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No,245.「中庸の徳とセルフ・コンパッション:バランスを取りながら幸福を追求する方法」の考察


中庸の徳

「中庸之爲徳也、其至矣乎(中庸の徳たるや、其れ至れるかな)」
この言葉は、論語にある孔子の言葉で『不足でもなく余分でもなく丁度適当にバランスよく行動できることは人徳として最高のものであるという意味』

座右の銘として心に置いているのですが、自分の中にある偏見やステレオタイプに抗うも邪念に苛まれているのが現状です( ;∀;)

例えば「他者の持ち物を見て“いいなあ~欲しいなあ」成功を収めた人に対して「目障りだ,どこかに行って欲しい」などと考えると嫉妬や怒りの感情が高まり,その人との関係がうまくいかなくなり悩みの種となることがあります。

これは「自分だけ成功したい。優位に立ちたい」などと自分の欲求ばかりを追求すると、かえって自分自身が不幸になるだろう。

また、家族のため!同僚のため!を思って仕事を頑張るものの、やりすぎて体調を崩してしまい他者に迷惑をかける結果に終わることがある。
これは,他人の幸せを追い求めすぎると、結果的に他人を苦しませる結果となってしまう例といえる。

このように、自分の幸せ!他人の幸せ!
を追求しても、結局は自分も他人も幸せになれないと考えられている。

仏教では、このように自分の欲求を満たすことや自分を苦しめることにより幸福を得ようとすることを両極端とし、両極端にとらわれない中道を体得することが幸福を得られる方法だと考えられている。

他者の成功に対して、嫉妬したり、過剰な同一化をするのではなく,他者の喜びに共感することが中道の実践となる。そうした両極端の感情に対する四つの心の保ち方を慈悲喜捨または四無量心という。

筆者作成

慈悲喜捨

慈(love-kindness)とは、相手の幸福や健康や安楽を願う心のことで,怒りを離れ相手の存在をそのままに受容する心である。
悲(compassion)とは、相手の苦しみや痛みが和らぐように願う心。
喜(empathetic joy)とは、相手の成功や幸福をともに喜びそれらが長く続くように願う心。
捨(equanimity)とは相手の人生の浮き沈みを自業自得の視点から,適切な距離から見守る心である。

孔子や仏教の言葉を実践し体得するにはどうすればいいのだろ。
その一つにセルフ・コンパッションがある。

セルフ・コンパッション

筆者作成

セルフ・コンパッションとは、個人が自己評価や自己受容を含む心理的なプロセスを通じて自己と向き合う際の概念です。
これは、自己の失敗や不完全さを非難や評価するのではなく、同情的な視点から受け入れ、自分をサポートする能力を指す。自己評価や他人との比較に依存せず、内的な共感の機構を活用し、自己価値を保つための戦略であり、ポジティブな認知の再構築や感情調整と密接に関連している。

また、高いセルフ・コンパッションを持つ個人は、自己評価によって自己価値を定義することなく、内部の安定性を維持しやすいとされる。
同時に自己肯定感や自尊心とは異なり、外部からの評価や比較に頼らず、自己内部での認知的な調整と感情調節を重視する。

つまり、自分自身に対して親切で思いやりのある態度を持つことを指し、自分自身に対して同情的で、自分の失敗や欠点を受け入れつつ、自分を厳しく扱わずに温かい心で接することだろう。

セルフ•コンパッションが高い人

セルフ•コンパッションが高い人々は、ストレスを感じた時に、肯定的な認知の再構築に重点を置く傾向があると言われる(前向きに考える)。

また、セルフ・コンパッションが高い人は、ネガティブな情動的喚起である自己愛、特性不安,抑うつになりにくい(負の有意な相関があり)反面、主観的幸福感と自尊心が高い(正の有意な相関)ことがを示されています。

最後に

結局は、自己評価や他人との比較にとらわれず、自分自身を受け入れる優しい心を持つことは、中庸の徳への第一歩だろう。

セルフ•コンパッションを実践することで、自己と他者の関係を健全にし幸福な人生を築く手助けになるかもしれません。

私も中庸の徳を心に留めながら、セルフコンパッションを取り入れてバランスの取れた人生を!とは思っているのですが(;^ω^)

筆者作成

最後まで読んでいただきありがとうございます(^^♪

引用文献

有光興記(2014)「セルフ・コンパッション尺度日本語版の作成と信頼性、妥当性の検討『心理学研究』第85巻 、第1号、pp.50–59

Kristin D. Neff(2011)Self-Compassion, Self-Esteem, and Well-Being:Social and Personality Psychology Compass 5 (1), 1-12,

Ashley Batts Allen, Mark R. Leary(2010)Self-Compassion, Stress, and Coping: Social and Personality Psychology Compass 4 (2), 107-118, 



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