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ロンドンに戻るとき

絶対にやらないと決めているけれども、タバコを吸ってみたいなと思うときがある。そのときは一生来ないけれども。喘息持ちなので。

6/23に日本に帰国してから楽しい毎日を送っている。インターンに参加したり、初めてバイトの面接に受かってみたり。ファウンデーションコースの結果が出たから、友達を遊びに誘ってみたり。旅行の計画を立ててみたり。でも、輝く街を見て、美味しいご飯を食べて、ふと思うときがある。ああ、私はまたイギリスに戻らなくてはいけないのか、と。

イギリスはつらい。留学生活はきつい。助けてくれと永遠に心の中で叫びながら、私、平気ですよみたいな顔をして飄々とロンドンを歩いている。英語はできない。頭の中で考えていることを英語でうまく表現できない。もっとも、日本語で表現することもできないのだけれども。つまり、なんか言いたいんだけれども言い表せないものが頭の中に一つ一つたまっていく。学ぶものの内容も難しい。なんなん、この概念は。みたいなものが大量に出てくる。理解しにくい抽象的なものを、一つ一つ解きほぐしていく作業は骨が折れる。まわりのデキる同級生に囲まれて、日々できねーなぁと思いながら、しくしくと痛む胃と、ストレス性の咽喉頭異常感症を抱えながらロンドンで生きていくのは今までもきつかったし、これからも辛いのだろう。

日本の大学に進学したとしたら、私はどんな人生を送っていたのだろうかと、ありもしない人生に思いを馳せることがある。言葉に不便がなく、常識がほぼ同質な人間とおくる4年間は楽しいんだろうなと思う。でも、それは私にとって青い芝である。19歳から22歳を日本の大学の学生として過ごす選択肢は、私にはもう残されていないのである。イギリスの大学に進学したことに対する後悔は微塵もない。大学進学という一種の新たなステージは、私にとって、学問で使用する言語を変える最後のステージであったと考えている。自分の専攻分野を大学で日本語で学び、大学院で英語に切り替えるといった曲芸みたいな技は私には繰り出せないと思う。UCLの大学生になることは私自身の選択であった。でも、辛いものは辛いのである。これからまた3年間、私は「つらい」、「きつい」、「やってられない」、「だれか助けてくれ」そんなことを感じながら、高額な学費と生活費に呻きながらロンドンで生きていくのだと思う。

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