見出し画像

ライフイベントの視点から今年を振り返る

今年もあと3週間となりました。まだ暖かい日があったりするせいもあって、もう2023年が終わってしまうのかと驚いてしまいますね。個人的には転職という大きなライフイベントがあり、余計にあっという間に1年が過ぎていったような気がしました。

精神医学の領域では、一定の期間に大きなライフイベントが立て続けにおこると、その後に心身の調子を崩しやすいことが知られています。この「ライフイベント」には親戚の不幸や離婚といったネガティブなことだけでなく、結婚や子供の誕生といった一見ポジティブなものも含まれます。

この領域で有名な研究として、人生のなかで起こるいろいろなライフイベントを、以下のように点数化したものがあります。(夏目ら.勤労者におけるストレス評価法.産業医学 1988)

勤労者のストレス点数表
国立精神・神経医療研究センターWebサイトより引用

過去1年に起こったライブイベントの合計が300点を超えると、翌年に健康障害が生じる可能性がなんと80%と言われています。心と身体がつながっていることがよく分かる知見ですね。

私のこの1年について振り返ってみると、

  • 会社を変わる     64点

  • 仕事のペースの変化  44点

  • 自分の昇進・昇格   40点

で合計148点になりました。150点未満という一番低いカテゴリに入ったので、まずは一安心です。

このストレス点数の考え方で特徴的なのは、「一定期間の」合計点数を問題にしているという点です。つまり結婚・転居・転職などといった大きなライフイベントは、短期間に立て続けに起こったときに健康障害につながりやすいので、可能であれば時間的に分散したほうが(心身の健康という観点から言えば)好ましいということになります。

私も転職に伴って転居が必要になったのですが、この事実が念頭にあったので、半年ほど前倒して引っ越しをしていました。実際に転職してみると、職場に慣れていかなければいけないストレス、仕事のやり方や生活リズムが変わるストレスなど、心身にそれなりの負担を感じることになったので、これに引っ越しまで重ならなくて良かったと感じました。

もちろんライフイベントのうちいくつかは時期を選ぶことも予見することもできないものです。だからこそ、自分である程度コントロールできる分のライフイベントは予め分散しておくことで、ベースのストレス点数を下げ、突発的なライフイベントにより心身が壊されるリスクを下げることができます。

生きている以上は様々なライフイベントを経験しなければいけませんが、自分にかかっているストレスの大きさを自覚することで、それらによる心身への影響を知ったり、軽減したりしやすくなると思います。ライフイベントには人生における価値を問い直すといった重要な意味もあると思っているのですが、やはりそれも心身が潰れないことが前提ですよね。今回お伝えしたことが、皆さんの人生のなかで起こるライフイベントをしなやかに受け止め、自身の成長の糧にしていけることのお役に立てばうれしいです。

サポートしてくれたら、私が美味しいものを食べます笑