の大変さや苦労を自身で感じてきました。どれだけ大きな目標を達成しても、期初にはまたゼロから始める。それを繰り返す営業に、私はいつも強い尊敬の念を抱いています。HRでありながら、このような気持ちを抱いていることで、私はGMはじめ現場の社員と打ち解けることができましたのだと思います。後半は人材採用部長として、採用の仕組みづくりに力を入れました。日本マイクロソフトは総じて思慮深い人が多く、周囲から学ぶものが多くありました。採用部門のリクルーターたちもみな素晴らしく、いったん仕組みを作ったら、あっという間に好循環が生まれていきました。そのうち私にしかできないことが段々少なくなってきた気がしました。それでデルに転職してきました。2019年4月のことです。

私はデルでも引き続き、採用部門の責任者を務めています。採用の現実的な最適解を導き出すパートナーとして、社内のあらゆる部署と連携を取り合うチームです。採用人数・期間・求める人物のポジションやスキルレベルなどによって、採用広告・エージェント・社内採用・リファラルリクルーティングなどを上手にミックスしながら、いくつもの採用プロジェクトを並行的に進めています。

Q:なぜデルを選んだのですか?

最大の理由は、デルが日本を極めて重視しているからです。創業者マイケル・デルは、現在グローバルビジネス全体で4つ柱をおいていますが、そのうちの1つが、実は「日本」なんです。他の3つは国ではありません。そのくらい日本市場に注目しており、大きな投資を行う準備があるんです。そのことを知り、ここなら大きなチャレンジができるだろうと考えました。

その上で、グローバル本社が日本市場の特殊性をよく理解し、私たち日本のチームに大きな権限を与えてくれていることも魅力的でした。私たちは、心置きなく、日本の現実に即した戦略を取ることができる。その仕事の進めやすさにも強く惹かれましたね。

既存のデルのイメージを抱く方は入社したらおそらく驚く

Q:デルはどのような会社ですか?

私たちは、単なるコンピューターメーカーにとどまりません。デル、Dell EMC、Pivotal、RSA、Secureworks、Virtustream、VMwareという世界をリードするテクノロジーブランドが一堂に結集した会社です。特に2016年、、、

日本市場での戦略についてなど、続きは下記からご覧ください。

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(補足:マイケル・デル氏が来日、サプライズ講演 「データこそが人類に力を与え、進化の源になる」IT media 2019年11月08日)

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