水たまり飛んだ

水たまりが飛んでいる
ひらひらと
ぶよぶよと
海月が
波に
揺さぶられるように
風に
揺蕩っている

そうっと近づいて
つかまえようとすれば
蝶のように翻って
蜻蛉のように逃げた

わたしの
悲しそうな瞳の色が
水たまりに映り
波を打つ

それでもっと
哀しくなって
へたり込んでしまう

不意に
頬が冷んやりして
顔を上げると
水たまりが
目の前を飛んでいる

もう
つかまえるのはやめて
ぼんやり眺めて
そのうち
ゆっくりと
蒸発して
空に虹をかいていった

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