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利剣名号
まずはこちらの画像をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1674194675347-NDnkiCnFba.jpg)
特徴的な文字で「南無阿弥陀佛」と書かれています。
現代のデザインされた文字ではありません。
『利剣名号(りけんみょうごう)』という歴史のある書体なのです。
『利剣名号』とは、
南無阿弥陀仏の六字の名号を、字画の末端を剣のように鋭くして悪因縁を断ち切るように書いたもの。善導『般舟讃』の「門門不同八万四、為滅無明果業因、利剣即是弥陀号、一声称念罪皆除」(降魔偈、浄全四・五三一上)が典拠である。
『門門不同八万四(もんもんふどうはちまんし) 為滅無明果業因(いめつむみょうかごういん)利剣即是弥陀号(りけんそくぜみだごう) 一声称念罪皆除
(いっしょうしょうねんざいかいじょ)』
↓
『八万四千(数えきれないほど)にも及ぶ法門(様々な宗派や教え)には同じものはないけれども、全ては(四苦八苦のもととなる)『無明』という状態を滅し、煩悩を断つものです。その中にあって『南無阿弥陀仏』と一声でも称えれば、利剣が煩悩を断ち切るように、罪は皆除かれます』
「名号」とは、
仏・菩薩(ぼさつ)の名。これを聞いたり唱えたりすることに功徳(くどく)があるとされる。特に、「阿弥陀仏」の4字、「南無阿弥陀仏」の6字をさす。
画像の掛け軸は京都の「百萬遍知恩寺(ひゃくまんべんちおんじ)」の宝物で、第八世善阿空圓上人が後醍醐天皇より賜ったと伝わっています。
以来、剣のように鋭く尖った字画をしていて、災厄や悪縁を切り払うといわれていることから「疾病退散の南無阿弥陀仏」として、お守りやお札にもなっているそうです。
さらに、こちらの掛け軸は「弘法大師空海作」と伝わっており、『利剣名号』はおよそ1200年前にはすでに存在していた書体という可能性もあります。
浪漫ですね。
もう一つの『利剣名号』はこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1674199000036-JAo3eqPYx6.png)
徳本上人作と伝わる『利剣名号』です。
徳本上人(とくほんしょうにん)とは、
27歳のとき出家し、木食行を行った。各地を巡り昼夜不断の念仏や苦行を行い、念仏聖として知られていた。大戒を受戒しようと善導に願い梵網戒経を得、修道の徳により独学で念仏の奥義を悟ったといわれている。文化11年(1814年)、江戸増上寺典海の要請により江戸小石川伝通院の一行院に住した。一行院では庶民に十念を授けるなど教化につとめたが、特に大奥女中で帰依する者が多かったという。江戸近郊の農村を中心に念仏講を組織し、その範囲は関東・北陸・近畿まで及んだ。「流行神」と称されるほどに熱狂的に支持され、諸大名からも崇敬を受けた。徳本の念仏は、木魚と鉦を激しくたたくという独特な念仏で徳本念仏と呼ばれた。
徳本上人版『利剣名号』の特徴は、何と言っても「弥」の文字を弓矢に見立てているところです。
何故「弥」を弓矢にしたのか。
一説には、阿弥陀如来が人々を教え導くために敢えてとった恐ろしい姿である「大威徳明王(だいいとくみょうおう)」を表しているとされています。
視覚的にも剣+弓で、「疾病退散」の効果が増すようにしたのかもしれません。
以上『利剣名号』のご紹介でした。
「疾病退散」とは、今まさに求められているもの。
終わりの見えない状況を、是非とも切り裂いていただきたいと願うばかりです。
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