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(後編―ハンドメイドとの出会い)作家になったきっかけ

前編では学生時代のお話をしました。後編ではハンドメイドアクセサリーとの出会いと、メインテーマである「ハンドメイド作家になったきっかけ」について書きます。


幼少期から物作りが好きな私が「ハンドメイドアクセサリー」とはじめて出会ったのは大学2年生の頃でした。

ある日、友人から「クリエーターズマーケット(通称クリマ)なるイベントがあるらしいんだけど、一緒に行かない?」と誘われました(※クリエーターズマーケットは愛知県のハンドメイドイベントです)。

私はクリマを知らなかったので、クリマという言葉の響きからクリスマスみたいで可愛いな、と思いました。興味はあったけれど、生憎その日はバイトがあったので断りました。「欲しい物があれば代わりに買ってくるよ」と言ってくれたので、とある作家さんのリンゴのネックレスをお願いしました。

後日、お願いしていたネックレスを友人から受け取りました。実物は写真よりも作品のパワーが強くて驚きました。デフォルメされている部分とリアルな部分のバランスがとても良く、何より可愛い。その頃は色々悩んでいた時期だったのですが、作品を見た瞬間ネガティブな気持ちはどこかへ飛んでいきました。凄いな、素敵だな、どうやって作っているのかなと作品のことで頭がいっぱいになりました。


そして半年後、念願のクリエーターズマーケットに来場者として参加しました。

目に映るものすべてが新鮮でキラキラしていました。来場者も出展者も楽しそうな笑顔を浮かべていました。こんな世界があるのかと感動しました。市販品にはない、個性溢れる世界観やストーリーにも惹かれました。会場はまるで色とりどりの宝石箱のようでした。

それからは作品を購入したり、様々なハンドメイドイベントに行ったりするようになりました。デザインフェスタに行くために夜行バスで東京に行ったりもしました。イベントの一週間前には公式サイトから地図を印刷し、行きたいサークルさんの名前や詳細をびっしり書き込むくらい本気でした。その結果、私の手元には沢山の素晴らしい作品が増えていきました。家にいるときは何度も何度も眺めていました。


ある日のこと。話の流れで「クリマに行った」とクラスメイトに言うと「出展してたんだ」と言われ、「買う側だよ」と伝えると「出展じゃないんだ、出せばいいのに」と言われ はっとしました。どうして自分はものづくりが好きなのに作る側に立っていないのだろう、と。それと同時に「作るのは好きだけれど、自分にはできないや」とも思いました。とことん自分に自身が無かったのです。そして、出展してまで出したいものが思いつきませんでした。当時の私は買う側で充分満足していたので、売る側に立つなんて思いもしませんでした。


学祭から3年ほど経ち社会人になってからも、ハンドメイドが好きで様々なイベントに来場者として参加しました。しかし頭の中にずっと「どうして自分は出展していないのだろう」という気持ちが微かに残っていました。とあるイベントで大好きな作家さんとお話していたとき、この気持ちが突然爆発しました。「やっぱり私も出展したい。この素晴らしい作家さん方と同じ世界を見てみたい。自分はこのままじゃいけない」と。

物作りが好きで、勉強しているにも関わらず何も作っていない自分、作ったものを発表していない自分に腹が立ち、悔しいと思いました。それははじめての感情でした。


帰宅後、今すぐ応募できるイベントを調べました。「真夏のデザインフェスタ」のキャンセル待ちの募集を見つけ、申し込みました。開催間近で準備期間は1ヶ月しかありませんでしたが、その分集中して作業に取り組めました。

出展するものはシーグラスアクセサリーの一択でした。私は大学の授業の一貫で和紙素材の研究をしており、その際和紙とシーグラスを組み合わせたアクセサリーを制作していました。簀桁(すげた)で和紙を漉く行程が波のように見えたので、シーグラスを透け感のある和紙で覆い、波間をたゆたう情景を表したアクセサリーです。

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このときの作品名が「海にたゆたう」で、現在の屋号でもあります。


こちらを制作したとき、やっぱり私はシーグラスが好きだと再確認しました。それと同時に、誰かに捨てられ海に漂着したシーグラスを可哀想だとも思いました(可哀想という表現が100%適切かはわかりませんが、しっくりくる言葉が見つからず…)。誰かに必要とされ生み出された製品が役目を終えて捨てられ、波にもまれ、割れてバラバラになり、砂浜に漂着する。綺麗だと言って拾う人もいるけれど、海岸のゴミだと言われ捨てられる場合もある。人の手で生み出され、役目を終えたら人の手によって捨てられる。そんなシーグラスをアクセサリーに生まれ変わらせることで、シーグラスがもう一度誰かの宝物になれたらいいなと思ったのです。

和紙で覆ったタイプのほかに、レジンと銀箔で加工したタイプも作りました。シーグラスにレジンを塗ると、表面の曇りがなくなり艶が出るのでガラス本来の色に近づくのです。


こうして初めてのイベント出展に挑戦することで、作家への第一歩を踏み出したのでした。(初出展の話はまた後日…)


長文になりましたが以上になります。

わかりやすく伝えるためにハンドメイド作家と書きましたが、果たして私は作家なのかと聞かれると、まだピンと来ていません。活動を初めてもうすぐ3年が経ちますが、活動を始めたきっかけや自分が好きな物事、関わってくださった方々の言葉を心に留め、本日も制作に没頭します。


次回はもっと短い文章で何か書きますね。最後までご覧いただきありがとうございました。


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