家族アルバムを作ってみました

バイクのエンジン音が家の前で止まった。
私は、郵便受けの音に耳を澄ませる。
落下音がいつもより大きく感じられて、バイクが遠ざかってすぐに玄関へ向かった。


期待どおり、郵便受けにはアルバムが入っていた。先日、ネットで注文したものだ。
写真の選定、配置、コメント挿入などの自由度が高い分、頭と時間を使った。その分、愛着も湧いて、こうして到着を待っていた。



今回作ったのは、2020年の家族アルバム。


我が家では、結婚してから一度もアルバムを作っていなかったけれど、子どもが産まれたことをきっかけに、作ることを決めた。

そう決めたのは、家族の軌跡を残したかったから。
そして、子どもたちが成長したとき、そして、いつの日か巣立ってまた夫婦2人の生活になったときに、このアルバムを囲んで思い出話に花を咲かせられたらいいな、と思って。


アルバム作りの担当を任せてもらったので、里帰り中にちょくちょく作っていた。
娘が産まれた4月までの夫婦写真はわずか6枚で、それ以降は娘中心の、娘の成長アルバムのような家族アルバムが出来上がった。


選んだ写真は、ほとんどが日常を切り取ったもの。


特に生後2ヶ月頃までは、日中の大部分の時間を寝て過ごしていたから、同じような寝顔の写真ばかりが並んだ。
それでも、ちょっと角度が違うとか、寝顔の中にも「表情」を見出したり、うーんと伸ばした手のポーズが可愛いとかいう理由で、どれもこれも親の自分には記念すべき一枚に思えて絞れない。


月例があがるごとに、娘の表情がどんどん豊かになっていく。「笑顔」ひとつとっても、全部違うからなかなか決めきれない。

どの写真を選んで、どの写真をどのサイズで載せるか、ものすごく悩んで。
大きく載せる写真は選べる。でも、小さく載せる写真は選ぶのに苦労した。だって、どの写真の娘もすべて愛しいから。


そうやって、早朝や深夜の時間も使ってあれこれ悩みながら作ったのだけれど、作りながらいくつか感じたことがあったので、備忘録を兼ねて残しておきたいと思う。



人物のアップ写真よりも、背景まで写っている写真が好き

ついつい娘を接写してしまいがちだけれど、娘の後ろにあるキッチンや部屋、風景が写っている写真の方が、後で見返したときに思い出が蘇りやすい。

特に我が家は来年引っ越す予定なので、赤ちゃん時代を過ごしたこの家の様子を残しておいた方が、何年後かに見たときに懐かしく思い出せると思う。

今の家はすごく狭いのだけれど、そういう狭さや、家具家電、生活感の漂う様子が写り込んでいる方が、記録という意味でも、写真の味わいとしてもいいかもしれないと思ったので、意識して人物以外の余白の部分を写したい。

今回は、人物が写っていなくても、娘が引き出しの中身を全部引っ張り出してぐちゃぐちゃに汚れた時の写真や、記念日の料理の写真なんかも敢えて載せた。意外とこういう写真が、味を出してくれたので良かったと思う(でも、こういう写真は迷いなく小さいサイズの枠に挿入した笑。)


子どもの単独写真だけでなく、自分たちも一緒に写ろう

これは、アルバムを作りながら一番強く感じていたこと!
娘の単独写真ばかりで、大人が一緒に写った写真が少ないのだけれど、娘の成長アルバムではなく家族アルバムを作るのなら、他のメンバーも写り込んだ方がいい(娘が産まれてからは、夫婦だけの写真は一枚もなかったし、娘を囲んだ3人での写真もわずか4枚でびっくりした)。

家族全員で撮るとなると自撮りになるので、ただ他者にカメラを向けるだけの場合に比べて、「はい、今から全員で撮りますよ!」と会話や動作の流れを止めなくちゃならないせいで、わざわざそこまでして撮らなくても……という気持ちになっていたんだと思う。
集合写真は、旅先やお食い初めなどの特別な場合しか残っていなかったけれど、日常でも全員での写真も残したいと思った。

そして、仮に全員での写真はハードルが高いとしても、せめて「夫と娘」「私と娘」の写真は、もう少し増やしたい(詳しくは後述)。


出先で屋外写真を撮りたい

旅行などの特別なお出掛けじゃなくても、ドライブや近場の公園などに行った場合にも、写真を残したい。
確かに2020年は家時間が長かったとはいえ、時と場所を選びながら出掛けていた。なのに、悲しいくらい出先での写真がなかった。

たまに撮ったとしても、屋内での写真が多くて。
そうすると、アルバムの中の写真が全体的に似たような構図になるし、配色も似てしまう。

家の中かどこかの屋内での写真ばかりだと、見返したとき面白味に欠けるなーと感じた。だから、「わざわざ写真に残すほどじゃない」と思いがちなお出掛けだとしても、積極的に撮るようにしたい。


母子の写真をもっと撮ってほしい

娘が生後3ヶ月くらいのときに思った。
「娘との写真が全然ないじゃん!」って。
私のカメラフォルダには、夫と娘の写真はあっても自分と娘が一緒に写った写真はほとんどなかった。ついでに夫のカメラフォルダにもなかった。

そもそも夫は、写真を撮る習慣がないので、娘の単独写真もそれほど多くは撮っていなかったけれど、私と娘が一緒に写った写真はもっと撮っていなかった。

娘をあやす夫、それを見て笑う娘、授乳後にゲップをさせようと背をさする夫、読み聞かせをする姿、抱っこする姿、一緒に眠る姿……

夫と娘にこっそりカメラを向けて撮った姿。
そんな姿は、私と娘にもあったはずなのだ。普段、ずっと一緒に過ごしているのだから。
でも、何にも残っていなくて。

だからお願いした。もっと娘との写真を撮ってほしいって。
その甲斐あって、生後4ヶ月くらいからは娘と一緒に写った写真が残っていて、今回のアルバムにも何枚か載せることができた。

でも、元来写真を撮る習慣がない夫なので、すぐに忘れてしまうようで、なんだかんだ娘との写真はたまに自撮りしている。


母子の写真って少ないか、自撮りの人も結構多いんじゃないかな?

でも本当は、毎日繰り返しているお世話中の姿や、ちょっと疲れモードな姿など、カメラを意識しない素の姿を残したかったりする。だって、それが娘と過ごした時間そのものだから。

自撮りだとどうしてもカメラを意識してしまうから、隠し撮りくらいの方がアルバム写真としてはいろいろ思い出せていいかもしれない。

近々、夫にもう一回お願いしてみよう。


娘のことを大切に想っていること

娘が産まれてから、毎日のように娘の写真を撮った。
寝ているだけの姿も、ただバウンサーに座っているだけの写真も、何枚も撮った。


寝返り、ハイハイ、はじめての離乳食、つかまり立ち、タッチ、よちよち歩き。


娘の成長がたくさん収められていて、娘のことを愛して、大切に想ってきたんだなぁと感じたのだ。そこを疑ったことはないけれど、でも、日々の子育ての中で疲れを感じることなんて数え切れないほどあって。

いいお母さんになれるのか、自信を持てないこともあった。もっとこうしてあげていたら、と後悔したり反省したり。

でも、私はいつだって、娘のことは大切で大好きで、可愛かった。
大事に育ててきた。
育児の正解なんてわからないけど、でも、自分が娘にしてきたことや娘と過ごした時間は、きっと間違ってなかった。

今回、アルバムを作りながら、娘と2人きりで家で過ごした時間を振り返って、そう感じた。





そんなこんなで完成したアルバムには愛着が湧いている。
完成すると嬉しくて、大変だったということは棚に上げて、他のアルバムも作ってみようかなんて考えている。
ずっと整理したいと思っていた友達とのイタリア旅行の写真は、アルバムを二冊作って、友達にもプレゼントしようかと計画中(喜んでくれるはず!)。

そして、もうすぐ2021年も終わるので、また今年分の家族アルバムを作らなくちゃなぁ。
その前に年賀状作り……が、がんばろう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。