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#福丸小糸
『天檻』を語ろうとする不可能性と暴力性にどう向き合うか
天檻ほど語るのが難しいものはない。今まで(「天塵」「さざなみ~」)は一本のシナリオとして筋道立ったストーリーラインが用意されていたが、今回はそんなもの存在しない。各々のもつ漠然とした想いが枝分かれするように伸びていき、時にこすれあい。最後にどういうわけか一本の幹に収束する。
それはまさに『天檻』というタイトルが示すものなのだが、そればかりを追求するとノクチル各個人の物語を蔑ろにしてしまうことになる
『さざなみはいつも凡庸な音がする』パッケージングされたノクチルと物を語らず人を語るということ
伝説的なギャングスタラッパー、2PACは無実を主張した罪で投獄されたあと、悪名高いシュグ・ナイトとの契約で保釈金代わりに彼の元で「All Eyes On Me(すべての視線が俺に)」というアルバムを制作した。
その視線は2PACという史上最高のラッパーの次の動向を伺う注目の視線でもあれば、2PACという「 Amerikaz Most Wanted」を監視する警察やFBIからの視線。あるいは、彼