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No,40.運動がストレス発散になる理由

「運動がストレス発散になる理由」について

OECDによると,日本のうつ病による経済的負担は110億米国ドル(1兆2千億)で,そのうち69.1億米国ドル(7千億円)は職場でのコスト(うつ病による欠勤や生産性の低下)である。

うつ病の原因とされるストレスとは?

ストレスとは「外界からの生体への刺激、それに対する生体の応答,反応,影響」であると定義してある(二木、2007)。

補足すると、外界からの生体への刺激、シグナルのことをストレッサーといい、それに身体が反応したり、影響することをストレスという。

具体的には、パワハラなどの対人関係や長時間労働などの身体的負担などがストレッサーです。

しかし、ストレッサーを受けつつも辞める訳にもいかないので我慢する。

その結果、

● 心理面では、イライラする、落ち込みやすい

● 身体面では、なかなか疲れが取れない

● 行動面では、人と会うのがおっくうになったり、会社に行きたくない

など、身体に反応としてあらわれることをストレス反応という。

こういった、ストレスを発散するには、運動がいいと言われている。

Byumら(2014)の運動による抑制テストをおこなった。運動をする前より、運動をしたあとの方がテストを解くスピードは上がった。

ストループテスト↓
https://www.my-kaigo.com/pub/carers/otasuke/brain_training/0007.html

しかし、同時に不正解も増えていた。

実は同時に興奮度(心理学では覚醒)も調べていた。その結果、興奮度も高くなっていた。

※興奮度(覚醒)とは、「気分が高揚している激しく動揺しているなど生理的興奮を主観的に経験している状態」と定義している(石淵,2013)。

さっきのByumら(2014)の研究を思い出してほしい。「テストを解くスピードは速くなったが、間違えが増えた」ということです。

興奮度(覚醒)の心理的背景として、覚醒水準が高い状況下においては情報処理資源の節約が図られ、ヒューリスティック(直感的な処理方略)を行うことが示唆されている(Mandler、1984)。

言い換えると、物事を深く考えないで答えていることが示された。

運動後は興奮しているから物事を深く考えられなくなる。
その結果、ストレッサーを考えないようになりストレス発散したとになる。

軽・中程度の運動 → 覚醒 →  ヒューリスティックな処理方略 → ストレス発散

つまり運動は一時的なストレス発散にはなることは科学的に示されています。

しかし、一時的な運動が長期的なストレス発散には寄与しないだろう。

ストレスを感じていることを意識している人はもちろん、意識していない人ほど運動を続けるとも言えるだろう。

面白いのは、運動することをストレス発散と思って、運動しないことがストレスになるのは本末転倒な話もある。



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