見出し画像

2021.11.09 『ビロウな話で恐縮です 日記』

朝が起きれないのは変わらない。
最後の頭痛だと思う。雨が降ってきたので頭痛も流されていく感覚がある。雨があがれば頭痛も治るだろう。

朝ごはん
・たまごと玉ねぎベーコンの炒め物
・豆腐とネギと小松菜の味噌汁
・白米
・キウイ

つまの仕事が休みなので、後片付けをお願いする。
仕事へ行く支度をする。
合間に
・懸垂10回
・腹筋ローラー20回

次男を保育園へ連れていく。いつもしりとりをしていくが、雨が降っているので今日はしなかった。次男は雨が好き。水たまりを跳ねて騒いでいる。

出勤の電車の中では『ビロウな話で恐縮です日記』を読んでいる。
彼女の小説を初めて読んだのは『風が強く吹いている』。読み終わったとき、「何じゃこりゃ!鼻紙にもならねえ薄さだなおい!」
と思ったのを覚えている。三浦しをんなんか一生読まねえよと。
それから数年後、高校時代の同級生が面白い本だよ、と言って『風が強く吹いている』を贈ってくれた。

彼とは高校3年間の陸上部時代を共にした。
陸上部の長距離。入部した生徒の中で未経験だったのは、彼と私だけだった。
最初の1か月間は、ただただジョグを繰り返した。
同期には全中出場者も何人かいた。
彼らが走る姿を横で見ながら、早く速く走りたい、と思った。速く走りたいね、と話した。

1か月が過ぎる。
週に2回、3回と少しずつ練習に加わるようになった。一緒に練習をすると、先輩はもちろん、同期たちも想像以上に速くて強かった。
早く、速くなりたいと思った。

半年くらい経つ。徐々に部活を辞める人が出てくる。1年が経過すると、もう同期のほとんどが辞めてしまった。
彼らは、練習の辛さよりも遊ぶ時間がないつらさのほうが耐えられなかった。気の合う仲間たちや女の子たちと一緒に過ごす時間が欲しかった。
走ってばかりいるには多感だった。
辛い練習だけでは満たされることがなかった。

それでも、彼と私は走り続けた。時にはさぼったり、怠けたりしながら。走ってばかりの毎日。物足りない気持ちもあった。それでも毎日飽きもせずに走った。

高校3年の春。
二人の実力差は大きく開いた。私は地区大会をようやく勝ち抜けるレベルで、地を這うほどに遅かった。
一方、友人は県内上位の力をつけた。
大会によっては東北大会にまで出場さえできるくらいに。
いつか、彼のように、ゴールの白線を超えて、拳を空に掲げられる日が来るんじゃないかと妄想したがそれが来る日はなかった。
彼との差は日に日に開いていく。部活を卒業する頃には、後輩たちにさえ追い越された。

同じスタート地点から、速くて強い選手になった彼が、『風が強く吹いている』がおもしろい、と言った。
薄っぺらいのは本ではなく、私だと証明されてしまった。紛うことなく。私は薄い。薄っぺらい。風が強く吹いたら飛ばされてしまうほどに。

なんていう、屈折した思い出と感情を抱きながら読んでいると眠くなって本を閉じた。もうすぐ読み終わるというのに。

仕事は会議尽くめの日。
一日を終えると疲れが出る。

仕事帰りに白金台にあるボルダリングジムへ向かった。空の向こうへ四足歩行。通称そらよん。
入り口に入ると、『ビロウな話で恐縮です日記』を貸してくれた子もいた。昼から登っているので、もう帰るらしい。
着替えて、適当にアップをする。
常連の方々と一緒に登る。どこの外岩行ったとか、どこそこ行こう、とか話しながら。

副反応に参っていた先週以来の運動。リハビリ。体に鞭を打つ。
1時間も登ると疲れて背中がもう痛い。鍛えないと。

日付が変わる頃に家についた。
妻が作ってくれた夜ごはん
・オートミールとプロテイン
・ブロッコリーとにんじんとキャベツのサラダ
・ポテトコロッケ
・小松菜と豆腐の味噌汁

食べ終えたら翌日の朝ごはんの準備をする。
ぶりのガーリックソテーを作ろうとして、失敗した。
無理やり照り焼きに軌道修正して眠る。冷えていく間に味が整うといい。

【ビロウな話で恐縮です日記】
https://amzn.to/3oc2wEx
著者:三浦しをん
新潮文庫/2018年5月
初版:2009年(太田出版)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?