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今日の600字小説「買い出し」

「おーい、まだ決まらないの?」

 会社帰りに合流した僕たちは、駅前のスーパーで買い出しをしていた。お酒とつまみはだいたいカゴに詰めたが、まだ一人、悩んでいるやつがいた。

 カズミはさつまチップスの棚に鋭い眼差しを向けている。

「ねえ、うすしお味とやきみそ味、どっちがいいかな?」

 やきみそ?…焼き味噌?!あまり聞かないが食べたくなる。臼花屋ウスゲヤもチャレンジングな商品を出してくる。

「あ、明太マヨ味もあるよ、決められないな〜」

「と、とりあえず焼き味噌は入れといて」

 カズミの意識がそれる前に確保しておこう。もう食べたくて仕方がない。こっちはしばらくかかりそうだから放っておいて、もう一人は…。

「あ、いたいた、会計まだ?ちょっと先に外出てていい?油売ってくるわ」

 言いながらモッチは酢昆布をカゴに入れた。おつまみのチョイス小5の駄菓子屋か。なんだこいつら。その割には「油売ってくる」とか古風な言い回し使いやがって。ヤニ入れてくるだけだろ。

「今夜のお供はこれに決定!」

 カズミはさつまチップスのやきみそ味と明太マヨ味をカゴに入れる。

「はい、もういいな、じゃあレジ行くぞ」

「ちょ、ちょ、ちょ!こっちだよ、ヨッちゃんも来て!」

 え?まだあんの?

「最後はアイスでしょ!秋はマロンの季節デス!限定味をチェックなのデス!」

 またこいつの鋭い眼差しに付き合わなきゃいけないのかよ。

「ちなみにモッチからはすでにオーダーいただいてマス!」

 あいつ、そこまで見越して先に出たな。

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