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【愛せよ】嫌われ者のレモネードコーヒー

2、3年に1回の頻度で、夏になると私たちの前に姿を表すレモネードコーヒー。発売されるたびに不評に次ぐ不評で話題にもならずに消えていくイメージが強い。どうにかして彼ら又は彼女らを救ってやってほしい。

私はレモネードコーヒーが大好きです。
レモネードの甘さと一緒にレモンの香りが口の中に広がる。そしてレモンの酸味とコーヒーの苦味が追ってくることで、甘いジュースではなくブラックコーヒーを飲んだかのような落ち着きを感じることができる。

こんなに美味しいのに、なぜ人気が出ないんだ。

・レモネードコーヒーの歴史は浅い

私が記憶している中では日本でレモネードコーヒーが大衆に出てきたのは最近のことだと思っている。

「ブレンディ®タグゴー」シリーズ『ブラックリモーネ』

2018年7月に「ブレンディ®タグゴー」シリーズから『ブラックリモーネ』が発売された。この商品はアイスコーヒーにレモンフレーバーと砂糖を加えたもので、かなりサッパリした商品だと記憶にある。
発売された時は間違えてこの商品を手にしてしまった人も多いんじゃないかと思うくらい同シリーズの商品とパッケージが似ていた。ブラックコーヒーを飲みたいのにこの商品を飲んでしまった人は非常に驚いただろう。

2019年はレモネードコーヒー業界に大きな動きはなかった(はずだ)。
その年の日本は多くのレモネードコーヒー好きの気持ちに寄り添うかの様に大雨に見舞われた。

2020年は2大巨頭がついに動きを見せた。スターバックスコーヒージャパンとドトールコーヒーだ。
動き出しが早かったのはスタバだ。7月1日に『コールドブリューコーヒー フローズンレモネード』を発売した。フローズンレモネードが入っているおかげで最後まで冷たく、夏にはぴったりの商品だった。酸味と甘味のバランスも良く、コールドブリューコーヒーのさっぱりとした苦味に合っている。

スターバックスコーヒージャパン『コールドブリューコーヒー フローズンレモネード』

続いて7月16日からドトールは『コーヒーレモネードソーダ』の販売を開始した。この商品はハッキリ言って衝撃的だった。今までの商品がコーヒーにレモネードを入れるものであったならば、レモンスカッシュにコーヒーを入れるという感覚だ。メインがどっちだか分からない。ただ、この方法をとったことで『コーヒー VS 炭酸』という戦争を避けられたと思う。あくまでメインはレモンスカッシュでコーヒーは脇役に過ぎない。そのおかげで万人受けする味になっているとも思えた。

ドトールコーヒー『コーヒーレモネードソーダ』(右側)

スタバとドトールから美味しいレモネードコーヒーが出たことにより、業界の未来は明るいと思っていたところ、想像していなかった事実が分かった。

『コーヒー抜き、できます』

コーヒーとレモネードのマリアージュを楽しむのではなく、多くの人はコーヒーを抜いて純粋にレモネード又はレモンスカッシュとして楽しんでいた。コーヒーはカップから追放されていたのだ。

2021年は6月に「UCC COLD BREW」シリーズから『UCC COLD BREW レモネード PET500ml』が発売された。こちらのコーヒーは『魔改造系コーヒー』『ポン酢』などと話題となった。この商品も美味しいのだが昨年のスタバ、ドトールの次に飲む商品としては弱かった。

「UCC COLD BREW」シリーズ『UCC COLD BREW レモネード PET500ml』

2022年はレモネードコーヒー業界に大きな動きはなく、レモネードコーヒーの神は怒り、その怒りは熱気となって日本へ押し寄せた。

・レモネードコーヒーに明るい未来はあるのか

6月も中盤に差し掛かり、梅雨の最中の晴れの日には初夏の訪れを感じる。そろそろレモネードコーヒーの新商品発表があっても良いのではと思うのだが、今年も出会えずにツクツクボウシの鳴き声を聞くことになりそうだ。

はっきり言ってレモネードコーヒーに明るい未来は無い気がする。いくつもの商品が切り捨てられ、『美味しい』と言えば味覚を疑われるような状況だ。これを打開するには今まで以上に美味しいものを作るか、テレビやSNSであたかも民衆の総意であるかのように美味しいと伝えるしかない。

難しいことは分かっている。でも、年に1度は飲みたくなるんだ。
レモネードコーヒーの民は、主の帰還を待ち望んでいる。

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