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「カメラを止めるな!」を語る:vol.9〜なぜカメ止めは、何度鑑賞しても笑ってしまうのか。

  どうも、いしかわごうです。

いつも読んでいただきありがとうございます。「カメラを止めるな!」を熱く語るシリーズ、今回は第9回目となりました。

「カメラを止めるな!」の9テイク目は、9月6日にTOHOシネマズ日比谷で鑑賞しました。これは舞台挨拶付きの回です。

 カメ止めの動員が100万人を突破したということで、その記念にTOHOシネマズ日比谷で多数のキャストによる舞台挨拶が再び開催。前回の日比谷での舞台挨拶は3分で完売してしまい行けなかったのですが、今回はそのリベンジ!気合を入れて予約購入して行ってきました。

■「“ポン”デ・ミリオン 100 万人動員アツアツ舞台挨拶 」

 それにしても、100万人突破ですか・・・・カメ止めもついにここまで来たかと、一人で感激してましたよ・笑。

(※ちなみに9月16日には観客総動員数150万人を突破しました)

 舞台挨拶の回ということもあってか、観客はリピーター中心。まぁ、そうですよね。発売後にはすぐにチケットが売り切れた回ですから、当然ながら満席。会場には日暮監督のアロハシャツを着ている人が今まで以上に多くて、濱津さん人気を実感しましたね・笑。ちなみに僕は、カメ止めの白Tシャツを着て行きました。

■なぜ、何度鑑賞しても笑ってしまうのか。

 リピーターたくさんなので、上映中は前半から笑いがクスクスと起きてました。

僕自身はというと・・・9回目ともなると、物語もセリフも全部頭に入っているわけです。でも、後半の笑いどころでやっぱり笑ってしまう自分がいます。「なんでなんだろうな?」と思って、ふと考えてみました。

 「カメラを止めるな!」は、全体の構成も良いし、脚本は緻密だし、テンポも良いです。それでいて演者の個性もそれぞれ生きている、完成度の高い作品だと思ってます。でも、それだけでは、何度も笑わないはずなんです。

 じゃあ、なぜ笑ってしまうのか。

 自分の中で思い出したのが、島田紳助さんが話していたエピソードです。

 彼がМ-1の審査委員長をしているとき、漫才中にお客さんが大笑いをしていても、島田紳助さんは、笑いもせずにモニターをじっと見つめています。採点する立場のため、技術的なポイントやネタの構成などを客観的に見ているからでもありますが、爆笑を起こす漫才コンビの漫才中も、彼の頭にあるのは「こいつら、上手になったなぁ」と思うぐらいだそうです。つまり、一歩引いて観ているんですね。だから、感心することはあっても、笑わないというのです。

 でも、そんな紳助さんでも、つい笑ってしまう漫才がある。

 それは何かというと、上手いとか下手とか構成が優れているとかの視点ではなく「感情で喋っている漫才」をされたとき。これは、紳助さんでも我慢できずに笑ってしまうそうです。

 その例としてあげていたのが、M-1グランプリ2006でチュートリアルが優勝したときの漫才でした。

■チュートリアルに見る、感情で笑わせる漫才

 M-1グランプリ2006のチュートリアルといえば、最終決戦で審査員7人の全員から票を得て、史上初の満場一致、パーフェクトでの「完全優勝」を成し遂げたコンビです。

 チュートリアルが披露したのは、1本目が「冷蔵庫を買い換える」ネタ。
福田充徳が「冷蔵庫を買い換えようと思っている」という話に、異様なほどにまでを食いつきを見せて、「いつぐらいから?」、「何冷やすの?」などと勝手に妄想して興奮し始める徳井義実の構図。その姿に、福田が脅え始めるというものです。

 そして2本目の最終決戦では「チリンチリン」ネタをやっています。
ある日の朝、自分の自転車のベル(チリンチリン)を盗まれていたという話をする福田に対して、徳井がその無念さに共感し、自分も過去にチリンチリンが盗まれたときの悲しい体験談を展開していくというものです。

 確かに、あれは感情で笑わせる漫才なんですね。
今見ても、やっぱり面白い。もちろん、構成を緻密に計算して作っているからこそ成り立っているのだと思いますが、そういう設計図を感じさせないぐらい、妄想を爆発させる徳井義実の感情が先に出ていて、それで笑ってしまいます(チュートリアルのM-1の動画は、amazonプライムで配信されてます)。

ちなみに徳井さんはカメ止めを観ています。

■現場での感情の爆発と、モニター室での冷静なツッコミ

 映画「カメラを止めるな!」を何度も観ても笑ってしまうのは、ときおり、この「感情で笑いをとりにいくスタイル」を織り交ぜているからだと思うんですね。

 例えば、日暮監督が女優と俳優を罵倒する場面。
前半の冒頭で笑う初見の人はいないと思いますが、実はあの意味がわかると、爆笑してしまいます。

 あそこは、まさに感情で笑いをとっていくスタイルですよね。あとは山ノ内さん(助監督)がゲロをぶちまけられて「・・・な、なんすか、これは?」とか、は山越さん(音声マン)「ちょっとは、ちょっとだーーー!」とか、みんな感情の爆発で笑いをとっていくスタイル・笑。それをモニター室の吉野さんや藤丸さんが、本気のツッコミを入れて笑いを増幅させる・・・そんな構造がたまらなく心地良いのだと気がつきます。

 もちろん、他にも笑いのポイントはたくさんあるのですが、何度も笑ってしまうのはそこなのかなと感じますね。

■Twitterで生中継された舞台挨拶

 上映後には、お待ちかねの舞台挨拶。市橋プロデューサーの挨拶があったのちに、全員が一気に登壇してくれました。

この模様はTwitterで中継されました。男性キャストは黒Tシャツ、女性キャストは白Tシャツで登壇してました。上田監督は安定の黄色Tシャツ・笑。

■監督コンビ

 まずは上田慎一郎監督から挨拶。
「公開初日から数えて 76 日目になります。6 月23 日の初日が、大昔のように感じて、永遠のような 2 か月半でした。100万人ポンデミリオンと言ってますけど、今日で120万人を突破したそうです!それもすごいことだと思いますけど、ここいる去年の夏の撮影からずっと走り続けてくれたキャスト・スタッフのみんなと、この映画を自分の映画のように応援してくれた観客のみなさんが、一番の自慢です!」

続いて、日暮隆之監督役の濱津隆之さん。会場にはアロハシャツを着た日暮野郎が10人ほど・笑。

「そうですね。そうですね・・・・・」と言葉につまり、上田監督から「ポンコツ!」と言われる。

「映画のことですとか、映画業界に詳しくないけれど、そんな人間ですら凄いなと思うことが、身に降りかかってきて、毎日毎日・・・」と、またコメントが詰まり、しゃはまさんから「まとめてもらえますか?・笑」のツッコミ。そして、「これからも沢山の方に見ていただけたら嬉しいです…アクション!」

■日暮家の娘&母

・日暮真央役の真魚さん。
「今作のヒロインを演じた真央です!(本作のヒロイン・秋山ゆずきが不在だったため)・・・またこのメンバーで舞台挨拶に立つことができて、毎日色々なことが更新されて、再びこういう機会をもらえて嬉しいと思ってます・・・・集中していこう!」

・日暮晴美役のしゅはまはるみさん。
「ポン!でございます!(笑)。日本アカデミー賞の対象作品に入ることが出来て、これはひとえにたくさんの皆さんが観てくれて応援してくれたおかげです。本当にありがとうございます。夢のようなレッドカーペットを歩ける可能性も出てきました。そのときにはまた沢山応援してもらえたらと・・・末永くお付き合いしてくれたら」

思わず「・・・選挙演説みたいになってる」と上田監督。

■適当なプロデューサーコンビ

・古沢真一郎役の大沢真一郎さん。
「こんなに熱い経験ができた夏はもう二度と来ないのではないんじゃないかくらいの夏。それを皆さんのおかげで、上田組一同、経験させてもらいました。そして、何か賞を獲れたら嬉しいですね」

・笹原芳子役の竹原芳子さん。
客席からの「アツアツー!」の声に「熱々やろーーー!?」と応えながら挨拶。「ライブ会場じゃないんでね・笑」と上田監督。

「私のコンプレックスは目が小さくて、オデコが広くて、背が小さいこと。でも上田監督に言われて、このままでよかったと思ってます。ですから、一歩進めないで、自分のことをダメだと思っている方がいたら、人生何があるかわからないので、一歩踏み出して欲しいです」

■カメラマンコンビ

・松浦早紀役の浅森咲希奈さん

「みんなで一生懸命宣伝を頑張って、厚い壁をぶち破れてよかった。今日はまっ白な格好で気ました。今後は何色にも染まれる女優になって、朝ドラに出たいです!!」

・谷口智和役の山口友和さん
「本当に面白くてもヒットしない映画はたくさんある。しかし 120 万人もの方に観てもらえる日本映画史に残る作品になりました。そうしてくださったのは、観てくれたみなさん、応援してくれたみなさんのおかげです」

■モニター室での音響(ツッコミ役)と本来の監督役

・藤丸拓哉役の藤村拓矢さん。
「僕の小さな願いを一つだけ。6月23日の公開から 2 か月でこの熱狂ならば、来年の6月23日まで続くのでは?」

ちなみに日比谷は、上映中のセリフが他の劇場より明らかにクリアに聞こえました。だから藤村さんの「本名言うてもうてるやん」、「めっちゃカメラ目線やん」などのツッコミも、すごくよく聞き取れました・笑。あれは気のせいではないはず。

・黒岡大吾役のイワゴウサトシさん
「不倫さえしなければ、僕が主演だったのに・・・(笑)。日本全国、災害等で大変な時期かもしれません。ちょっと時間が経って、映画というものが、どこかで誰かの力になれればと思います」

■音楽担当の二人

・音楽担当の鈴木伸宏さん

「120 万人ですね。僕は音楽しかできない。音楽をやることで、これだけたくさんの人の人生に関われることを上田監督から教わりました。世界中の人たちに伝わるはず」

・主題歌担当の山本真由美さん
「出演しているわけではないですが・・・・普段、女優と落語をやっているのですが、なぜか歌を歌って。上田監督が私の歌という引き出しを開けてくれました。作品に関われたことは嬉しく思います。こんな景色を見させていただき、これから続く道も頑張っていきたい」

■主演男優

・神谷和明役の長屋和彰さん

「8 月 3 日の舞台挨拶でここに立って、もう同じ景色は見られないだろうと思っていて、自分の中でも目に焼き付けていました。でもまた今日、同じぐらい素敵な景色を見せてもらって、みんな感謝しています」

■ゾンビになるトリオ

・細田学役の細井学さん
「ここ5〜6年ほど、毎朝仏壇に『私は映画俳優です』とつぶやいてきましたが、この映画のおかげで一歩踏み出すことができました。自称・映画俳優だけで終わらないよう、これからも精進していきたい」

・山ノ内洋役の市原洋さん

「今後、自分の努力とかが実って大きな映画に出られたとしても、ここに立てるのは何人かな。それはカメラを止めるな!がみんなでやってきたから、22 人という本来ありえない人数で『行っちゃおうぜ!』となってしまう。そして、それを温かく迎えてくれる作品になりました」

・山越俊助役の山﨑俊太郎さん
「この映画が成功したとき、みんなで分析とかすると思うんですけど(笑)、自分的には、いろんな人が絡まったというか・・・・みんなでやったからこそ、それは分析できないことだと思います。不器用な人たちが頑張ってみんなで助け合う映画ですから、広がったということは、この世には不器用な人がいるんだと実感しました。だから周りに不器用な人がいたら優しい目で見てください。そういう人を場にハメてあげてください」

■おばちゃんとババア?

・吉野美紀役の吉田美紀さん
「今日はウチの母ちゃんが(ここに)来ています!自分からチケットを取ったわけではなくて、リピーターさんからチケットを譲ってもらったみたいでラッキーでした。あとでお母さん、お礼を言っておいてね。全国の皆さんもありがとう!」

・ババアと呼ばれてしまう子役の母役の佐渡未来さん
「私はちょっとしか出ていませんが、ここに立たせてもらっていることも、劇場で声をかけてもらったり、ツイッターでいいなとかリツイートしてくれる皆さん、ありがとうございます」

■カメ止めマニアじゃないと、わからないレアキャラ

・V シネ監督役の眼鏡太郎さん(本物の涙にこだわる真央に振り回される監督)
「今日は呼ばれてないのに来ちゃいました!眼鏡太郎と言います。名前だけでも覚えて帰ってください。これからも呼ばれなくても来ます!」

・テレビ局員・曽我大臣役の曽我真臣さん
「みなさん、良い表情しますねー(笑)。ちょっと個人的なことですが、先日息子が生まれました。最後までやり遂げる強い気持ちを持つ男に育ってほしい。感染者のみなさん、関係者のみなさん、妻・息子よ、愛しています!」

・相田舞役の高橋恭子さん(本来のメイク役です)
「本当にすごいですね。まだ『カメ止め!』の勢いについていけてはいませんが。私も劇中劇『ワンカット・オブ・ザ・デッド』に出たかったなぁと思いつつ…これからも頑張っていきたいと思います」

・温水栞役の生見司織さん(特殊メイク役)
「私はほとんどセリフがないのですが、そんな人間でも皆さんが覚えてくれていたり、凄い映画だと思いました。こういう景色、そして皆さんの笑顔が素敵なのも感動的です。そういう作品に関われたのが本当に嬉しく思います。これからも『カメラを止めるな!』は前進していきます」


・・・とまぁ、総勢20人なので、一人一人が軽く挨拶しただけでも30分ぐらいかかりました。

個人的には、ゾンビなどの特殊メイク役をこなす温水栞役の生見司織さんが印象的でしたね。というのも、テイク数を重ねていくと、職人肌の良い仕事している彼女の存在に目が行くようになっていたのですが、舞台挨拶などには登壇しないので、すごく気になっていました。ようやく会えてうれしかったですね。

そして挨拶後は、報道陣向けのフォトセッション。

最後は「一本締め」ならぬ「いっポン締め」でした。しゅはまさんが主導するのですが、キャストのみなさんも意外とポンのやり方を知らず、とまどう・笑。

手の向きとかは知っていても、どっちの足を出すのか・・・左足を同時に前に突き出すみたいです。

みんなで「ポン!」で終了。帰りは、キャストによるお見送りもあり、大満足でした。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

以上、「カメラを止めるな!」を語るシリーズの第9回目でした。

※「カメラを止めるな!」を語るシリーズのバックナンバーはこちらです(「いいね!」や「オススメ」をしていただけると嬉しいです)。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.1〜出会いと初鑑賞を振り返ってみる。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.2〜手に負えないことをしないで、何が映画だ。

「カメラを止めるな!」を語る:vol.3〜最高すぎる空間だった「絶叫ナイト」を振り返る。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.4〜人生のカメラを止めるな! それがアツアツポイントです。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.5〜カメ止めTシャツをゲットするまでのあれこれ。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.6〜映画監督とサッカー監督の話。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.7〜日暮真央の頬にあった絆創膏の謎を探れ。

・「カメラを止めるな!」を語る:vol.8〜ようやく会えた上田慎一郎監督。そして、「わからなさを信じて進む」ということ。


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