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「K-POPはなぜ世界を熱くするのか」(田中絵里菜 著)がなかなか面白かったハナシ

大学院の講義の中で紹介され、気になっていたのがこの本。

「K-POPはなぜ世界を熱くするのか」

 著者の田中絵里菜さんがK-POPを対象にしてファンコミュニティの力を分析し、K-POPの仕掛け人たちの具体的なファン形成のアプローチや、ファンの活動内容の詳細に至るまで詳細に語られていて実に面白い。というより、とても勉強になった。

 いわゆるファンダムと呼ばれる、K-POPが生み出す経済活動が日本の半分のサイズ感の国である韓国で爆発し、世界を巻き込むに至っている現状は本当にすごいことだ。日本では、K-POPに値するような体系だったファンダムは存在しないと思う。旧ジャニーズのファンダムは単に一企業(事務所)の活動であって、J-POPというジャンルでのファンダムは存在しない。また、アニメはファンの数の多さこそ、国内外でも多数存在するが、ファンダムの形成には至っておらず、個々のバラバラな活動が放置されているだけだ。もし日本のアニメに何らかの方向づけをしていく仕掛け人がいれば、日本のアニメコンテンツは各ステークホルダーへの経済的効果も高まり、生産性も飛躍的に伸びる可能性があるはずだ。政府のなんたら政策は予算もわずかで、取り組みも脆弱としか言えず、残念だ。

 今回、この本でもっとも興味を持ったのポイントは、K-POPがインターネットを駆使して急速なファン形成と成長をコントロールしてきたか、というくだりだ。マスメディアほどのコストをかけずに、効果を最大化する仕掛けをインターネットやSNSの特性に合わせて展開してきた多くの事例が紹介されている。韓国より数歩遅れたネット大国日本なら、いまでも通用するような仕掛けがたくさんありそうだ。
さらに、ネットの同時性と即時性を考えた海外向けの取り組みも、これからのインバウンド対策を考える日本企業のマーケティングに参考になる情報が多い。

 自身の手がけるブランドマーケティングのコンサルティングでも、実際にクライアントの顧客とどうやって接点を持ち、好意度形成できるかが重要なので、こういった事例もメソッドの一つとしてプランニングして使っていこう。

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