夏休みの課題は子供が自分でやり通せるものに
夏休みの課題は、子供が自分だけの力でやり通すことが可能なものでなくてはいけないと、考えてきた。
つまり、保護者の力を借りなくてはできないような課題は、不適切だということである。
すべての子供の家庭で、保護者が援助してくれるわけではない。
ましてや、夏休みの課題は、「保護者の課題」ではない。
「夏休みは、子供と保護者が普段以上に触れ合うことを大切にしてほしい。課題をそのために活用してほしい。」などという考えに出会うこともあるが、このような「願い」は、保護者からしたら大きなお世話である。
夏休みをどのように有効活用するかは、各家庭で決めることだ。
では、子供はどんな課題なら自分の力だけでできるか。
自由研究や読書感想文といった夏休みの<定番>課題は、子供だけでは無理ではないか。
そんな声に対して、私がこれまで行ってきたことを紹介する。
1 自由研究の事前指導は7月中に行うべし
自由研究を夏休みの課題として出すのであれば、それが自由選択であれ、全員共通課題であれ、7月中に事前指導をしておかなくてはいけないと、私は考えてきた。
事前指導もしないのに、自由研究を課題化してはいけないということだ。
その事前指導として、次のことをした。
①自由研究への取組み方を教えた
自由研究とはどういうものか。取り組むよさは何か。
テーマ設定の方法。
研究の進め方。
論文のまとめ方。
②過去の自由研究論文を複数提示し、参考にさせた
③自由研究計画書を提出させた
「テーマ」「研究の動機・目的」「研究の方法」「予想される結果」を書いた計画書を完成させて、夏休みを迎えさせた。
年によっては、予備実験もさせた。
④国語の学習と繋げた
国語の教科書によっては、6月ぐらいの教材に、<何かについて調べてレポートにまとめる>といった内容が配列されている。
この学習時に、自由研究にも触れ、関連付けた指導をした。
⑤書写の学習と繋げた
横書きの原稿用紙の使い方、書き方を指導し、研究論文を書く上で活かせるようにしておいた。
⑥総合的な学習の時間と繋げた
7月末までに、そこまでの探求の一次まとめをさせて発表会を開き、自由研究のまとめ方の<練習>を兼ねさせた。
2 読書感想文の事前指導も7月中に行うべし
読書感想文の事前指導も7月中に行った。
ただ、感想文に書く本を決めさせることまでは、しなかった。
読書も含めて夏休みの課題だからである。
次のことをした。
①読書感想文に取り組むよさ、意義を教えた
盗作の禁止も指導。
本年度なら、生成AIの使用禁止についての指導も必要だ。
②読書感想文の書き方を指導した
本選びがポイントの一つであることも指導した。
③過去の読書感想文作品を複数提示し、参考にさせた
④国語の学習と繋げた
6月から7月に配列されている物語文に対して、短い量であるが、読書感想文を書く場を設定した。実際に書くことによる書き方指導である。
⑤書写の学習と繋げた
縦書きの原稿用紙の使い方、書き方の指導が不十分な場合は、それを指導した。
ほとんどの年は、ここまでの日記指導によって概ね身に付いた状態で夏休みが迎えられていた。
3 夏休み中に「相談日」設定する
夏休みの期間中に、自由研究や読書感想文などの相談日を数日設定した。
もちろん、希望者のみが相談にやって来るというシステムである。
現在なら、学校によっては、投稿させずにタブレット端末が使えるかもしれない。
それにより、登下校の安全確保の不安が解消できる。
「夏休みは、子供を家庭に返すことに意義があるのではないか」という考えもあるだろう。
だが、私はそうは思わない。
夏休みであっても、子供との繋がりを切ってはいけない。
「ヒント帳96」では、「9月1日」の自殺を何としても防がなくてはいけない旨を書いたが、そのためにも子供との糸を繋いでおく必要があると思ってきた。
「普段が忙しいので、夏休みぐらいはゆっくり休んでほしい」と言う管理職もいたが、私は反対だ。
この考え方が、学期中の過重労働を正当化する論理に繋がるからだ。
また、「先生は夏休みがあっていい」という世間の誤解も招く。
以上が、私が行った「子供が自力で夏休みの課題に取り組めるようにするための指導」である。
もし参考になれば幸いです。