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メンフィス - 小旅行に関するおよそのこと①

突然だが、忌野清志郎がメンフィスの名誉市民という事はご存知だろうか。彼の2ndアルバム「 Memphis」であるが、タイトル通りレコーディングはメンフィスで行われた。驚く事にその演奏はあのBooker T. & the MG'sが行っているのだ。アルバムのラスト曲MTNはMG'sの偉大なギタリスト、スティーヴ・クロッパー作曲で、メンフィスについて歌った清志郎のメンフィス愛を感じさせる名曲だ。アルバムを通してゴリゴリのメンフィスソウルサウンド剥き出しの名盤なので是非聴いてもらいたい。 

さて、先の記事ではメンフィスの音楽都市としての側面に触れたが、この大都市の魅力は音楽だけに留まらない。歴史や文化、アートにエンターテイメント、そしてそこに生きる人々と漂う空気感。

筆舌に尽くし難いその街の魅力は実際にそこに立ってこそ真に理解出来るものなので、是非次回旅先の選択肢にこの素晴らしい街を加えて欲しい。
今回は旅先としてメンフィスを選んだ際に、役立つであろう情報をいくつか書いていこう。

①基本情報
■滞在期間■
メンフィスは見所も楽しみ方も多岐に渡る。
この街を十分に満喫したいなら3日〜1週間は欲しいところ。
基本的にはダウンタウンに観光地は集中しているが、グレースランドやスタックス博物館、メンフィス動物園など一部人気スポットは中心地から少し離れている為、上手く計画を組んで動く必要がある。
夜のビールストリートはいつでもライブを楽しむ事が出来るが、出来れば土曜日の夜の賑やかさは体験しておきたい。土曜日に訪問出来るよう上手く調整して、ご当地ビールと四方八方から聴こえるブルースの音に酔いしれながら、人がごった返すこのストリートで夜を使い果たそう。

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■アクセス■
ダウンタウンから割と近い場所にハブ空港であるメンフィス国際空港が存在するが、残念ながら日本からの直行便は飛んでいない。アメリカ国内での乗継便になるが、スムーズな乗り換えが出来れば東京から15〜16時間で行ける。行く時期や予約のタイミングにもよるが、一般的な日本の連休中であれば、航空券は20万前後。
空港から市内へはバスでも行けるが、運行頻度は多くないのでUberかLyftでサッと移動するのがベターだ。

■動き方■
街中での移動はいろんな手段があるが個人的にはシェアスクーターで街中を滑走するのがオススメだ。シェアスクーターサービスは世界中の観光地で拡大中なのでご存知かもしれないが、乗ってみると本当に快適で楽しい。

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Max30km出る上、指定された区域内であれば乗り捨て自由(!)、これでどれだけ移動範囲が広がるか。アプリとクレジットカード、免許証があれば簡単に乗ることが出来るので、是非活用して欲しい。
ミシシッピ川を眺めながら通りを流せば、いつしか自身が街の一部となっている事に気付く。最高に気持ちの良い経験だ。
あとはヴィンテージな見た目が魅力のトロリー(市電)に乗るのも良い。ダウンタウンに数ブロック間隔で駅があり簡単に乗れる。ガタンゴトンと揺られながら街を眺めれば、あっという間に旅番組気分になるだろう。

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■情報収拾■
事前の情報収拾に関しては前記事を参照して頂きたいが、現地で情報を集めたいならまずTennessee Welcome Centerに行こう。ミシシッピ川添いにある観光案内所だ。
プレスリーとB.B.キングの銅像が迎えてくれるその場所は、メンフィスやテネシー州の数多くの情報を扱う。フェスや期間限定イベントなどの生きた情報はここで手に入れると間違いない。

■訪問時期■
訪れるべき時期はいつだろうか。目的にもよるが、ここは音楽都市。どうせなら音楽フェスに合わせてみるのは如何だろうか。
メンフィス最大のフェスといえば毎年5月に行われるビールストリート・ミュージック・フェスティバルだ。世界中から人が集まる大物ぞろいのビッグフェスである。(以下画像が今年のポスターだ)

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他にもブルースフェスからジャズフェスにパンク、オペラ…と様々なジャンルのフェスが年中開催されている。気になるフェスの時期を調べてそれに合わせて行くのがベストタイミングであろう。
詳しくは此方のサイトから。
https://www.memphistravel.com/events/festivals/music-festivals

■治安■
先の記事でも触れたが、残念ながらこの街は全米屈指の凶悪犯罪発生都市だ。個人的に危険性を感じなかったが、夜間にメインストリート以外を歩き回るのはやめた方が良さそうだ。

■宿泊場所■
どこに宿泊するかはそれぞれの優先事項によって変わる。場所か、値段か、設備か、サービスか。そこはBooking.com等で各自調べるのが良いだろう。
参考までに、価格を最優先する場合はやや中心から外れるが1泊3,700円のHostel Memphis(ドミトリー)が最安価で、無料駐車場があるホテルであれば1泊17,000円とやや高いがLa Quintaがダウンタウンからのアクセスが良くオススメだ。(メンフィスは駐車場が高いので、多少高くても無料駐車場があるホテルの方が安く済む場合もある)
金銭的な余裕があるのであれば、メンフィス有数の高級ホテルであり観光名所でもあるPeabody Hotelに泊まると良いだろう。このホテルの名物が、毎日屋上からレッドカーペットを通ってロビーの噴水に出勤してくるアヒルの行進である。
アヒルの行進というとなんだか地味な響きだが、80年以上続く歴史あるイベントでこれを見る為に11:00と17:00の行進タイミングに多くの観光客が駆けつける。私は時間の制約上行けなかったが写真や動画を見てみると確かに可愛い。ホテルにはアヒルグッズも沢山あるようなのでアヒルファンは必見だ。

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またエルヴィスプレスリーの熱狂的なファンであればThe Guest House at Gracelandに泊まるのが良いだろう。その名の通りグレースランドが経営するホテルで、エルヴィスの妻であるプリシラが監修しているだけあってインテリアや内装にもプレスリー愛が込められている。グレースランドはすぐ目の前だが、ダウンタウンからは距離があるのでその点は注意して欲しい。

■食事■
アメリカ南部の食事を知らずしてアメリカの食事を語る事は出来ない。SNSなどでは定期的に「アメリカの飯はマズい!」という言説を見かけるが、無知も甚しいとつい反論したくなる。

街ごとに名物となる絶品料理が存在するが、メンフィスはなんと言ってもBBQである。BBQと聞くと"肉を焼くだけ"というイメージを持たれるかもしれないがそれは大間違いだ。肉の種類、部位、加工方法に調理方法、スパイス配合、ソース、付け合わせとその奥深さは計り知れない。この街には100店以上のBBQレストランが存在し、店ごとに全く違う特色を持つ。
その中でも必ず訪れて欲しいのがメンフィスで一番とも言われるCharles Vergos' Rendezvousだ。Peabody Hotel近くの裏路地にあるこの名店は、ブッシュ大統領が小泉総理との食事の場として選んだ場所としても知られている。クラシカルな内装とギンガムチェックのテーブルクロスがこの店は決して格式高い店ではない。

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何故ここに多くの人が惹きつけられるのか、その理由は単純でここのポークリプが圧倒的に旨いからだ。オリジナルブレンドの香辛料でしっかりと味付けされたその骨付き肉は、日本人好みのカレー風味で一度齧り付くともう止まらない。結構なボリュームだがふと気付くと完食していて、名残惜しさからつい"もう一塊持ってこい!"とい叫びたくなる。コールスローやマック&チーズなどサイドのレベルも高く、これらをビールと一緒に流し込めば身体中に幸福感が染み渡る。本当に旨い。この旨さは色んな人に味わって欲しい。

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普段は行列必至の人気店だが時間帯をズラせば並ばず入れる。オススメだ。
他の人気店だとCentral BBQも最高だ。三種類の肉、二種の付け合わせ、パンを選ぶ事が出来るセットが人気。こちらは肉の旨味を引き出す甘口or辛口のBBQソースで頂く。ソースを絡めた肉をパンで挟み、チーズなどを乗せて頬張ると、そこから至高の時間の始まりである。こちらは街中に何店舗かあるので、見かけたらふと訪れてみると良い。

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他にもカジュアルな店構えが特徴のCozy Cornerや肉肉しい盛り付けが魅力のCorky's Ribs & BBQ、合わせて素晴らしい音楽が楽しめるB.B. King's Blues Clubなど、人気店を紹介していこうと思うとキリがない。
また、BBQの街であるメンフィスでは毎年5月にWORLD CHAMPIONSHIP BARBECUE COOKING CONTESTと呼ばれるBBQの世界大会が開催される。世界中から数百のチームが集まり10万ドル以上の賞金を掛けて腕を競い合うのだが、これが異常なまでの盛り上がりを見せるイベントらしく、BBQファンとしては是非一度参加してみたいものである。

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当然メンフィスのグルメはBBQだけでは無い。絶品のフライドチキンを味わいたいならGus's World Famous Fried Chickenへ。アメリカ各地へ進出してるが本店はここメンフィス。スパイスと溢れ出る肉汁に食欲をそそられつい食べ過ぎてしまう事間違い無しだ。

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メンフィスで一番良いレストランは、と調べると必ず出てくるのがFlight Restaurant and Wine Bar。メンフィス有数の高級店であるが、この街のグルメを堪能したいのであれば訪れるべきレストランだろう。

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南部料理といえばニューオリンズを中心に発展してきたクレオール料理が有名だ。メンフィスでそのクレオール料理を味合うのであればこちらも高級店にはなるがRestaurant Irisがいいだろう。クレオール料理界でも著名な名店らしく、口コミサイトを見ていても素晴らしく評価も高い。私は予算の関係上行けなかったが、いつか必ず行きたいと考えているレストランだ。

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他にも料理も音楽も良いと噂のレストランならLafayette's Music Room、リーズナブルで美味しいと評判の南部料理店ならAlcenia'sなどが良い。
それと朝食で外せないのがThe Arcade Restaurantだ。プレスリーが足繁く通ったことで有名なお店で、その店構えはアメリカ映画に出てくる伝統的なダイナーそのもの。実際映画の撮影も幾度と無く行われているという事で、その趣に映画ファンはついテンションが上がってしまう。プレスリー行脚ツアーを考えているならば1日の初めはまずこのお店から。

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とまあメンフィスの名店を幾つか紹介したが、予算や好物に沿って何処に行くか決めると良い。現地でYelpを見ると多くの美味しそうなレストランが出てくるので、上述のオススメを参考にしつつ色々と調べてみて欲しい。
このグルメシティで出会う想像を超える絶品料理の数々に、きっと舌鼓を打つ事だろう。

■スポーツ■
メンフィスでプロスポーツを見るのであればNBA、メンフィス・グレズリーズだろう。本拠地であるFedExForumも中心から近く、簡単に見に行く事が出来る。NBAに興味が無くとも、お祭り騒ぎの様な雰囲気を感じるだけで楽しく感じるはずだ。Gリーグであるメンフィス・ハッスルには日本人の渡邊雄太選手も所属しているので、運が良いと見れるかもしれない。
後はマイナーリーグプロ野球チーム、メンフィス・レッドバーズや、同じくマイナーのアイスホッケーチームメンフィス・リバーキングス等もあるので、興味があればチケットマスターで調べてみると良い。

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食事について力を入れて書いていたら長くなってきたので、この続きはまた今度。まだ観光地について殆ど言及出来ていないが、ここまで読んで少しでもメンフィスに興味が湧いてくれると幸いだ。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。