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AIと共に歩む企業の未来 - 石川樹脂工業株式会社のChatGPT part1


専務取締役 石川 勤です。今回から連載形式で、我々の企業がAIを導入した背景、過程、成果について詳しくお話ししていきたいと思います。

背景

石川樹脂工業株式会社は、石川県加賀市を拠点に、"ARAS"などの自社ブランドを推進しつつ持続的な成長を追求してきた中小製造業者です。社内効率化を目指し、製品の品質向上、生産工程の効率化、情報共有の強化など、ロボットやAIを活用した多岐にわたる取り組みを推進してきました。しかし、地域性や業種特有の課題から、外部からソフトウェアエンジニアを確保することが難しい状況に直面していました。このため、新たなスキルを習得したエンジニアの育成や新プロジェクトの立ち上げが充分に進むことがありませんでした。

課題

我々は、Slack、Google Workspace、Notionといったデジタルツールを積極的に導入し、日々の業務を進行させてきました。しかし、具体的な現場の例を挙げると、以下のような課題が浮き彫りになります。

  1. データの断片化:一つのプロジェクトに関連する情報が各種ツールに散在し、全体像が掴みにくい状況がありました。具体的には、新製品の開発プロジェクトを考えてみましょう。その設計図はGoogle Drive、関連する会議の議事録はGoogle spreadsheet、製造工程の進捗はSlackや生産管理ソフトと、それぞれ異なるツールに情報が保管されていました。これにより、全体の状況を把握するためには、複数のツールを頻繁に行き来する必要があり、非効率的でした。

  2. 手作業によるデータ転記:各ツール間のデータ共有が自動化されていないため、頻繁に手作業でデータの転記が必要でした。たとえば、新製品の開発スケジュールをGoogle Sheetsで作成した後、それを手作業でNotionに転記し、さらにSlackでスタッフ全体に共有するという一連の作業が必要でした。

  3. ツールの機能制限:我々の独自のニーズを満たすためには、自社でツールをカスタマイズしたり、新たな機能を追加したりする能力が求められました。しかし、我々のソフトウェア開発能力には限界があり、自社でソフトウェア開発を行うスキルを持つスタッフが不在でした。

これらの課題を解決するためには、我々自身で適応するソフトウェアを開発することが求められていました。しかし、そのためにはソフトウェア開発の専門家を確保する必要があり、その難しさは次節で詳しく説明します

地方中小企業がソフトウェア開発の専門家を確保する難しさ

私たち石川樹脂工業株式会社が直面している、ソフトウェア開発の専門家を確保する難しさについて詳しく解説します。地方中小企業として、我々は以下の三つの主要な問題に直面しています。

1. 地域性の問題

私たちの本社は石川県加賀市に位置しています。この地域は自然豊かで生活するには魅力的ですが、ITの求人市場としては都市部ほど活況とは言えません。新たなキャリアを追求するITスペシャリストやスキルアップを望むエンジニアにとって、この地域でのチャンスを見つけることは容易ではありません。

2. 給与や福利厚生の競争力

一部の大手IT企業はエンジニアに年収2,000万円以上を提供していますが、それは、地方中小企業が経済的に受け入れることができる範囲としては非常に難しい給与になります。そのため、前項の地域性も含めて、優秀なITエンジニアの確保が非常に困難になる主因となります。

3. 教育とトレーニングの制約

我々の組織内には、そもそも経験豊富なソフトウェアエンジニアがいないため、新入社員が習得するべき技術を教える能力がありません。外部のソフトウェア開発ブートキャンプへの参加など、他の方法を探るしかない状況です。

これらの問題を乗り越えるために、私たちはソフトウェア開発の専門家を確保するための新たな方法を模索し始めました。それが次の節で紹介するソフトウェア開発の内製化と人材育成の取り組みへとつながっています。

解決策への道のり

我々の目指す生産性向上の一環として、ソフトウェア開発の内製化と人材育成に取り組んできました。この取り組みには、私自身がAI生成ツールを個人的な業務に活用するという経験が大きく影響しています。
2023年3月、OpenAIがGPT-4をリリースした際には、私はその進化に強く感銘を受けました。それまで私がChatGPTとの接点は主にコピーライティング、議事録作成、メール対応といった業務の助けになる部分でしたが、GPT-4の登場によりこれが大きく変わりました。
コーディングアシスタント機能が強化されたGPT-4に魅力を感じ、私自身がコーディングを始めました。この結果、大学の講義以来で、ほぼ未経験であったにも関わらず、僅か1週間で自身の最初のプログラムを作成し、その成果を自社の業務で使うまでに至りました。これにより、私自身の生産性が大幅に向上し、以前からの課題だったデータの断片化や手作業によるデータ転記といった問題も解決することができました。
しかし、これはあくまで私個人の成功例であり、まだ組織全体の生産性向上に直結したものではありませんでした。それでも私がGPT-4を活用して業務を改善したこの経験は、我々がソフトウェア開発を内製化し、全社の生産性向上を図るための重要な一歩となりました。そして、これがソフトウェア開発人材育成の内製化に対する我々の視点を大きく変える瞬間となりました。

まとめと次回予告

今回の記事は、私、石川 勤がGPTのアシスタントと共に作成しました。GPTは、文章の生成、文脈の理解、文章の整理といった私の言葉を補完する形で、この記事を形成するための大きな助けとなりました。私の考えを精緻に表現し、読者に分かりやすく伝えるための助言を提供してくれました。これこそが、GPTがもたらす革新の一端なのです。

この記事を通じて、私たちが直面しているデジタル化への課題とそれを解決する道筋について理解いただけたことと思います。そして、私自身がChatGPTを活用し始め、それが組織全体にどのような影響をもたらしたかについても語りました。

次回の更新では、具体的に我々がChatGPTをどのように活用しているか、そしてなぜそれを選択したのかについて深く掘り下げます。また、その導入初期で何が起きたのかという実際の体験談も共有します。私が新たにソフトウェア開発の道を歩み始め、それがどのように全社の変革を促したのかをお伝えできればと思っています。

GPTと共に、このデジタル変革の旅を進めていくことを楽しみにしています。次回の記事更新もお楽しみに。

専務取締役 石川 勤


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