祖谷の山里で雲海だけを見て過ごした(徳島 東祖谷)
桃源郷祖谷の山里は、古民家宿ブームの火付け役と言ってもいい存在です。東洋文化研究家のアレックス・カー氏がプロデュースした、古民家再生プロジェクトです。最初の部屋がオープンしたのは2012年で、徐々に何棟か増えていったようです。現在では8棟あります。祖谷エリアは海抜750メートルで高低差が390メートルという、高地ではないですがかなりの急傾斜地です。
私が訪れたのは2016年8月のことです。
こんな古民家が
こんな傾斜地に建っています。
下の写真は宿泊したい部屋から向かい側の山を見たものですが、向こうからこちらを見てもだいたいこんな感じだと思います。
祖谷の山里は徳島県の三好市にあります。「市」ではありますが、非常に山深い限界集落に近い状態のところです。
アクセスは意外なことに電車とバスでも行くことができます。部屋でまったりと時の流れや雲海を感じる目的でここを訪れるのであれば、公共交通機関でも大丈夫だと思います。とは言ってもやはり車がおすすめです。
車の場合でも徳島市、神山町を経由して国道439号線を進むことはおすすめしません。この国道439号線は「酷道439号線」と言われていますので、走行に関してはそれなりの覚悟が必要のようです。本数は少ないですが、大歩危駅または阿波池田バスターミナルからバスが1日4本あります。終点の「久保」のすぐ近くに宿の受付事務所があり、ここでチェックインをします。部屋はここから反対側の山になります。係の方が先導してくれるはずです。車がなくても部屋まで送迎してくれると思うので、必ず事前に宿にその旨を連絡して確認してください。
今回宿泊したのは「天一方」という山の上から2番目に高い場所にあって180度開けている建物です。反対側は斜面ということです。
私たちはここに2泊しました。その間に晴天も曇天も、夕立も全部経験することができました。滞在中は一度も外に出ることはなく、ほとんどの時間をひたすら山の景色だけを見て過ごしました。食事は用意してもらえるお弁当のようなものと、簡単な自炊で過ごしました。車で来られるのであれば、食材を持ち込んで自炊だけもありかもしれません。食器、調理道具、調味料など、最低限必要なものは揃っています。外食するといっても、お店まで行くためには相当な距離を走ることになるので、真っ暗な帰り道を考えるとおすすめできません。
それでわかったこと、感じたことは、ここでは山を見ること、雲海をぼんやり見ることが最高の贅沢だということです。たまたまかもしれませんが2日間とも朝夕には美しい雲海を見ることができました。
再生古民家に大きな期待をしてきた部分もあるのですが。私は正直そこに関しては残念な印象でした。古民家を改修しているわけですが、部屋に入るとあまりにも近代的と言うか、ハウスメーカーのモデルハウスみたいに感じてしまったからです。ということはきれいで快適であるというわけです。人によって求めるものや期待するものが違いますから、なんとも言えません。
「古民家的な要素」がしっかりとしている宿としては、珠洲の湯宿 さか本をおすすめします。
それでは私が一番ステキだと思った、刻々と変化する山や雲海の様子を写真でご覧ください。早朝からお昼前までを時系列で並べてあります。
昼間は雲海は消えてしまいました。そのあと15時前から激しい夕立が来ました。
ここでは、こうした時間とともに刻々と変化していく景色をぼんやり楽しむことをおすすめします。
さて、「天一方」の建物のご紹介をしておきます。
個人的に残念だったのはこのダイニングキッチンです。たぶん元々は玄関に直結する土間だったと思いますが、床面のコンクリートみたいな中途半端な処理と、はやり中途半端なダイニングテーブルとイスが不釣り合いです。土間なら土間に、ダイニングならダイニングにして欲しかったかなと感じました。ココだけ切り取るとワンルームマンションみたいで・・・・
中の間とリビングから見える景色は最高に心地よいです。
夜の様子です。
せっかくなので他の建物も一通り様子を外から見てきました。私が一番気に入ったのは、一番高いところにある「浮生」です。このエリアで一番最初にできた再生古民家で、一番小さな建物ですが、古民家としての雰囲気も残しつつ快適な作りになっているようです。
祖谷に再訪できるかはわかりませんが、そのときには迷わず「浮生」にすると思います。
公式サイトはこちらです。