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#縄文 noteまとめ

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縄文に関するnoteで面白そうだなーと思ったもの、面白かったものをまとめていきます。
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#推薦図書

自在な「習合」の創造性と生命としての文化−読書メモ:安藤礼二『列島祝祭論』

安藤礼二氏の『列島祝祭論』がおもしろい。 陰と陽、生と死、死と再生、静と動、天と地、海と山、といった対立関係。 そういった対立関係にある両極のあいだで繰り広げられる、両極をひとつに結び合わせる作用や、片方の極を他方の極へと転換する作用。 その作用を、移動、移行、変身といった身体の動きによって、身を持って演じること。 密教、天台、能などへ至る日本列島の「祝祭」の儀礼の中には、そうした対立関係にある両極を媒介するための転換作用を演じる、という明確に意識された動機があるとい

純粋に雑種的であること−デイヴィッド・ライク著『交雑する人類』読書メモ

 デイヴィッド・ライク著『交雑する人類-古代DNAが解き明かす新サピエンス史』。  私たち一人ひとりの一つひとつの細胞に入っている遺伝子。その情報から、われわれのご先祖は、いつ、どこからやってきたのか、現在に生きる人類のルーツを解明しようという研究が盛んである。  数ある研究の中で『交雑する人類』が特におもしろいのは「古代DNA」を資料とする点にある。  古代DNAというのは古代人のDNAである。  生きている人のDANならば綿棒で口の中の粘膜をこするだけで簡単に集め

有料
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「縄文時代の商人たち」小山修三+岡田康博

三内丸山遺跡を中心に、糸魚川地域など他地域との「交易」が存在したのではないか、という仮説のもと繰り広げられる対談。 この本を読んでいたときに、「(縄文時代に)実際にあったの?」と質問をされたことがあったのですが、考古学上は「同種類の遺物が複数地域から発見される」ことから、「人の移動があった」ことは証明されても、「専業の『商人』が存在していたことの証明」は理論上不可能、という回答しかできません。 同種類の遺物、という意味では、例えば糸魚川産のヒスイというのは糸魚川産であるこ

「古代史の謎」に挑むー見えないものを見えるようにする観測装置としての「理論」の力

 今回読んだのは、小学館の全集「日本の歴史」の第一巻、松木武彦著『旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記』(2007)である。切れ味のよい理論で軽快に記述を折り重ねていくところがおもしろい。  歴史を記述することは、見えないものを見えるようにすることでもある。  歴史を記述するためのコトバとその理論は、いわば精密な観測装置、測定装置のようなものである。 自分で自分を再発見 電気電子の勉強を齧り始めた学生の頃、おもしろい経験をした。とある測定器を測定中モードにしたまま、