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#大事なことは全部マンガが教えてくれた

多くの子供と同じく、僕もマンガっ子でした。母親に「マンガ頭」と罵られながらもラクガキしまくって、気付けばゲーム業界で絵を描くのが生業になってました。影響を受けたマンガなんて数知れず。その中でも、僕の人格形成に寄与したと思われる「#私を構成する5つのマンガ」を選んでみたらこうなりました。改めて見てみるとなんともベタなセレクション。世代感が出ますね。

ゲゲゲの鬼太郎

最初はアニメから入ったんだと思いますが、原作はかなり独特のタッチで、幼心にショックを受けたのを覚えています。

戦争経験者でもある水木しげるが見ていた世界。緻密でリアルな点描画世界で、妖怪の体を取ったスピリチュアルでナチュラルなイメージが躍動していて、どこか懐かしい日本的異世界に引き込まれました。

原作の鬼太郎はかなりのアバンギャルド野郎で、どこか達観していて、煙草と珈琲を嗜み、ネズミ男と共に底辺ヒッピーライフを謳歌しています。子供だった僕はそれが何なのかわかっていませんでしたが、なんか呑気で楽しそうで、世の中を俯瞰で見ているような、その浮世離れした空気感は深層心理に刻み込まれました。

風の谷のナウシカ

カリオストロでコケた後、アニメ業界から干されたパヤオ氏が、鈴木編集長にそそのかされて始まった連載。ジブリ伝説ここに始まる。

教養に裏打ちされた圧倒的世界観と左思想。トップアニメ作家の画力演出力で、作中でひとつの生態系を完成させています。つくづく恐るべき天才の所業。

生命とは何か。人間とは何か。僕らはどこから来てどこへ行くのか。永遠普遍のテーマですが、ひとつの答まで描ききりました。

AKIRA

いわゆる「マンガ」の定義を別次元に引き上げた衝撃作で、画風共に度肝抜かれました。当時も大友ショックとかいって業界震撼だったみたいです。

基本的な筋は「ヤンキーサイバーパンク」なんですが、それが最終的には宇宙創生とかエネルギーの循環とか、壮大なサイエンス・ポリティカル・フィクションにまで行き着くスケール感。

くどくど説明しないのに、質量とは、時空間とは、エネルギーとは、みたいな事考えさせられるのはすごい。

寄生獣

まず冗談みたいなビジュアルのインパクトが凄かった。なんなら人間の顔すら人間離れしてて怖かったです。でも荒唐無稽なのは基本設定だけで、それをほぼ完全なリアリティでシミュレートしていて、それだけに物語が真実として刺さってきます。

人間というものに対する主観と客観の交錯。感情と理性のせめぎ合い。種・個としての自己矛盾、その葛藤と回答。今見ると、携帯電話普及前の世界なんですよね…。

バガボンド

スラムダンクやリアルも傑作ですが、本作の重量感はひとレベル違います。この作品を一言であらわすと「研鑚」でしょうか。目隠しして針に糸を通すような、研ぎ澄まされた集中力。緊張感。その繊細さと同居する獰猛さ。

余計なノイズをひたすら取り除いて純度を高め核心に迫る。自分は何を求めているのか。何ために生きるのか。自己の内面へ深く潜っていく作業。職人です。人生の意味って何だろうとか考えさせられます。

…もう続き描かないんですかねえ…。

まとめ

僕は高校の頃古本屋でバイトしていて、かなりの量・種類のマンガを読みました。それでも自分は結局生粋の熱血ジャンプっ子だと思ってたんですが、こうして並べてみるとかなりセカイ系なんですねえ。

フィクションの中でのリアリティとか、辻褄が合ってるものが気持ちいいみたいで、左脳より右脳、エモい系よりSF系の方が響くっぽいです。特に作家がゴリゴリ身を削って生み出したような、作家性の強いものに魅了されがちで、絵的にはもうメビウス系列か和画大好物って感じですね。

勿論、これら以外にも様々なスタイルのマンガから様々な影響を受けてきたんですが、こういうものを軸に、僕は構成されてる訳ですね。

やってみるとなかなか面白いエントリーでした。しかしこういう時につくづく思うのは、日本人に生まれて良かった〜って事ですね。


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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨