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しかく、しかく?いや、さんかく

しかく、しかく?いや、さんかく
日々この目で確かめている形の匂いを感じ取った時に置いてきた僕の感情と気持ちを殺しに未来の僕がやってくる
それを繰り返しているうちに
ああ、どれほど人間は狡猾で滑稽なんだろうと思う
私利私欲のため自らを捨てて毎日毎日同じことを繰り返しては自分が何かわからないと嘆き自分探しを始める
それに嫌気がさし、これは自分だと言い聞かせた

いらっしゃい

後方斜め28°にある右腕を鏡の中の自分のポケットの中に入れた
ポケットの持ち主の自分はニタニタしながら明明後日の方向へ走っていってしまった
追いかけるまでもないだろう
鏡には何も映っていない
鏡の中の自分役の虚像にはそこに留まっている意味はないのだから当たり前のことだ
消滅する歪みの中に全ての自分を押し込めて蓋をしよう

将来など何年か前の夏に読み終わった雑誌かと思って間違えて捨ててしまったのだ
まぁそんなものは市の図書館かインターネットに転がっているので容易く手に入るだろう

さぁ、優先して解決されるべき問題は走り去ってしまった鏡の中の自分役のポケットの中の右腕だ
トイレに流していないといいのだが
解決法は必ず僕の部屋にあるし、いつもひっそりとこちらを見つめている
目が合えば早いのだが、なんせスケールが曖昧でチャンネル争いに勝てるかわからない。
そうそう、うちの家のチャンネル権はいつも母が握っている
コーヒーの中に中学の憂鬱さをたっぷり入れて一気に飲み干した
僕は紅茶が好きでね紅茶をストレートで飲むのが好きなんだ香りがとても良くてね時間が止まってしまう
僕が嫌いなものは君のすぐ隣のあいつとボケーっとした顔したあいついただろそうあいつだよ書き起こす文面が読めたものではなくてね
君にもそういうのはあるでしょ?
そうそう僕はコーヒーが飲めないんだよ
え?君はコーヒーが好き?
はは、それは申し訳ないね
美味しい紅茶を出してあげよう
申し訳ないがうちは娯楽が少なくてねトランプか本しかないよ
ニュースが見たいって?申し訳ないテレビは前の家を引っ越すときに祖母に渡してしまって..
ははははははははは

なんて会話を部屋の押し入れの扉を開けたら聞けるから僕の家は面白い
押し入れの会話を探しているとどうやらルービックキューブを見つけたらしい
僕の家にある全てのものはちょっと普通とは違ってね
このルービックキューブは四角に見えるようで本当は三角でもあり丸でもある言葉では表現できない形に変わるのが特徴なんだ
君が目にしていない形かと聞かれたらそうではない
一度は必ずどこかで目にしているはずなんだ
でもまあ、そんなことはどうでもいいね

さっき僕の家にある全てのものはちょっと普通とは違うと言ったけどもちろん僕も君も例外ではないんだよ

ようこそ僕の家へ

その時が来るまでそこのベッドの下で眠るといいよ
実はこのあと招待している人がいてね
それまで隠れていて欲しいんだ
ああ、ベッドの下に居る先約のことは気にしなくて平気さ君のとっても見慣れている人だからね

おや、もう来たようだ早く隠れるといいよ
見つかる前にね

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