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台湾ドラマ「太陽を見つめた日々 シーズン2」(他們在畢業的前一天爆炸2)

主演:エディソン・ソン(宋柏緯)、ウー・チェンホー(巫建和)、ワン・ディンズー(王丁筑)、アイリス・フー(胡廣雯)
2017年 全6話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=Netflix公式サイトより)

シーズン1から5年後の設定

シーズン1についての記事はこちら↓

シーズン2は5年後の設定となっており、登場人物が二人を除いて変わっている。ワン・ディンズー演じる人気歌手になったアディン(王丁筑、彼女の本名は張家瑜だが、なぜかこのシーズン1の役名がそのまま芸名になったようである)、そしてウー・チェンホー演じる法学部に通って国家試験を目指しているツァイ・チェンイー(蔡成揖、シーズン1では”洪”という姓だったが、今回は実父の姓)が続投。
後の人物は新しくなっており、内容的にもシーズン1は高校生たちが抱える心の闇みたいなものに焦点が当てられていたが、シーズン2ではより政治問題、社会問題に取り組む若者たちの姿に焦点が当てられている。
全6話だが、これまたさまざまな出来事が盛り込まれた、とても濃い内容のストーリーである。大雑把に2話ずつ、一つのテーマを取り上げている。

(1)報道のあり方とひまわり学生運動

有名な歌手になったアディンは大学の講演会でゲストとして歌を披露することになっていた。しかし、大手企業イーシン(億)グループの社長ハー・シンロン(賀興龍、楊烈演)の台中間「サービス貿易協定」に関する演説中に学生たちが抗議を始め、大騒ぎになってしまう。学生たちは「お前ら、わざと社長の邪魔をしただろう!」と叱責されるが、そこに壇上に躍り出て叫ぶ一人の学生、エディソン・ソン演じる大学生のフー・シーロン(何士戎)がいた。
「わざとじゃない!」
そんな彼の姿を見たアディンは、昔のボーイフレンド、ハオユエンを思い出す。
SNSを介して知り合ったアディンとシーロン、一緒に朝食を取るが、その様子を写真に撮られ、シーロンはアディンが自分に話題を集めるためにわざと食事を一緒に取ったのではないかと疑う。

シーロンは仲間達と台湾における言論や表現の自由を守るために、大学内で報道サークルを作り、活動していた。そんな折、「ひまわり学生運動」(詳細はWikipediaのリンク参照)が起こり、運動が活発化する中、なかなかきちんとした情報が得られないため、自分たちできちんと事実を報道しようと本格的な活動を始める。

アディンは運動をする学生達を応援するために台湾の代表的なフォークソング「美麗島」を歌い、その動画をネットにあげるのだが、それがとんでもない結果を生み出すことになってしまった。

(2)中国と台湾

3話ぐらいまでは学生運動、それに関する報道のあり方など、当時の緊迫した様子がうまく描写されているが、3〜4話でさらに中国と台湾のあり方というのが二人の登場人物によって描写される。

報道サークルには、アイリス・フー演じる中国本土からの交換学生ホアン・チャン(黃茜)が入ってきた。台湾に多くの憧れを持ってきた彼女、中国に対する台湾人の差別感情を知り、複雑な気持ちになる。報道サークルで台湾人と一緒に活動しながら感じた思いをチェンイーに、そして記事という形にしてぶつけていく。

科学技術が発達すれば気持ちが伝えやすくなると思っていた。でも、そんなことは誰も望まず多数派になりたがるだけ。
だが台湾の差別には、言論の自由という大義名分がある。

一方、「美麗島」を歌ったアディンは、メディアから「台湾独立派に加担している!」として非難を浴び、中国本土のCM契約が全て打ち切られ、莫大な違約金を請求されてしまう。所属事務所も中国市場に忖度し、アディンに公式謝罪をするように迫るのであった。

(3)大気汚染問題

大学を卒業し、報道社に勤めるようになったシーロンは、謝罪拒否して芸能活動できなくなったアディンと郊外の村に住むが、親戚の子が肝臓癌になってしまう。そしてその原因が村のすぐそばにある大手企業イーシングループの工場から排出される有害物質が原因ではないかと疑い始める。
イーシングループで働く父親、上司のベン先輩、大学卒業後検察官になったチェンイーに慎重に行動するよう注意されるものの、シーロンは暴走を始める。

シーズン1&2を通して観て

1は5話x45分、2は6話x45分と短いストーリーにもかかわらず、内容がとにかく非常に濃かった。個人的にはひまわり学生運動や、台湾人の中国に対する感情については知らなかったため、大変興味深い内容で勉強になった。
それぞれで心に爆弾を抱える若者たちの物語になっているが、2つのシーズンという続き物にしなくても別に良かったのではないかとも思う。
唯一の共通点は1の主人公ハオユエンと2の主人公シーロンの運命。この二人は直接には父親たちから、そして間接的に町の権力者、大手企業の社長から影響、圧力を受け、暴走、そして自滅していってしまうというなんともやるせない運命になっている。

そして両シーズンで出てくるチェンイー。1では彼も爆発するが、2では法律を盾にして寡黙に仲間たちを支えていこうとする。2019年の映画「ひとつの太陽」でしか彼を見たことがなかったが、これから他の作品でも見てみたい。

シーロン役のエディソン・ソン、どこかで見たことあると思っていたら、同じく2017年のBLドラマ「HIStory1:離れて、離さないで」の兄役ホーだった!髪型や雰囲気があまりにも違いすぎるので、すぐにわからなかったが、髪型についてはこのドラマの最終話で判明。爆発したシーロンが自分でロン毛を刈ってしまうのだ(だからHIStoryの方が撮影が後)。彼の全話を通してポジティブからネガティブになっていく熱血漢ぶりがとっても良かった。エディソン君、結構気に入って今別のドラマも視聴中。

こちらはドラマのオープニング曲♪ このMVだとアディンとシーロンのラブストーリーのように見えるが、そういう要素はドラマでは非常に少ないので。


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