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[#30] 語学学校で記憶に残っている授業の話

語学学校で授業を受けた際、驚きとともに記憶に残っていることが、英語の教材やテキストのトピックにエンターテインメントに関する内容がしばしば登場することです。エンターテインメントというかメディアに関する話題というんでしょうか。
まあ、語学学校で使っていたものはかっちりとした教科書ではなく、あくまで英語学習者向けの教材なので、少しでもとっつきやすくするための工夫なのかもしれませんが、日本の教科書でメディアに関する話題に触れているものなんて見たことがなかったので少し衝撃でした。

その教科書で見たトピックの中から、記憶に残っているものを2つ紹介したいと思います。

1.Dragons’ Den

直訳すると"竜の巣”。
BBC(イギリスのNHKみたいな公共放送)で2005年から今も放送されている人気番組です。

この番組の構成は、番組に選ばれた起業家が新しいビジネスアイディアを投資家たちの前でプレゼンし、アイディアが認められれば投資を受けることができる、というリアリティショーです。

このフォーマットどこかで聞いたことあると思いませんか?
そう、これは平成の中頃に「ノーマネーでフィニッシュです」の決め台詞で一世を風靡した"マネーの虎"のイギリス版です。(現在はYoutubeで続編的な"令和の虎”をやっています。)

授業では、リスニングの一環で"Dragons’ Den"を模したやりとりの音声を聞いて、どの起業家のアイディアが採用されたましたか?そしてその理由は?といった問題を解いた記憶があります。
なんかカラフルで変わった形のヘアブラシをプレゼンした人は、番組内で投資家からは賛同を得られなかった(どころかディスられた)けれど、その後自力で大ヒット商品に育て上げた、というひっかけ問題もありました。
「イギリス版マネーの虎も散々ディスった後にノーマネーでフィニッシュするんだなあ」と思ったので、よく覚えています。

調べてみたところ、このブラシはタングルティーザーという商品名で、日本でも買えるみたいです。


日本のテレビ番組のフォーマットがイギリスで大人気となって、しかも日本の本家より長寿番組になってるって面白いですよね。

2.United Breaks Guitars

2008年、カナダのシンガーソングライター、デイブ・キャロルさんは、アメリカ内の移動にユナイテッド航空を使用した際、預けた大事なギターをスタッフにぶん投げられ、壊されてしまいました(その様子を他の客が窓から見ていたらしい)。デイブさんはユナイテッド航空に弁償せい!と猛抗議をするも取り合ってくれません。

仕方ないのでデイブさんはこの体験を曲にすることにしました。
曲名は”United Breaks Guitars”。(ユナイテッドはギターを壊す)

軽快なカントリー調の音楽に乗せ、きれいなコーラスを携えて、笑顔でユナイテッド航空にギター壊されたよ〜って歌い上げるデイブさん。その後ろで投げ捨てられるギター。

この曲をYoutubeで発表すると、たちまちバズり(ちなみにバズるは英語で言うと"go viral”、ウイルスみたいに広がる的なニュアンス)、3日で50万回再生を超え、1ヶ月半後に500万回再生、2023年5月現在は2250万回再生を超えています。

曲がバズった影響でユナイテッド航空の株価は大暴落。
事態の広がりを無視できなくなった同社は「この曲を社員教育に使わせてほしい」とデイブさんに申し出たそうです。

かなり有名な話みたいなので、見聞きしたことある方も多いのではないでしょうか。

生存バイアスというか、世界中で日々とんでもない数が起きているトラブルのうちの1件なので、これで全てを語るのは暴論だとは思いますが、なかなか日本では起こらない発想に思えます。クレームをユーモアで表現することっていうのもあまり聞かないですし、その回答として会社の改善に使わせてもらいますっていうのも似た事例が思いつかないですね。個人の被害者側がバズって大企業に立ち向かうっていう構図がウケたんでしょうか。

こういうメディアもので日本が対抗できることで思いつくとしたら、メグミルクの私だって寝てないんだ社長とか、船場吉兆のささやき女将とか、野々村元議員とか、単独で成立しちゃってるユーモア(と言って良いのか)でしょうか。海外でもあるのかな、もはや笑うしかないおもしろ会見。

なんか最後は話が変わっちゃいましたが、ではまた。

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