石崎セキ

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新刊発行部数の謎

 なんとなく、総務省統計局が公開している(た?)「書籍・雑誌の発行部数,実売金額(昭和20年〜平成17年)」(こちら)を見た。元データは出版ニュース社の『出版年鑑』。グラフ化すると、出版部数の変化が一目瞭然だ。  1945年の新刊点数(書籍)は658冊。その3年後の1948年はおよそ40倍に膨れ上がり、26,063冊。単純計算で、1日あたり約71冊刊行されていることになる。次に26,000冊を超すのは23年後の1978年だから、これは妙である。なぜ、1948年に冊数が跳ね上

    • 文学理論は「公式が勝手に言ってるだけ」を肯定する:脚本の人が考えていないことも考えてよい理由

      (見出し画像は、Copilotが生成した「テクスト論」の画像の一部) 「公式が勝手に言ってるだけ」という言葉がある。「公式の声明」よりも「自分の解釈」を優先する姿勢のことだ。 (事例を出そうとして我が身を振り返ったが、なんの心当たりもなくて困っている。樋口円香の初恋が浅倉透だったのは事実だし)  ニコニコ大百科では、『となりのトトロ』の例が引かれている。  サツキとメイの死亡説を持ち出した人に、ジブリが否定していると言ったところ、「そんなの公式が勝手に言ってるだけやん」と

      • 英語がわからなくても原文は面白い:1分20秒でわかる『ロリータ』のすごさ

         わたしは英語が読めない。  TOEICでは、平均スコアが608点のところ、500点。多読用教材としておすすめされる"Holes"にも歯が立たない。   それでも、英文を読めるようになりたい! と、英文の読解のために、ナボコフの『ロリータ』を買った。ロリコンだの、ロリータ・ファッションだののもとになった書である。  よりによって、なぜ『ロリータ』なのか。理由はふたつある。  1つは、翻訳を読んでべらぼうに面白かったこと。  わたしが『ロリータ』でいちばん好きなのは、語り手

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