盆栽のように世界を撮る。
ここの所、すっかりSIGMA fpでのカラー写真が楽しくて、しばらくモノクロから離れていたのですが、また撮りはじめました。
モノクロに関しては、以前もこのnoteで触れた通り、個人的にはdp2 Quattroの描写力が好きで、すっかりモノクロ専用機と化していますが、センサーの大きさに関係なく、実によく撮れます。
で、撮っているのがこんな写真たちです。
どうでしょう。何だかちょっと不思議な「森」のように見えないでしょうか。木に対して葉っぱのスケール感が巨大になるので、小人の世界のようにも見えます。
これらはどうやって撮っているかというと、実はその辺の公園にある何でもない植え込みの根元を、クローズアップして撮影しただけの写真なのです。dp2 QuattroにManfrottoのミニ三脚を取り付け、ほぼ地面の高さにカメラを設置して撮影しています。
ことの発端は、何気なく散歩しているときに、ふと路肩の植え込みが目に入り、これを森っぽく撮ったら面白いかもなー、というただの何てことない思いつきでした。
とはいえ、どんなことでも思いついたらとりあえず行動してみるのが一番です。さっそく近くの大きな公園で適当な植え込みを探してみました。
実際にやってみると分かることがたくさんありました。
・カラーだと情報量が多すぎて、すぐに植え込みの根元だとバレてしまう。
・絞りは開けすぎてもダメ、絞りすぎてもダメ。
・順光だと絵がのっぺりとしてしまって、森っぽさがでない。
・かと言って完全逆光だとディテールが潰れすぎてしまって、何だかわからなくなってしまう。
・半逆光ぐらいがちょうどよく、「光が差し込む怪しげな森」っぽい印象になる。
・ヌケの背景は、できるだけ何も写り込まないように、明るく飛ばす感じにするとそれっぽくなる。
などなど。やっている内に、だんだんと条件のいい植え込みが分かってきたりします。
ただ、カメラを持って植え込みの近くにしゃがみこんでいる姿は怪しいので、何気ない素振りも重要です。姿勢的に画面が覗きづらくなるのですが、オートフォーカスだと想像通りの絵にならないので、そこは丁寧にマニュアルでピントを合わせています。
それでもしっかりとモニターを覗き込むことは難しいので、偶然性によるところも大きく、そこがまた面白いところでもあったりします。
とりあえず撮ってみて、「おぉ!これは森っぽい!」というのが撮れたときは、しめしめとほくそ笑んでいます。
しかし、木というのは大きさに関わらず、ディテールの見え方が単純に拡大縮小したように見えるもののようです。考えてもみれば、まさに「盆栽」のようなものなのだな、と、撮影してから気づきました。
また、公園の植え込みというのは、人間のスケール感で見ていると何とも人工的な植栽にしか見えないものですが、ちょっと視点を変えてみると、立派に自然の営みをしているのだということが分かり、なかなか趣深いものがあります。
こういう撮影をしながら、はたして公園というものは自然なのか人工なのか、そんなことを考えるのもまた、面白いものです。
ところで最近、noteやTwitterが活発でないのには理由がありまして、2冊目の本を書き始めているのです。それについての話は、どこかでまた。
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