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香港BLドラマ「大叔的愛」(「おっさんずラブ」リメイク)

主演:ケニー・ウォン(黃德斌)、アンソン・ロー(呂爵安、MIRROR)、イダン(盧瀚霆、MIRROR)、スタンリー(邱士縉、MIRROR)、レイチェル・カン(簡慕華)、コリン・チャン(陳子豐)、ヨン・ワイルン(楊偉倫)、フロリカ・リン(練美娟)
2021年 全15話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=ViuTV公式サイトより)

香港もついにBLドラマ戦場に参戦!

2020年は韓国とフィリピンのBLドラマシリーズがメキメキと頭角を表してきたが、今年はベトナムも本気を出しそうだし、そしてついに香港も戦場に乗り込んできた!しかもその第一弾が日本の人気ドラマ「おっさんずラブ」のリメイク!香港といえば、映画だと同性愛を扱ったものが昔からあるが、なんと今まではBLのドラマシリーズというのは存在していなかったようである。今年初めにニュースが出たとき、アジアBLドラマファンの間では話題になったが、その後すっかり忘れていた。というか、タイやベトナム、台湾、韓国のドラマシリーズはもはやわざわざ探さなくても、いろいろなところで最新情報が出てくるのだが、香港は結構みんなノーマークだったらしく、私もこちらのハザカイユウさんの記事を偶然みなかったら気がつかなかった。

ちょうど記事を拝見したのが配信初日だったので、早速視聴。中国語字幕しかなかったが、ストーリーはわかっているので、大いに笑わせてもらった。月曜日から金曜日まで毎日1話配信という早いペースだったが、2週目あたりからようやくアジアBLファンの間でもじわじわと話題になり始めた。

熱い男たち、主な登場人物

以下、日本版と同じ順序でメインキャストを挙げるが、役名は劇中でメインで使われていた呼び名にした(フルの役名の読み方がよく分からないので、汗)。
日本と同じく舞台は不動産会社の事務所だが、スポンサーである「香港Q房網」という実在する会社が使われている。ホームページを見てみたが、いろいろな家を見ていたら私も香港に住みたくなった。

(1) アティン(阿田、イダン演、春田創一)・・・本作の主人公、営業部員だが、明るくてだらしない。家は散らかしっぱなし。巨乳の女の子が好み。
(2) アモー(阿牧、アンソン・ロー演、牧凌太)・・・営業部員。仕事ができるエリートで、家事も得意。
(3) KK(ケニー・ウォン演、黒澤武蔵)・・・ジェネラルマネージャーで、アティンやアモーの上司。アティンのことを「ティンティン」と密かに呼んでいる。スマホ内にティンティンの大量の画像を保存している。
(4) Darren(コリン・チャン演、武川政宗)・・・アカウントマネージャー。クールな雰囲気。
(5) Louis(スタンリー演、栗林歌麻呂)・・・営業部員。優秀だが、女好きの軽いヤツ。
(6) Carmen(フロリカ・リン演、瀬川舞香)・・・営業部員。スナックばかり食べている、大のゴシップ好き。

この他に、レイチェル・カン演じるKKの20年来の妻であるFrancesca (黒澤蝶子)、エイシャ・シュー(徐㴓喬、Asha Cuthbert)演じる春田の幼馴染であるツェーチン(梓芊、荒井ちず)、ヨン・ワイルン演じるバー&レストランの店主でツェーチンの兄であるピンガ(平哥、荒井鉄平)がいる。

ストーリー、キャラ設定はほぼオリジナルに忠実

エピソード数は倍になっているものの、ストーリーはほぼ原作に忠実であった。全体的に日本版だと軽くサジェスチョンをしている部分が、本作ではきちんと会話を含めたシーンとなって、その分長くなっている感じである。しかし、決して”延ばしてる”なんていう印象は与えていない。いくつかオリジナルの設定が入っているが、全てストーリーに深みを与えるための追加部分といっていいだろう。サブカップルのストーリーもより充実させている。日本では秋に日本語字幕付きで公開されるようなので、ここではネタバレはしないでおこう。

ただ、キャラクターとして二人だけ日本版と異なるものがある。
(6)のCarmen:伊藤修子演じる”瀬川舞香”は、本作ではより可愛い女性という設定。これは別にこれでいいだろう。
(5)のLouis:これは金子大地演じる”マロ”だが、マロはある意味強烈さがあった。若者特有の言葉遣いやボキャブラリーに特徴があったのだが、本作のLouisは”軽さ”は出しているものの、アティンたちと同年代という設定であったため、何かちょっと違うと個人的には感じてしまった。ただ、私は広東語や中国語が分からないので(前半は中国語字幕、後半は英語字幕で視聴したが、私の中国語はほぼ日本人の漢字知識しかない、汗)、もしかしたら中華圏特有の若者言葉とか、そういうものが使われていたのかもしれない。

日本版を視聴した方にはオススメ

観終わってみて、やはりこれはいいドラマだと思った。ストーリーもキャラクターも、国が変わっても、俳優が変わっても、その良さが伝わってきた。
アティンを演じたイダンはMIRRORというグループのアイドルだが、田中圭とは違うルックスであるものの、はるたんのキャラクターをとても上手く出していたと思う。彼の変顔には毎回大笑いしてしまったし、悩める姿も可愛かった。

他の俳優たちも全く知らなかったが、皆それぞれのキャラに合っていてとても良かったと思う。ほとんど全員ViuTV専属の俳優のようだが、また機会があったら他の作品でも観てみたい。

ロケーションも香港の中心地だけでなく、台湾も出てくる。でも特に良かったのはランタオ島のタイオー(大澳)というところ。ここにはアモーの実家があるという設定なのだが、アモーの家で出された料理が美味しそうだったし(エビ!)、二人が散歩する街並みもとても可愛らしかった。

香港初のBLドラマシリーズを、「おっさんずラブ」のリメイクにしたのは良かったのではないかと思う。これだけアジア各国が色々な作品を出している中、オリジナルBLをいきなり出すのも勇気がいるだろう。台湾のように同性婚が合法化されているという武器があるのなら別であるが、アジアBLファンにも評価の高いこの日本ドラマなら無難とも言える。
また、本作は同性愛をテーマとし、ちょっとしたキスシーンはあるものの、ラブコメディとなっているので、割と誰にでも受け入れられるストーリーとビジュアルであると思う。ぜひ香港での一般の方々の評判を聞いてみたいものだ。
日本で公開される際も、オリジナルを視聴して好きだった方には、比較しながら楽しめると思うので、オススメしたい。

メインキャストの3人が所属する香港のアイドルグループMIRRORについては、C-POP研究所さんがタイムリーにグループ紹介の記事をあげてくださったので、ぜひこちらもご覧ください!

こちらがアンソンとイダンが歌うオープニングの主題歌《突如其來的心跳感覺》♪これはMVバージョンだが、ドラマでのオープニングはキャスト全員で”恋ダンス”風に踊っていて、これもまた日本へのオマージュっぽくて良かった。

本作を視聴し始めてから、かなり忘れている部分があったため、急遽再視聴した日本のオリジナル。


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