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ひきこもりとともに歩き、学び、遊んだ色色

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ひきこもり支援をしながら、ひきこもりの人たちとともに歩いて、学んで、そして遊んだ様々なことをつづったものです。無償で気軽に読める短い記事やレポートを集めています。もしよければご一…
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#訪問支援

社会福祉の落とし穴 B型作業所を突然クビに…

最近、埼玉県S市のさるB型の作業所に通う、ひきこもりがちの若者が、一度のトラブルで突然、契約解除(クビ)になり、一人暮らしをしていることもあって、経済的問題や深刻な孤立状態の到来で途方に暮れています。 きっかけは、土曜日の作業所での作業終了後、彼(A君)に突如、ある発作が起き、どうも作業所のスタッフに暴言を吐いてしまったようです。 ちなみに障害者の作業所には大きく2種類あって、A型作業所は雇用契約を結び、B型作業所は労働者としての雇用契約を結びません。一般にB型作業所は、

孤立の壁がもたらす家族の焦り

ひきこもりが回復していく際、孤立、成長、自立の3つの大きな壁を乗り越えていく必要があると、よく話していますが、一番時間のかかるのは、最初の孤立の壁だったりします。 この孤立の壁を乗り越えるときに、特にご家族はいつ終わるかわからない「無限の焦り」というようなものを感じることがあります。 なんらかの変化が実感できればまだしも、家族としてできることをやっているのに、なぜか成果が出ない。そんな時間が何ヶ月も、下手すれば何年も続いてしまうと、参ってしまうのも無理はありません。 え

ゲームも捨てたものではない

暗い話ばかりでもいけないので、明るい話も少々。ひきこもり支援の現場の話です。 インターネットやゲームの話題になると、長期ひきこもり界隈ではどうしても「深刻な依存問題」や「過剰課金による経済的破綻問題」などの話になりがちです。 それらはたしかにそういう一面もありますが、それだけではありません。悪い話ばかりではないのです。 近々、さる長期ひきこもりの若者が、さるIT関連企業に正規社員として採用されることになりました。ただ、彼はいっときほとんど家から出られない状態でした。それ

コロナ禍のひきこもり支援現場にて:突然死

僕の訪問支援をしている若者(ひきこもり)の一人が、このほど突然、亡くなったという知らせを受けました。 くも膜下出血ということです。 その方は40代で、僕が訪問してもなかなか顔を合わせられない人でしたが、最近はご家族の理解も進み、なんとかなればという期待も抱いていた矢先のことでした。 深くお悔やみを申し上げます。支援がまにあわなくて、残念でなりません。 ひきこもりの長期化にともない、当事者やご家族の高齢化も著しく進行しています。特に先月半ばからは昼夜の寒暖差で健康状態を

CVNちゃんねるの第1回をアップしました

ひきこもり支援(とフリーライター)をしている石川清です。ご無沙汰してしまってすみません。 ここ1年ほど家族教室(埼玉県朝霞市でやっているひきこもりの主に家族の集いと勉強会)と若者の集い(埼玉県朝霞市でやっているひきこもり当事者のゆるい居場所)を開けていません。そういうこともあって、YouTubeで十数分の動画を配信することにしました。 とりあえずCVNちゃんねるという名称です。もしよろしければご覧ください。 第1回の放送のURLは以下です。 https://youtu

コロナ禍のひきこもり支援⑤ 半沢直樹は大人のチート信仰!?

先日、あるひきこもりの若者と話しました。 コロナ禍でも訪問して直に面談することはけっこうあって、3分の1以上は直に面談しています。半分以上はモバイル面談になっていますが。 その話の中で、最近のライトノベルやアニメの流行の話になりました。 いわゆる「なろう系」(小説家になろう、というサイトに多くみられるライトノベルの一つのパターン)といわれる転生チートもの(まず今の世の中で事故などで死ぬなどして、別世界に生まれ変わる=転生する。すると、不思議なことに最初から最強、最高、そ

コロナ禍のひきこもり支援② ひきこもりや家族の感染状況

さて、ひきこもり当事者とその家族の感染状況について、お伝えしたいと思います。 僕が訪問や相談など支援している方については、ひきこもり本人も家族も、今のところ新型コロナに感染した人は一人もいません。ご安心ください。(もちろん、僕と関わりのない方については、よくわかりません。それでも、一人もいないということは、ひきこもりの当事者や家族は感染から比較的縁遠いところにいると言えるでしょう。もちろん、個人差はあります。ひきこもりの中には、動きたくて動きたくて仕方ないタイプの人もいます

コロナ禍のひきこもり支援① バイトが突然消えた…

ひきこもりの当事者にとって、コロナ禍での外出自粛はどう受け取っているでしょうか。けっこう評価が難しい問題です。 短期的に見ると、年度替わりの新鮮なフレッシュマンが誕生する時期というのは、心の中で「自分だけ取り残されている…」と危機感を抱く、あまり楽しくはないと感じる当事者が多い時期です。中には、そんな元気な若者の旅立ちや新生活の情報に頑なに目や耳を閉ざしてしまう人もいます。 未成熟なパーソナリティーの残る人にとって、嫉妬という感情は、人生をもてあそぶ厄介な代物です。 た

『月刊みんなねっと』5月号に記事が掲載されました

全国精神保健福祉会連合会のだしている「月刊みんなねっと」(今年の5月号)に僕の小稿が掲載されました。もしよろしければご一読ください。 心の問題を抱えた人たちとの信頼関係の築き方を探る特集の一つとして書いたもので、タイトルは「ひきこもり支援の現場から」です。4ページほどの読みやすい分量です。いくつかの具体的な試みも記しています。 久々に(?)自分の本業(実はライター)を思い出しました(笑)。 「月刊みんなねっと」はとてもかわいらしい冊子なのですが、中には硬派な記事もあって

長期ひきこもり〜時間かけ孤立状態打破〜