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No,81.お酒に強い人・弱い人って何?
お酒についてつらつらと書いてみる。
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私はお酒が大好きなんですが、はっきり言って弱いです。
女性も大好きなんですが、弱いのは同じだな~と・・・ってそんな個人的な話はいいとして、古今東西、お酒については過去の偉人が述べている。
お酒にまつわる語録
▶︎ 「酒百薬之長 、嘉會之好(訳 : 酒は百薬の長、目出度い会合で嗜(たしなむ良きものである)」 by 王莽(おう もう、前45年 - 23年)
▶︎ 「酒は、最も価値ある飲料である。酒は、最も楽しい食品である。酒は、最も美味しい薬である」by ギリシャの医学の祖 ・ヒポクラテス(紀元前5世紀)
▶︎「Good wine makes good blood」by 英語圏の諺
お酒がもたらす効果
▶︎ 食欲の増進(胃液の分泌を促す作用があり、この目的でアペリチーフ(食前酒)として醸造酒などが供される。
▶︎ 本能や情動をコントロールしている脳(脳幹系)の活動を抑制する作用が あり、この目的でナイトキャップ(就寝酒)として蒸留酒やリキュール類などが供される。
▶︎ ストレス解消といった、緊張緩和効果。
があるらしい。また、お酒を適量飲む人は、多量に飲む人や全く飲まない人より死亡率が低い。
またフランスでは動物性脂肪(肉類)の摂取量が高く(虚血性心疾患や心筋梗塞、脳梗塞の原因)、赤ワインの摂取量が世界一なのに、虚血性心疾患による死亡率がきわめて低くい。
つまり、動物性脂肪を多くとる→虚血性心疾患リスクが高くなるはずだが、
動物性脂肪を多くとる→赤ワインを多く飲む→虚血性心疾患リスクが低いということからフレンチパラドックスとよばれている。
※パラドックスとは、一見正しそうに思える理論のなかで明らかに成立しない条件を見つけたり、受け入れがたい結論になったりする状態のこと。
お酒を飲んだ場合、身体の変化
口から入ったアルコ ールは胃の中で約 20%,そして小腸から残りの約 80%が吸収される。そして血液に溶けこんで数分のうちに全身に隈無く行き渡る。体内に入ったアルコールの大部分は,まず肝臓でアルコール脱水素酵素 (ADH)の作用によってアセトアルデヒドに分解される。そしてアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素 (ALDH)の作用で酢酸に分解 (代謝)され,血液によって全身をめぐり,筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解されて体外に排出される(林田・木下、2014)。
アルコール脱水素酵素 (ADH) は,飲酒により体内に吸収したエチルアルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素である。 ADH1Bの 47番目のアミノ酸を決定しているコドンが CGCの塩基配列をとるものはADH1B*1(低活性型), CACとなると ADH1B*2 (活性型)と区別される。日本人を含む東アジアには ADH1B*2が多いとの報告がある。ADH1B *2変異型を保有している人は,エチルアルコール代謝活性が上昇することによりアセトアルデヒドの生成速度が増加するためにアルコール感受性(頭痛,吐き気等の不快感)が高まる(林田・木下、2014)。
例えると武将(アルデヒド脱水素酵素 )を助ける軍師(ALDH2)の能力が低いため、戦争に勝てない(アルコールが弱い)ってことみたいです。
このALDH2は、アジア系人種は弱いか無く、アフリカ系人種やヨーロッパ系人種では安定に正常機能していると言われる。
ALDH2の活性がない人はアジア系にしか存在しないアルコール体質で,アジアンフラッシュと言われている(林田・木下、2014)。
それなら、国ごとに違いがあるのかが気になるので調べてみた。
お酒が弱い国ランキング
※数字が高いほど弱い人が多い国です
![キャプチャ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44833037/picture_pc_3d1f527db31baad5c159f745a61dbaa1.png)
「樋口進編(1996)『アルコール臨床研究のフロントライン』厚健出版より」筆者作成
やはり日本人が一番お酒が弱いみたいです。
では、都道府県別ではお酒の強さに違いがあるのかを調べてみた。
お酒が強い都道府県ランキング
1.秋田
2.岩手
2.鹿児島
4.福岡
5.栃木
6.埼玉
7.北海道
7.沖縄
9.熊本
10.高知
![強い](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44869701/picture_pc_2e382903aec9cd600b83fb4c41551422.png)
お酒が弱い都道府県ランキング
1.三重
2.愛知
3.石川
4.岐阜
5.和歌山
6.大分
7.広島
8.大阪
9.奈良
10.岡山
![弱い](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44869740/picture_pc_e9da6d7b0a985142d291dc10ca7b2220.png)
「ALDH2*1遺伝子頻度による酒に強い県,弱い県のベスト10 中村貴子(2011)筑波大学技術報告より」筆者作成
このグラフをみたら、なんとなくわかる気がする。
ざっくりと示してきた結果から、お酒の苦手な人や体質(遺伝形質)からくることもわかる。
そのようなことを知ることはお酒を飲めない人を理解する良い機会じゃなかろうか。
色々調べていくと長くなるので、ここらへんにしときます。
最後に
改めてお酒が好まれる理由って前述してきた遺伝子タイプを含め、人との交流など複雑な理由がある。
「たかがお酒、されどお酒」
「一杯は人 、酒を飲み、二杯は酒、酒を飲み、三杯は酒、人を飲む」 by 千利休
最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)
引用文献
今泉和彦 ・立屋敷かおる(2005)「飲酒と健康」『体力科学』 第54巻、第号)、pp 9-10
河野友美(1977)「酒と調理」『日本醸造協会雑誌』第72巻、巻7号、pp495-498
秦洋二(2007)「清酒の機能性 : 解明されつつある「酒は百薬の長」」『日本醸造協会誌』第101巻、巻10号、pp818-819
林田真梨子・木下健司(2014)「飲酒と健康一アルコール体質検査と飲酒の功罪ー」『日本醸造協会誌』第109巻、巻1号、pp2-10
中村貴子(2011)「お酒やコーヒーなど日常的飲み物と日本人の遺伝子」『筑波大学技術報告』 第31巻、pp33-38
樋口進(1996) 『アルコール臨床研究のフロントライン』厚健出版
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