3.6 買えない人によくある間違った買い方

不動産業界で10年近くキャリアを積んできましたが、株投資でいうドルコスト平均法と同じように、いいときも悪いときも、コンスタントに買い続けられる人は規模拡大できています。規模拡大できる人と買えない人にはどういった違いがあるのでしょうか。個人の属性が低い、自己資金が少ないから投資できないというのは、銀行の選び方が間違っているのか、評価が低い物件を打診したのか、何かしら、やり方に問題があるのだと思います。

まず、考え方の違いです。「買えない」人は、どうやって買うかを考えるのではなく「買わない理由」を探します。今は「物件価格が高いから」「融資が厳しいから」など、環境、融資、業者を言い訳にするのが典型です。一方で「買える」人は、融資が厳しいときは割安中古物件に狙いを定め、価格が高いときは土地から新築、という具合に、その時期にあった最適な投資しています。

二つ目は探し方の問題です。「買えない」人の多くは、ダメな仲介としか付き合っていない、Suumo、楽待、健美家、athomeなどのポータルサイトを使って探しています。ポータルサイトは物件を手軽に探せて、確かに便利です。しかし、これは「買えない人」によくあるケースです。そもそも、ポータルサイトは売主のためのサービスであり、買主のために作られていません。売主が広告費を支払い、売主を顧客とした広告ビジネスのため、ポータルサイトは、売主の「高く売りたい」ことを重視しますが、買主が「安く買う」ことはほとんど考えられていません。理由は簡単、利益相反するからです。ポータルサイト運営者は、多額の広告費を使ってプロモーションし、無料で買主を集客します。そのため、利益が出る物件を見つけるのは困難です。とあるポータルサイトが過去にやっていたカボチャの馬車、築古地方物件の三為業者、TATERUの事例で明らかですが、売主の暴利を得るためのプロモーションをしていたわけです。しかし、いざ問題がおきると、手のひらを返してネガティブキャンペーンをするようになります。これが広告ビジネスモデルの実態です。ポータルサイトに掲載する物件は、売主が広告費を負担しないと売れない物件ということを認識しましょう。ポータルサイトにはもう一つ問題があります。それは物件の基本的な概要情報しかないことです。相場より高いのか低いのか比較がなく、物件の良し悪しが分かりません。単価比較でどうなのか、利回りがどのくらいになるのか一目では分からず、ユーザーが計算しないといけません。ましてや、情報量が多くなればなるほど、人間の目では処理仕切れず、見落とすこともあります。属人的なやり方では非効率で時間がかかりすぎてしまいます。
では、買えるようになるには、どこで物件を探したらいいのか?を解説します。売れる物件は、非公開で仲介担当が懇意にしている投資家にこっそり持ち込むか、仲介会社の自社サイトに掲載します。仲介者はまず自社サイトに掲載してそこで両手仲介できれば、それで物件掲載は終了です。こういう慣習をわかっている投資家は、売主もしくは仲介会社の自社サイトを定期的にモニタリングしています。事実、自社サイト掲載の優良物件は、数日の間に売れています。

まず、手っ取り早いのは、仲介会社の自社サイトを定期的にチェックすることです。毎日、仲介の自社サイトをチェックする根気と努力があれば、いずれ優良物件に巡り合うことができるでしょう。しかし、全国に12万社の宅建業者があり、全てのサイトを抜け漏れなくチェックするのは不可能です。

私の場合、そこで、AIの力を借りました。独自のデータベースを作り、エリア、価格、容積、地型からAIが物件を分析し、スコアリングします。そのスコアリング評価が高い物件を「毎日」自分のメールに通知させて、優良物件は即日買付を入れています。このシステムにより、誰よりも早く情報にアクセスでき、かつ効率的に情報を集めることができます。スピードが早ければ、他が検討する前に売主と有利な状態で交渉ができます。そして、買えるようになると、情報は「買える」人にどんどん集まるようになります。そのプロセスを繰り返しながら、仲介会社からの非公開情報が増え、超優良物件に巡り合えるという仕組みです。

「買えない」人は、時間をかけすぎて、判断が遅く出遅れていることがよくあります。設計・企画がボトルネックになっているケースです。土地を見つけたとしても、プランが入るかどうか見極めなければいけませんが、特に個人投資家は、建築系のネットワークを持っている人が少なく、設計に時間をとられてしまいます。一般的に、見知らぬ設計会社に電話してボリュームプランを依頼すると、10万近くかかり、数週間ほど待たなければいけません。私も当初は、土地をグリップする前にボリュームプランに時間とお金をかけすぎており、プランを作ったにも関わらず、遅すぎて現金買いの業者に奪われて何度も機会損失しました。設計・企画検討から買付まで2週間は時間がかかりすぎていたのです。こうした苦い経験から、初期段階で投資判断ができる仕組みが必要だと考え、自動でボリュームプランを算出して、スコアリングするシステムを考えました。これを開発してからは、物件情報が来てモノの1分たらずで、判断できるようになりました。LINEやメールでシェアすることができるので、社内で仕入れ物件を一元管理できるようになりました。投資基準を可視化すると、他との比較しやすく、仕入れに役立っています。買えないボトルネックの原因は何か? 情報量、情報の質、スピード、判断力のいずれかが原因です。このボトルネックを解消できなければ、同じ失敗を繰り返し、いつまで経っても買えない負け組です。

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