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No,85.Don't think! Feel.(考えるな!感じろ)時の流れについて

時間の流れと精神面(メンタル)についてつらつらと書いてみる。

背景

誰しもこんなことを思ったことがあるだろう。

「楽しいときには時間が経つのが早い(短い)!」

「楽しくないときには時間が経たない(長い)!」

ちなみに私事ですが、自転車(片道1時間)で仕事に通っています。

毎回「いや~今日は早く着いた」「今日はなかなか着かなかったわ」など、日によって感覚が違います(通勤にかかる時間は同じ)。

早く着いた日は「よし!今日は調子がいいわ~」と思い、

長いと感じた日は、「今日は少し調子が悪い」と自分の心理面と向かうようにしています。

まさにDon't think! Feel.(考えるな!感じろ。)byブルースリーということです。※感覚に気づき、思考と感覚の切り替えは大切です。

そのことは、マインドフルネスにも関係するので、興味あるひとは記事を見てください👇


でも、不思議だと思いませんか?時は常に同じ時間(長さ)を刻むのに、感じる時間がちがうのは?

こういった、自分の中で感じる時間のことを心理的時間という。

心理的時間とは


Meck (2005) は,ある出来事が生起してからどのくらいの速さで時間が経過するのか,またはどれほどの時間が経過したのかという主観的な経験を心理的時間 (psychological time)と呼んでいる。

冒頭でも書いたように、物理的な時間(1秒はいつも1秒※相対性理論などの難しい話は別としてください)と心理的な時間(自分の中での時間:体内時計)の差はなぜ起きるんだろうか?

そもそも人間には時間そのものを知覚するための特定の感覚器が備わっていない。そのため,心理的時間は大脳の認知過程により形成される時間意識であり,過去の経験や学習からの影響を受け,人間の記憶を媒介するものであると考えられている(平,1996)。

つまり、過去の経験の記憶によって、ポジティブな出来事やネガティブな出来事という気持ち(心理的状態)を思い出し(喚起)、それによって時間評価(心理的時間)に何らかの影響を及ぼしていると考えられているらしいです。

先行研究レビュー

森田(2011)の研究では、大学生(16名)に不快な(嫌な気持ちになる)写真と快(楽しい気持)になる写真を見せて、それぞれの写真が掲示されていた時間を聞いたところ、不快な写真を見せられた時に掲示されていた時間が長いと答えたという。👇

大学生を対象に,感情価を喚起する画像を一定時間呈示し,1 枚呈示されるごとに表示されていた時間を秒単位で評価するよう求めた。不快条件下での時間評価は,快条件下での時間評価と比べて有意に長くなるという結果が得られ,時間評価は感情価に関連した記憶の情報量,興味・感心,さらに動機づけの強さに影響を受ける可能性が示唆された(森田、2011)。

なるほどね、楽しくないことは時間が長く感じることが実験で示されたけど、例えばボクシングなどの格闘技をやった人ならわかると思うけど、スタミナが切れてきつい状態での30秒はとても長く感じる。実は心理的には不快なことなんだね。

まとめ

森田(2011)の研究でわかるように、楽しいときより楽しくないときの方が時間が長く感じることがわかる。それは、誰しも感じたことのあるいわば感覚。

車を運転する時も感覚を把握していないと運転に支障をきたすし事故を起こしやすいように、

その感覚を知ることにより、自分の感情状態を知り、またコントロール出来る。


最後に

養老孟子氏曰く、科学的実験(客観的根拠)は感覚(五感)と頭の中(意識)との乖離を調整する行為と述べている。

もしかしたら、その乖離が答えのない悩みと捉えるのなら、その意味がなんとなくわかるなと。

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)


引用文献

平伸二 (1996)「これからのアウグスティヌス]松田文子・調枝孝治・甲村和三・神宮英夫・山崎勝之・平伸二(編)『心理的時間―その広くて深いなぞ― 』北大路書房、pp. 501–529

Meck, W. H. (2005). Neuropsychology of timing and time perception. Brain and Cognition, 58, 1–8

森田麻登 (2011)「感情価が時間評価に及ぼす影響」『共栄学園短期大学紀要』第27巻、pp 167–176

森田麻登 (2012)「抑うつ傾向と感情価が心理的時間に及ぼす影響」『パーソナリティ研究』第 20 巻、第 3 号、pp167-178

養老孟子(2017)『遺言』新潮新書、pp47-48



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