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【介護職の方へ】簡単!介護事業所の良し悪しをデータで調べる方法

はじめに

おはようございます。医療介護データ研究所 のまじめな所長 です。

今日は、「【介護職の方へ】簡単!介護事業所の良し悪しをデータで調べる方法」について書きたいと思います。

実は介護事業所のこんな情報がデータで簡単に調べられます。

・前年度にどのくらいの退職者がいたのか
・ちゃんとした給与制度になっているかどうか
・どんな利用者さんがいるのか
・施設管理者はどんな人なのか

就職・転職前には、ぜひ調べて欲しいと思い共有することにしました。

介護事業所の良し悪しがデータでわかるサイト

介護情報公表システムというサイトがあります。

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https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/

厚生労働省が介護事業所の様々なデータを公表しているサイトです。

とても便利なサイトなのですが、一般の人にはほとんど使われていないのではないでしょうか。とてももったいないです。

スマートフォンだと、アプリ版もあるのですが、アプリ版はとても使いにくいので、使わない方が良いです。WEBサイト版をスマホでも十分使うことができます。

介護事業所を検索する

法人名や市区町村で介護事業所を検索して探すことができます。

トップページで該当の都道府県を選ぶとこんなページになります。

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一番上の「介護事業所を検索する」を押すと、法人名や市区町村で介護事業所を検索できる画面になります。

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一番上のキーワード検索のところに事業所名や市区町村を入力すると、検索結果一覧が表示されます。

札幌市で検索した結果がこちらです。3153件の介護事業所がヒットしました。

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介護事業所を運営するにあたって行政に届け出ているデータを開示しているシステムですので、基本的には全ての介護事業所が掲載されています。

掲載がされていない場合、正しく行政への提出書類を出していない可能性がありますので、注意が必要です。

「詳細を見る」というボタンを押すと、各施設の詳細データを見ることができます。

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今回は、このデータの中から、いくつか見るべきポイントをご紹介します。

前年度の退職者数を確認する方法

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メニューから、① 事業所の詳細 → ② 従業者 の順でクリックすると、従業者の情報が表示されます。

この画面では、職種別の従業者の数、勤務形態、労働時間、従業者1人当たりの利用者数等の様々な情報が確認できます。

しばらくスクロールしていくと、前年度の退職者数の情報も確認できます。

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こちらの介護事業所では、前年度、常勤1人、非常勤1人の介護職員が退職しているようですね。

介護職員は全員で18人いるようですので、退職者数はそこまで多くない介護事業所と言えそうです。

他の職員の勤続年数を確認する方法

同じ画面から、他の職員の勤続年数も確認できます。前年度の退職者数のすぐ下を見てみると、その情報があります。

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右側の数値が介護職員の勤続年数になります。こちらの介護事業所では、1年未満が1人、1~3年未満が4人、3~5年未満が3人、5~10年未満が5人、10年以上が2人となっていますね。

様々な勤続年数の職員がいること、5年以上の長い期間勤務している職員が合計7人いることがわかります。

私が過去に見た中では、10年以上の職員5人、3年未満の職員5人というように、勤続年数が2極化している介護施設もありました。

このような場合、ちょっと危険な匂いがしますね・・・。

施設管理者の資格を確認する方法

同じ画面内で、施設管理者の資格も見ることができます。

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個人的には、この項目も就職先・転職先を検討する上で、大事だと思っています。

こちらの介護事業所では、管理者が介護福祉士と介護支援専門員を持っているようですね。しっかりと実務経験のある管理者であることが想像できます。

一概には言えませんが、無資格や、介護職以外が管理者の場合、施設管理が不十分に感じるケースがあります。

やはり管理者が職員の気持ちに寄り添えるのかどうかで職場環境は変わってくるのではないかと感じています。

※誤解がないように補足しますが、もちろん、介護職以外の管理者でも優秀な方はいます。事前に調べたうえで、面接などで詳しく確認するのが良いと思います。

他にも従業者のページには、貴重な情報が掲載されています。

他の介護職が有している資格、夜勤・宿直を行う従業者人数、介護職員1人当たりの利用者数などです。

職場環境を見るうえでは、知っておきたい情報ですよね。

入居者・利用者の情報を確認する方法

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メニューから、① 事業所の詳細 → ② サービス内容 の順でクリックすると、入居者・利用者の情報が表示されます。

例えば、入居者の年齢構成や要介護度を確認します。

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こちらの事業所では、要介護1が4人、要介護2が4人、要介護3が4人、要介護4が3人、要介護5が2人です。

要介護度がばらけていますが、強いて言えば、要介護1~3までの入居者が多いことがわかります。

ご自身の経験やキャリア、体力などによって、介護度の重い人が多い職場でも良いのか、介護度の軽い人が多い職場の方が良いのか、分かれてくると思いますので、ご自身に合った職場を探してみてください。

入居者の年齢構成や要介護度の下には、入居者の前年度の退去先別人数が掲載されています。

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この介護事業所では、医療機関への退去が1人いたのみだったようです。

入居者の入れ替わりが激しい介護事業所なのか、入れ替わりがない介護事業所なのか。看取りが多い事業所なのかどうか。

そんなことを確認することもできます。

処遇改善加算の算定状況を確認する

処遇改善加算をご存知でしょうか。

処遇改善加算とは、国が用意している介護職の待遇を改善するための加算です。


ここからちょっとややこしい話をするのですが、介護職の皆さんにとってはとても大事な話だと思いますので、引き続きお読みいただけたら嬉しいです。


処遇改善加算にはⅠ~Ⅴのランクがあり、どのランクを取っているかで、介護職に支給される手当の額が変わります。

この処遇改善加算の算定により、給与に最大3万7千円の差が生まれます。

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また、処遇改善加算の最高ランクを算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

<処遇改善加算Ⅰの要件>
1、職員の処遇改善の為の計画を立案している
2、労働基準法等の違反、労働保険の未納がない
4、介護職の役職に応じた職責・職務内容の要件を定めている
5、上記の内容について書面で明確にしている
6、研修の機会、資格取得支援をしており、そのための計画を策定している
7、経験年数や勤続年数、資格取得、人事評価等により昇給する仕組みを整えている
8、上記の内容を全ての介護職員に周知している
(※分かりやすくするために少し平易な表現に変更しています。)

つまり、処遇改善加算の最高ランクを算定しているということは、職員の為の制度が整っていることを示しています。

一方で、処遇改善加算を算定していないということは、職員の為の制度が整っていないことを示しています。

経験上、処遇改善加算を取っていない介護事業所の場合、経営者の方が職員の事をあまり考えてくれていないことが多いです。

待遇の事もそうですが、経営者の職員に対する姿勢を見るうえでも、この処遇改善加算の有無やランクは、就職や転職時に必ずチェックしたほうが良い項目だと思っています。

では、処遇改善加算の確認の方法を見ていきます。

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メニューから、① 事業所の概要 → ② 介護報酬の加算状況 の順でクリックします。

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続いて、「介護報酬の加算状況を見る」をクリックします。すると以下のようなポップアップがでてきます。

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このポップアップの下の方を見ていくと、処遇改善加算の有無やランクを確認できます。

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こちらの介護事業所は「介護処遇改善加算Ⅰ」を算定しており、最高ランクに位置しています。職員の為の制度が整っていることがわかります。

ただし、一番下にある「介護職員等特定処遇改善加算」は(Ⅰ)も(Ⅱ)も算定していません。

介護職員等特定処遇改善加算は2019年10月に新しく創設された加算です。

経験年数10年以上のベテラン介護職の待遇改善を目的として創設されました。

ベテラン介護職には最大で8万円程度の手当てが付く可能性がある加算です。(厳密には介護事業所により異なりますので、各事業所に確認ください。)

経験豊富な介護職の方にとっては大きな影響がある加算ですので、合わせて確認される方が良いと思います。

また、このような新しい加算への対応状況を見ることで、介護事業所の制度への対応力やスピード感を見ることもできますので、慣れてきたらそんな見方もしてみると良いのではないでしょうか。

おわりに

今日は、「【介護職の方へ】簡単!介護事業所の良し悪しをデータで調べる方法」について書きました。

最近、あまりにも職員目線を持ち合わせていない介護事業経営者の方にお会いして、失望しました・・・。

その時に、これから就職・転職する方には、そんな経営者のもとにいって後悔して欲しくないなと想い、この記事を書くことにしました。

役に立つなと思っていただけましたら、Twitterなどでシェアしていただけると嬉しいです。少しでも多くの介護職の方に知っていただけたら幸いです。

また、ビジネスサイドの方や、優良な介護事業経営者の方にとっては、今回ご紹介したサイトは、顧客分析や、競合分析に使えるサイトになります。

顧客分析や、競合分析という視点でも、いつか改めて記事を書きたいと思いますが、ご参考いただけますと幸いです。

医療介護データ研究所では、データに関する話や、医療介護業界に関する話を発信しています。

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それでは今日も良い1日を。

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