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昭和レトロ最高のマジック雑誌『奇術界報』がアツい

こんにちは、和泉です。

普段はマジックに関するいろんな話の記事を書いています。noteではもうちょっとライトな話を書いていきたいと思います。

世の中には、いろんなマニアックで面白いものがあります。そのうちのひとつが『奇術界報』(きじゅつかいほう)です。

そんな『奇術界報』のディープな魅力をみなさんに伝えたいと思います!いろいろあるんですが、ぱっと思いついた3つを紹介します。


そもそも『奇術界報』って何

『奇術界報』とは、JMA(日本奇術連盟)というところが発行していたマジック専門の会報です。マジックの秘密やイベント情報が詰まっていて、ネットがない頃はめちゃくちゃ重宝されました。

残念ながら発行は2023年に終了しました。トータル875号、なんと83年間も続いていたので驚きです。ギネス記録とまではいきませんが、アジア圏では一番長く発行されたマジック誌になります。

ちなみに、JMAとは別に「日本奇術協会」という社団法人があります。こっちはプロマジシャンの組織になります。よく間違えるので、「JMA」と「協会」と呼び分けています。

『奇術界報』の何が面白いのよ

①試行錯誤が楽しい!

今はネットですぐいろんなものが見つかります。キーワードさえ工夫すれば、あんなものやこんなものが見つかるのが現代です。

ところが、ネットが無かった昔は違います。それどころか、もっと前は「海外の本」すら入手困難でした。もちろんお金がかかるというのもありましたが、どれだけお金かけてもやっぱり日本に入ってくる情報は限られていました。

そこで毎月刊行する誌面をどのように賑やかしていたかというと、エッセイニュースです。「マジックってこうだよねぇ~」など想いをつづったり、「あいつのマジックけしからん!」と厳しい感想を書いたり。とにかくいろんな話で誌面を埋めようと試行錯誤していました。

こういった取り組みは、残念ながら固定相場制が終わって個人で本の輸入がしやすくなった1970年代あたりから徐々にフェードアウトしてしまいました。なので、個人的には1970年代以前の『奇術界報』が特におすすめ。先輩たちの試行錯誤は今見てもメチャ面白いし、とても勉強になる。マジで。

②デザインが楽しい!

むかしむかし、『奇術界報』はガリ版で印刷されていました。ガリ版っていうのは、ガリガリするやつです。257号(1963年)からタイプ印刷になって「読みやすく」なるのですが、じゃあこれ以前が「読みにくい」かと言われると、そんなことはありません。

むしろ、ガリ版時代の『奇術界報』はデザインの遊び場で、パラパラめくるだけでも楽しい会報でした。この遊び具合がめちゃいいんです。

①で言った通り、あんまり情報が無かった当時、どうにかして誌面を埋める必要がありました。そんな時、デザインで埋めていたわけですね。

152号(1954年)
184号(1956年)
244号(1961年)

こういった挿絵はガリ版時代の『奇術界報』でしかみることができません。めちゃオシャレじゃないですか!?もうレトロ好きにはたまりません。

挿絵だけじゃありません。表紙のデザインも遊び心満載です。

インドのロープマジックのオマージュ
ちょっといろいろあぶなそうなキャラ

③集めて楽しい!

表紙のデザインをみてわかるとおり、とてもユニークなのでコレクション要素があります。257号以降はタイプ印刷になってガリ版ではなくなりますが、それでも毎年表紙のデザインは変わっていました。

特にレアなのは100号以前です。実は100号前半までは、製本されたものではなく「B3の紙に印刷して、2つ折りしたものをまとめただけ」という非常に簡素な作りになっていました。もっと古い2桁号だと、A4サイズのペラ1枚に印刷しただけだったりします。戦後の物資が足りなかった時代、そういう簡素な作りになってしまったのは仕方がなかったのです。もちろん、紙質もそこまでいいものではありませんでした。

なので、古い『奇術界報』はとても貴重です。表紙がデザインされはじめたのは135号(1952年)からで、これより古いものはシンプルな表紙しかありませんが、だからこそコレクション要素がある!

とても貴重なのでなかなか見つけることはできないでしょう。もし見つけてゲットしたらぼくに自慢してください。

『奇術界報』の入手方法

そんな『奇術界報』ですが、残念ながら入手は中古市場で見つけるしかありません。

よくあるのは300~400号台です。このあたりは1冊1,500円ぐらい(多分)で入手することができます。けどこれより前のものは見つけるのが困難だと思います。今後、もしかすると300号台ですら入手は難しくなるかもしれません。

なので、ぼくは著作権切れになった古い号をPDF化して販売してします。ぼちぼちと号数を増やしていくので、興味ある方はどうぞ。

『奇術界報』はとても味のある会報誌です。この魅力が皆様に伝われば幸いです。

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