牛心
肉だ、肉を食うのだ。
およそ3ヶ月ぶりの焼肉だ。
のっぴきならない事情により、3月から続けていた禁酒。
酒を断っているからには、当然焼肉も無いわけで。
ビールなしで焼肉を食べるくらいなら食べないほうがよほどましなので焼肉も同時に封印。
それが、本日解禁である。はしゃぐな、という方が無理である。
魚心あれば水心というが、牛心あれば何心なのだろう。そんなわけで八万町の牛心さんである。開店の17時半をめがけて飛び込む。
ほぼ100日ぶりの生ビール。
「幸福の黄色いハンカチ」の高倉健のように、生唾をのんで、ジョッキを両手でおしいただいて一気に飲み干す。
う、うまい!
あまりの美味さに、
思わずカウンターの向こう、目の前の店主を見上げてしまう
(・・・・・ビールってこんなにうまいものだっけ??)
(ええ、そうですよ・・・にっこり)
無言で微笑む店主の笑顔が眩しい。
「酒と泪と男と女」から泪と女を抜いた生活していると、要するに酩酊を楽しむといったことが無いので、久しぶりにアルコールがじわじわと我が脳に与える影響、周囲の喧騒や酔客のくだらない話し声や不吉な咳などが、ぼんやりとヴェールがかかったように自分とは乖離していくような心地よい感覚。それをおもうさま楽しむのだ。
そりゃ楽しいよ。楽しいともさ。
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