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ニューヨーク駐在記録「続く暗黒期」

物事はそう簡単には進まない。息子が学校を楽しめるようになるには英語力向上が必須だった。中には、英語がわからなくてもあまり気にせず、楽しく学校生活を送れる子もいる。しかし、息子は違う。息子は自分が置かれている状況をよく理解していたし、確かな自信がないと発言できないタイプだった。
キンダーガーデンの宿題はオプションだった。やってもやらなくてもどちらでもよいのである。しかし、息子は必ず提出していた。週に数回、通常クラスを抜けてESLクラスに行っていたため、そちらからも宿題がでていたが、それも全てこなした。さらに、私が買った英語の問題集も解いていたため、かなりの勉強量になっていた。
しかし、息子の英語力が上がっている実感はなかった。

友達関係はというと、他のクラスメイトともプレイデートを重ねて、順調に思えた。でも、参加した誕生日会でジャイアン的な子にいじわるをされても、英語力のなさで言い返せなかったり、息子だけ友達との会話に入れなかったりしたこともあった。

そうしているうちに、6月になった。アメリカの学校は9月はじまりなので、学年の最終月にあたる。そして、息子の誕生日月でもあった。息子の学校では誕生日に、親がクッキーやドーナツなどをクラスに持参して、お祝いをしていいことになっていた。私はカップケーキとジュースの他に、クラス全員分の折り紙を折って持って行った。息子のこと、日本のことを少しでも感じてもらいたかったからだ。子供達は息子から配られた、花や虫などの折り紙を珍しそうに見ていた。

そして、最終日。先生から成績表を渡された。キンダーガーデンは日本語に直訳すると幼稚園になるのだが、日本の幼稚園とは少し意味合いが違う。キンダーガーデンは小学校と同じ施設、先生を共有しているため、さながら小学0年生といった位置づけだった。ちゃんと教科に分かれているし、担任の先生は英語、算数、社会のみを教えて、その他はすべて専任の先生がいるのだ。そんなわけで、きちんと成績表があった。息子が楽しく学校に通えることを目標にしていたので、成績はどうでもよかったけど、成績表は英語力を示すバロメーターにはなった。
息子の英語力は上がっているだろうか?英語の教科はEnglish Language Arts、Reading 、Writing、Listening Speakingの4項目に分かれているのだが、封筒を開けて見ると、どれも4段階中2の数字が並んでいた。A4サイズいっぱいに先生のコメントが書かれてあったが、その中に「いくつかのサイトワード(重要単語)を覚えた」と記載があった。そこから、息子の英語力は微々たるものらしいことが伺えた。しかし、先生から留年の話はなく、息子は無事に1年生に進級することとなった。そして、渡米して2回目の夏がきた。

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