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石上ニモの笑った話

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石上ニモの笑った話No.028:会社の飲み会が嫌いな槍使いの話

石上ニモの笑った話No.028:会社の飲み会が嫌いな槍使いの話

 就職したてのころ、私は会社の飲み会が嫌だった。

 上司の話は説教じみているし、面白くなくても笑わないといけないし、共通の話題は仕事しかないし、本音の話をすればそもそもお互いに興味はないし。そういうのが嫌だな、という思いを表面に出してはいけないのもかなりダメだった。

 とはいえ、会社に雇われてメシを食っている身だ。そんなことでウダウダ言っていても始まらない。私は努力をした。飲み会には笑顔で参加

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石上ニモの笑った話No.027:20円で笑え

石上ニモの笑った話No.027:20円で笑え

 例えば、一回の買い物で、クーポンを利用したりポイントを溜めたりして、20円得できるとする。この20円の得を嬉しいと感じる人間と、そうでない人間がいる。

 時と場合によるけれども、私は、基本的に嬉しくない派だ。

 まず、ポイントカードに類するものが、昔から好きではない。ポイントカードを管理したり、たまたま持っていくのを忘れたり、財布から出し入れしたり、有効期限が切れて使えなかったり、「いついつ

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石上ニモの笑った話No.025:オリジン弁当のおばちゃん1

石上ニモの笑った話No.025:オリジン弁当のおばちゃん1

 前に住んでいたアパートの近くにオリジン弁当があったので、よく利用していた。今日はそのころの話。

 ある日の夜、オリジンで晩ごはんを買った。たまたま大きい紙幣しか持ってなくて、5000円札を出した。そしたら、店員のおばちゃんが

「5000円入りま~す」

と大きめの声で言った。恐らくは日本特有の、「高額紙幣を扱うときにダブルチェックしてますよアピール」である。

店員1「10000円入りま~す

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石上ニモの笑った話No.023:ガッキー

石上ニモの笑った話No.023:ガッキー

 何年か前、クロスバイクというちょっといいチャリを買ったので、県境を越えてみることにしたときの話。目的地は、隣県のでっかい公園だ。

 あれは最高の一日だった。

 天気は晴天。朝に出発し、10時ごろには隣県に到着。モスバーガーで朝飯を食い、昼前に公園についた。芝生に寝転び(効果音でいうと「ダッシー!」という感じ)、公園内を自転車で悠々と走って汗を流したあと、あらかじめ調べてあった温泉施設へ。ひと

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石上ニモの笑った話No.022:スキマスイッチの大橋さんのロングトーンが超ロングだった話

石上ニモの笑った話No.022:スキマスイッチの大橋さんのロングトーンが超ロングだった話

 かなり前、友人の海老くんの誘いで、スキマスイッチさんのライブに行ったときの話。

 曲の途中で、アーティストが客席のところを走って通っていくみたいなのがあったんだけど、ボーカルの大橋さんが、私のいる席の真横をダッシュで通った。どさくさにまぎれて、背中を触ってしまった。背中は熱かった。そして、超かっこよかった。スターだった。スターだったし、スター状態でもあった。マリオのやつね、スター状態。

 そ

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石上ニモの笑った話No.021:千年パズルと私

石上ニモの笑った話No.021:千年パズルと私

 遊戯王という漫画を知っているだろうか。今日は、その漫画に出てくるアイテムの話をする。ほんの少し、ネタバレにならない程度のネタバレを含むので、ご注意願いたい。

 そのアイテムというのは、千年パズルという名前で、主人公の大切な持ち物だ。物語の最序盤、主人公がこの千年パズルを完成させることで、大いなる冒険の幕が上がるのだけど、それは今回したい話とは関係がない。

 この千年パズルはかなり厄介なアイテ

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石上ニモの笑った話No.020:小学生の気の利いた誘い文句

石上ニモの笑った話No.020:小学生の気の利いた誘い文句

 今日は短い話を。

 小中の同級生のS君は、昔から、エンタメ的な意味でのセンスのある男だった。中学生のころ、彼から受けた遊びの誘いの文句が素晴らしくて、今でもはっきりと覚えている。

 私の家の近所に、揚げ物屋さんがあった。ヒレカツとか、チキンカツとか、ささみカツとか、そういうものが並んでいるようなお店だ。そのお店はデリシャス・フライ・タナカ、略してタナカと呼ばれていた。中学生になって、4桁(¥

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石上ニモの笑った話No.019:若林正恭さんのファンです

石上ニモの笑った話No.019:若林正恭さんのファンです

 私はオードリーの若林正恭(わかばやし まさやす)さんの大ファンで、いつか、私の漫画が若林さんの目に触れる日が来ないかな、という密かな夢を持っている。密かな夢なので、当然、内緒にしている。若林さんとコネクションを持つ方が読者諸兄にいらっしゃったとしても、これは私の密かな夢であるので、どうかご本人には伝えないでほしい。いや、嘘。伝えてほしい。絶対に伝えてほしい。絶対に、確実に伝えてほしい。

 今、

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石上ニモの笑った話No.017:キャッチコピーの大胆な嘘

石上ニモの笑った話No.017:キャッチコピーの大胆な嘘

 大胆すぎる嘘は、笑ってしまう。

 その嘘に対する嫌悪感とか、そういうのを、光の速さで追い越していくんだよね。「嘘つけーーー!」という感情が。「嘘つけ」が、圧倒的なタイムでゴールテープを切っちゃう。

 例えば、企業のキャッチコピーやスローガンなんかには、大胆な嘘が含まれているものがたくさんあって面白い。

 そもそも企業におけるスローガンやキャッチコピーというのは、結局は、消費者にいいイメージ

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石上ニモの笑った話No.016:小学校のころの夢

石上ニモの笑った話No.016:小学校のころの夢

 小学校のころ、「夢のノート」を作りましょう、という授業があった。意味は割とそのまんまで、「自分の夢について書きましょう」「夢に向かって、なんでもいいので頑張ってみましょう」というノートだ。

 私はこの授業を通して、漫画家になりたいという夢をはっきりと自覚した。(そして、数年後にあっさりと諦めることになる。)

 「夢のノート」は、作って終わりのものではなくて、どんどんと書き込んでいき、2冊、3

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石上ニモの笑った話No.015:正直な男

石上ニモの笑った話No.015:正直な男

 大学の同級生のN君は、非常に正直な男ゆえに、就活に苦労していた。これは、N君と模擬面接をして遊んだときの話である。

 就活も終盤になり、内定を得て自由を手にする同級生が増える中、内定のなかったN君はだいぶ落ち込んでいたようだった。面接まではどうにかこぎつけるのだけど、そこから先がどうも芳しくないそうだ。

 内定のないN君と、内定のあるG君と、石上の3人で喋っていると、内定のあるG君は、調子に

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石上ニモの笑った話No.013:韓国旅行の思い出

石上ニモの笑った話No.013:韓国旅行の思い出

  センシティブな内容なので、関係各位のお気に障らぬよう、気をつけて書くことにする。親友のイモくん・海老くんとは、年に1回、3人で海外旅行に行っていた時期がある。今回は、そんな韓国旅行での話だ。

 パッケージのツアーではなかったので、適当にぶらぶらするつもりだったのだけど、現地のコンダクターさんにツアーへの参加を勧められた。その中で一番目を引いたのは、「38度線を見よう」というもの。38度線とい

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石上ニモの笑った話No.012:女子に告白されたイケメン小学生の話

石上ニモの笑った話No.012:女子に告白されたイケメン小学生の話

 私の小学校で起きた、告白にまつわる話。なお、この話には、私は直接関与していないので、全て又聞きである。

 同級生のJ君は、女子にモテる男だった。小学生ながら、スポーツで鍛えた体はスラッとスマートだったし、顔面も整っていた。勉強もよくできた。性格も温厚で真っ直ぐで、しかも努力家。もはや記憶が捏造されている可能性もあるが、転校生だった気もする。モテる要素の塊のような男だ。

 こんなJ君なので、日

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石上ニモの笑った話No.011:英語の小レポートをでっち上げたときの話

石上ニモの笑った話No.011:英語の小レポートをでっち上げたときの話

 大学の英語の授業の話の続き。

 そんなこんなで、英語に翻弄される日々が続き、私はすっかり英語が嫌いになった。最低限、なんとか単位を取ればそれでいい。英語なんか知るか! と思っていた。

 となれば、授業に対する意欲など湧こうはずもない。出席し、言われたことをやり、課題のレポートを提出するだけがミッションだ。頭では分かっているが、とにかくやりたくない気持ちが先行する。授業自体も、致命傷にならない

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