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中国映画「川辺の過ち」(边的错误)

主演:チュー・イーロン(朱一龙)、クロエ・マーヤン(曾美慧孜)、ホウ・ティエンライ(侯天来)
2023年 102分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★☆☆☆
(写真=中国の各サイトよりお借りしました)

飛行機で観た映画第二弾。
「広東語映画」(このエアラインではなぜか大陸ものも台湾ものも、すべてこういうカテゴリーに入れられていた)としてラインナップされていた本作、キャストを見たら一度見たかったチュー・イーロンの名があったので、お気に入りに登録しておく。

ちょっと重そうな内容だったので、台湾映画を観て、一休みしてから、元気がありそうだったので視聴してみた。

田舎町で起こる連続殺人事件

1990年代の中国の田舎町。川辺で老婦人の遺体が発見され、刑事課主任のマー・ズー(马哲)が事件の捜査を指揮することになる。すぐに容疑者は逮捕され、警察の上層部は喜んでこの容疑者を殺人者と認定し、事件を解決済みとする。しかし更に遺体が発見され、犯行現場で目撃された女性も見つかっていない状況を受け、マー・ズーは何かがおかしいと感じ、上司の意向に反して捜査を続けるが…。

東京フィルメックスより


ヨーロッパの映画祭が好きそうな作品

映画が始まった時に出てくるタイトルバックというのか、よく参加した映画祭などの名前が出てきたりするが、カンヌ映画祭のシンボルが出てきて、なんとなく「あー、そーゆー系ね」と感じてしまうオープニング。

私はあまり映画は詳しくないのだが、本作の監督であるウェイ・シュージュン(魏书钧)というのはなかなか新鋭の映画監督のようで、短編作品がカンヌ映画祭で賞を取って以来、作品が同映画祭で上映されている模様。

1990年代の好景気に浮かれる反面、まだまだ様々な意味で中国が社会的には古い体質を持っているというのが所々描かれているが、この辺はうーん、あまり個人的にはインパクトを感じなかった。

フィルムノワールという位置付けらしいが、確かに全体的に絵も暗く、殺人事件もミステリアスではあるものの、その解決に主眼を置いたものではなさそうである。

それでも川は流れ続ける

正直、内容的にあまり理解できなかったので、百度百科で原作小説のページを見てみた。
ユー・ホア(余华)という作家の実験シリーズの作品だそうで、説明によると

この小説の主な目的は、暴力のパロディや暴露ではなく、世界の死の真相を示し、不条理な世界を前にして生き残る哲学を探求することである。

百度百科より意訳

映画監督がどのような意図を持っていたかはわからないが、なるほど、少なくともなんとなく本作の意味はわかったような気になった。

中国に無数に流れるたくさんの川。その多くは日本にある規模とは比べものにならないくらい大きく、川を越えると方言も変わるとさえ言われている。
本作のタイトルにも「川」が入っており、実際に事件は川辺で起こるのだが、本作にはロケーション的な意味だけが込められていたのではないのだろう。

歴史的に何が起ころうと、川の周辺で何が起ころうと、人間が何を考えようと、川はいつでも流れ続けている。中国のそんな「川の概念」のようなものも表現されていたのかもしれない。

オススメ度は低いが、こういう分野が好きな人が多いと思うので、予告編を見て、見るかどうか決めてほしい。
チュー・イーロンは別の作品に期待。

こちらが予告編。
いかにも欧米の映画祭が好きそうな雰囲気のティーザーに仕上がっている。


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