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ANOTHER ATTITUDE〜#1浅野忠信個展「FREAK」

 ANOTHER ATTITUDEとは違う態度、別の姿勢といった意味であるが、俺はバンドを30年以上やっていて音楽が専門と言っても良い。しかし音楽以外の表現も大好きで、美術館や展覧会にも行くことがある。他にも映画や本に関してはかなり好きでたくさん読んだり観たりするため、このコーナーでは、そういった音楽以外の表現を紹介していこうと思う。
 もちろん俺の独断的感覚で興味のあるもの、素晴らしいものを紹介していくことになる。
 第一回目はアート。

 俺の著書「ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史」の、表紙と巻頭イラストを描いてくれたのが、日本を代表する世界的俳優の浅野忠信君である。
 その浅野忠信君が、2021年4月9日(金)から4月25日(日)までの間、渋谷PARCOの4階にある「PARCO MUSEUM TOKYO」にて個展を開いているというので行ってきた。
 写真撮影がOKだったために、俺なりの視点で何枚か撮ってきたのだが、浅野君本人の承諾を得て作品の写真も掲載する。
 本人に少しだけ話も聞いたので、それも合わせ、俺の観て来た浅野忠信個展「FREAK」のレポートをしていきたいと思う。

浅野忠信個展 FREAK 公式サイト
https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=639


・ ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史の表紙・巻頭イラスト決定まで

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 俺の著作を作ることが決まってからミーティングを重ねるうちに「表紙をどうするか」という問題が当然出てくる。
 最初の段階で出版元の担当者と漠然と話していた時点では、写真ではどうか?との案が出されたが、個人的にはインパクトのある絵が良いかなと思っていた。しかし俺は、プロの装丁家やデザイナーを全く知らない。ミーティングを重ねるうちに、そのときに協力してもらっていたフリーの編集者の方や、出版元の担当者から色々な素晴らしい方を教えてもらっていた。
 しかし俺としては、ハードコアやパンクを知っていてライブハウスで俺たちのシーンを体験し知っている人間に描いて欲しかった。
 そこで話しているうちに、いつもSNSで尋常ではないペースで絵を描きながらアップしているのを見ていた浅野忠信君がふと頭に浮かんできた。

 何度か俺たちのライブを観に来てくれたこともあるし、ライブで対バンもしたこともある上に、元々共通の友人である神奈川のハードコアパンクバンドPILEDRIVERとの交流も深く、ジャパニーズ・ハードコアを知っている。
 SNSで見る絵も独自のタッチがあり、描くたびに進化している過程を最初の頃から見ていた。中には好きな絵も多く、俺がやっているバンドであるFORWARDのドラムスAKIYAMAの絵も描くなど、ぴったりではないかと感じたのでオファーをしてみると、快く引き受けてくれた。

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 もちろん、日本を代表する世界的俳優であるので、浅野君を好きで日本のハードコアを知らない人は無数に存在するために、そういった人たちにも読んでもらえる機会が訪れるのではないかという期待もあった。
 そしてオファーを快諾してくれたあとすぐに、たくさんの絵を描いて送ってくれた。
 どの絵も味があり捨てがたい作品ばかりだったが、その中から編集者、出版元と俺のイメージに合う絵を選び出し、さらに修正までしてもらった。

 巻頭イラストは、俺がイメージした新大久保アースダムの楽屋の奥の通路部分の写真を送って「こんなイメージで描いてもらえないか?」と伝えたもので、表紙の絵はオファーをして承諾してくれただけの最初の段階で、浅野君がイメージして描いてくれ送ってくれたものだ。最後までどちらの絵を表紙にするか出版元と話し合い、出版された表紙になっている。以下送られてきた原画。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!