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どの子も日記が書けるようになる段階的指導 第1,第2段階

日記が苦手な子供がいることと思う。
日記を書く力は、放っておいても育たない。
「日記の書き方」を子供が自ら発見していくことは、とても大切なことであるが、何もかも子ども自身で見つけていくことは困難である。
だから、「誰か」が「教える」必要がある。

今日から数回に分けてお伝えする指導方法は、私が実践したものだ。
私の経験では、この方法によって、どの子も日記が書けるようになった。
日記指導で困っている教師や保護者の方にとってお役に立てれば幸甚である。
なお、紹介する方法は、1年生からの指導を想定しているが、子供の状態に合わせて、「この辺りが合っていそうだ」というところから参考にしていただければと思う。

第1段階 読むことと言葉で言うこと

日記指導に限らず、子供にとって難しい学習内容・技能を身に付けるのは、「段階的指導」が有効だ。

日記指導における最初の段階として、私は、①日記を読むことと、②声に出して言葉で言うことを大切にしてきた。
どちらも、「記述前」の指導であり、第「0」段階と言ってもよい。

①日記を読む

他の子供などの書いた日記を読む機会を、繰り返し設けるとよい。
教科書の例文や書籍、インターネットなどでいくらでも探せる。
「日記」とは、何についてどのように書くものなのか、題材と書き方について、他者の日記を読むことで子供に気付かせたり、理解させたりするのである。
これは初歩的な段階だけでなく、その後においても有効である。
子供の日記理解・日記技能の成長とともに、読ませる日記の質を上げ、例えば個性的な対象の捉え方や優れた表現技法に気付かせるなど、その気付きのレベルを上げていくこともできる。

私は、子供がある段階に達したと判断した時には、よく夏目漱石の日記を読ませた。

②声に出して言葉で言う

文字として書き表せない子を叱ってはいけない。
「日記」とは、日々の出来事についての「かかわり方」を表す手段の一つである。だから、文字言語ではなく、音声言語でそれを人に伝えたとしても、何が悪いだろう。
「まだ書けない段階」なら、声に出して人に伝えればいいのである。

教師、保護者はこう訪ねてやればよい。
「今日、何したの。」
と。
それに対して、
「サッカーをしたよ。」
と子供が答えたなら、それをそのまま、文字に書かせればいいのである。
「さっかあをしたよ。」
慣れないうちは、句読点についてはあまり気にさせずに、話した通りに書かせればよい。これを繰り返すことで、子供は徐々に書けるようになる。

この後、より書くことの技能を高める指導方法を紹介するが、この「まず、言葉にして言ってみる」という支援の方法もまた、どの段階であっても有効である。「困ったら、言葉にして言ってみる」ようにさせるとよい。

第2段階 「したこと」を書けば十分!

第2段階は、さらに細かく3段階に分けられる。

①1文で「したこと」を

文字として実際に記述をするようになったら、「したこと」を書く。
日記として書き記す内容には、
「したこと」
「見たことや聞いたことなど」
「思ったことや考えたこと」
などがあるが、第2段階では、「したこと」を書けば十分である。

それも、一つの文だけでよい。
「さっかあをしたよ。」
「ほんをよんだよ。」
「てれびをみました。」

等々、一回の日記で、1文が書ければそれでよい。
ともかく「したこと」を書くことに慣れさせる。

②その一つの文を主語・述語の組合せで

1文で書くことに慣れてきたら、それを、主語・述語が整った文にする。
「ぼくは、さっかあをしたよ。」
「わたしは、ほんをよんだよ。」
「わたしは、てれびをみました。」

この頃になったら、そろそろ句読点を意識させたい。
正しい文字を使うこと、助詞にも少しずつ注意させたい。

なお、複数の文で書きたがる子・書き出す子が出てきたら、もちろん、大いにOKである。
ここで紹介しているのは、あくまで一般的、形式的な指導・育ちのスモールステップである。

③3文くらいでしたことを順序よく

主語・述語を整えて一つの文が書けるようになったら、文の量を増やす。
経験的に3文くらいが適当だろうと考える。

「ぼくは、さっかあをしたよ。ぼくは、ぼうるをけったよ。ぼうるは、ころがったよ。」

のように、したことを順番に思い出して、それをそのまま順序よく並べれば良い。
慣れてくると、主語を省いてもいいところに気が付くようになる子が多い。
「主語なし文」が日本語の特徴であることは、よく知られている通りである。

これで、少し日記らしくなってきた。

この続きは、次の「ヒント帳」で。

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