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03 朝の中央線

久しぶりに朝の中央線に乗った。いつものようにぎゅうぎゅう詰め。人とドアに挟まれて、体が小さく縮こまる。

走り出した電車の窓から外を見ると、ガラスに雨粒がついている。今日は雨だなあと、今までさんざ傘をさして駅まで歩いて来たのに、初めて気づいたかのように思う。

雨のせいか、車内がいつもより静かに感じる。今朝は目覚めがあまりよくなかったのに、電車に乗ったら頭も冴えている。それにしても静かだ。みんな大人しい。

そんなことを思っていると、傘を持っている右手の指に温かい物が当たっていることに気づいた。なんだろうと思って下を見ると、隣の女の人が提げているビニール袋。中に見えるのは、狐色の四角い塊。これはきっと食パンだ。温かいということは、きっと出来立ての。気づいて手を引っ込めた。

電車は何回か乗客の乗り降りを繰り返した。新宿で乗り換えて、新しく乗った電車も満員だったがじきに空いた。椅子に座れるようになって、この文章を書いている。満員電車で触れた食パンの異様な感じが、今も指先に残っている。

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ただずっと書いていたくて広げたノート。

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