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No,76.俺って(私って)イケてるでしょ!的な話。

「人によく見られたい!」といった衝動についてつらつらと書いてみる。


●序論

他人に良く見られたいということは、自分が思っている自分以上の姿を装うってこと。

社会心理学では、自分を装い他人にそのイメージを呈示することを自己呈示という。
その理由は、自分が思いたい自分を他人も共有して欲しいと言ったことから喚起される。このことを自己確証という。

自己呈示とは、他者の目に映る自らのイメージに注意を向け、そのイメージを続制しようとする試みる。

(谷口・大坊、2008)

自己確証とは、自己のすべての側面を理解するために、様々な手段で自己を認識し、肯定するプロセスである。

(堀ら、2020)

例えば、他人に「俺ってさ~昔ワルかってさ~、結構ムチャしてきたわ~」「昔はさんざん女と遊んでたわ~」といった武勇伝を語ったりする(自己呈示)。

つまり自分がワルや遊び人と思いたい、思われたいから他人にフィードバックを求める。他人にそう思われたと確証したなら(この場合、相手が適当に話を合していようが関係ない)、自己確証に変わるってことです。

ちなみに、自己呈示の対義語はありのままをさらけ出すといった視点から、自己開示と言います。

自己呈示・自己確証の例え話を読んで感の鋭い人なら気づいていると思う。ワルと思われたい、モテると思われたいが故に自己呈示をしている。そもそも、昔は本物のワルで今は真面目な社会生活をおくっている人なら、武勇伝的なイメージを植えつける必要ないので自己呈示しない

(筆者、2021)

こういった、どうでもいい例は別として、自己呈示ってみんな普遍的(普通)に使っている。それは、「好きな人や、気になっている人」に対しては、イイ男・イイ女と思われたい衝動です。

「好きな人」に対しての自己呈示について、先行研究をレビューしてみる(前置きが長くてすみません)。

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先行研究レビュー

1.調査対象

430 名 (男性 192 名、 女性 238 名、 平均年齢 20.43、標準偏差1.32 歳)

2.そもそも自分が他人に思われたい自分とは(自己呈示)?

自分が自分自身を見ているのと同じように他者に自分を見てほしい 。

(Swann, Stein-Seroussi, &Giesler, 1992) 

他者に自己概念と一致した理解をさ れることによって社会的相互作用が円滑になるからである。

(Swann, Milton, & Polzer, 2000)

ざっくり言えば、他人が自分の価値観(自己概念)と同じように見てほしいし、何らかの影響で価値観が同じになったら(そう思ったなら)ストレスなしに付き合えるのにな~といった目的ってことです。

好きな人の趣味に合わせたり、合わさせたりする行為も広義的には同じです。

3.好きな人にどこを自己呈示して、また認められたいのか?

・知的能力/ 学業的能力(問題解決の総体的能力/成績優秀)

・ 社会的能力(社会の中で普通に他人と交わり、共に生活していくために必要な能力)

 ・芸術の能力 / 音楽の能力(読んで字のごとく)

・ 運動能力(読んで字のごとく)

・ 外見的魅力(読んで字のごとく)

結果 

⚫︎男性の場合: 女性に比べて、「知的能力」、「社会的能力」、「運動能力」 が高い。

つまり、俺って賢いよ、コミュニケーション能力が高いよ、運動神経がいいよ!ってアピールしてそう思われたい傾向がある。

女性の場合:「外見的魅力」 が他より高い。

つまり、賢さや運動神経なんかより「私ってきれいでしょ!かわいいでしょ!」とアピールしてそう思われたい傾向らしいです。

おわりに

好きな人が正確に判断してくれるとは限らない。が、しかし好きならそう思ってしまうのも世の常。痘痕も靨(あばたもえくぼ)・恋は盲目なんでね。

好いてくれるといった事は、自分の思っている自分を評価してくれなくても好きでいてくれてるといった事から少なくとも自分の評価(自信)は高められるだろうね。

プラスαで、 よくみられたい、および正確にみられたいという気持ちには、「なんらかのつながりを感じたり」「タイプな顔」だったりすると、より一層強固なものになり、恋人関係をはじめ親密な関係を築けて継続できる。

まあ、なんにしてもメンタルも安定するからね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます😊

参考文献

堀彩夏・ 高井秀明・ 岩崎宏次・ 篠原秀典(2020)「自己確証モデルに基づいた大学生アスリートの自己理解に関する事例的検討」『日本体育大学紀要』第49号、pp3049-3053

相馬敏彦 (2005)「親密な関係における排他性が個人の適応に及ぼす影響」『 広島大学生物圏科学研究科博士論文』

Swann, W. B., Jr., Milton, L. P., & Polzer, J. T.(2000). Should we create a niche or fall in line? Identity negotiation and small group effectiveness. Journal of Personality and Social Psychology, 79, 238- 250.

Swann, W. B., Jr., Stein-Seroussi, A., & Giesler,R. B. (1992). Why people self-verif y. Journal of Personality and Social Psychology, 62, 392- 401.

谷口淳一・大坊郁夫(2008)「恋人関係における自己呈示は自己確証的か自己高揚的か」『社会心理学研究』第24巻、第1号、pp11-22

私(2021)「自己呈示に潜む自己確証」『在野研究』第1巻、第1号、pp1




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