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薬剤師採用のコツ|採用市場を調査しよう

薬剤師採用のコツとは

薬剤師採用のコツは、

採用市場を調査すること

です。

・・・採用市場の調査!?

あまり聞き馴染みがない話かもしれません。

今回は、薬剤師の採用方法を紹介しつつ、どんな採用方法を選ぶにしても必要な採用のコツ、採用市場調査について解説していきます。

最新!薬剤師の採用方法トレンド

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2019年12月に厚生労働省が採用に関するアンケート調査結果を公表しました。

▼厚生労働省|採用に関するアンケート調査結果

資料の中で紹介されている薬剤師の採用経路に関する結果がこちらです。

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採用経路の第1位は、民間職業紹介事業者でした。

紹介会社を使う理由としては、「確実に求職者を紹介してもらえるため」「迅速に求職者を確保することができる」という回答が多く、急募への対応等で、紹介会社が高い存在感を示していることがわかりました。

尚、薬剤師採用における、紹介会社への平均手数料は122.5万円、年収に占める平均手数料率は22.5%とのことです。

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採用経路の第2位は、直接募集でした。

・・・直接募集の定義が分かりにくいですね。

おそらく民間会社を経由せずに、病院や薬局が独自に採用したケースを定義しているのでしょう。

大手薬局グループを中心に採用専用ホームページを充実させて直接採用にも力を入れています。

▼アイセイ薬局|採用ページ

▼スギ薬局|採用ページ

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続いて、採用経路の第3位は学校等、第4位は公共職業安定所(ハローワーク)でした。

新卒薬剤師採用の為、学校での説明会を開催するなど積極的に学校とのコネクションを作っている薬局もあるようです。

少数ではありますが、公共職業安定所(ハローワーク)を利用した採用例も見られます。薬剤師の採用はハローワークでは困難ということで、求人を出していないという話も聞きますが、可能性があるのであれば活用していきたいものですね。

採用を成功させるコツは市場調査をすること!?

採用方法を知っていても、現実に薬剤師を採用することは難しいものです。

採用に悩まれている場合、薬剤師の採用の市場調査をしてみてはいかがでしょうか。そこに薬剤師採用のヒントが隠れているかもしれません。

採用の市場調査の流れ

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採用の市場調査の流れは以下の通りです。

・市区町村別の薬剤師数を調べる
・市区町村別の薬局当たり薬剤師数を調べる
・都道府県別の平均薬剤師給与を調べる
・都道府県別の立ち位置を知る

あなたの街の立ち位置がわかったら、その立ち位置に応じた採用方法を検討しましょう。

市区町村別の薬剤師数の調べ方

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薬剤師数は、厚生労働省が発表している統計データから確認できます。

▼医師・歯科医師・薬剤師統計(旧:医師・歯科医師・薬剤師調査)

こちらの統計を使うことで市区町村別や勤務先別の薬剤師数を調べることができます。

生データを見るのは少し大変なため、私の方でも薬剤師数のデータを可視化しています。

▼薬剤師数のデータ

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左から順に、「都道府県別」「二次医療圏別」「市区町村別」の薬剤師数を確認できます。

都道府県の一覧から、都道府県を選択すると二次医療圏と市区町村が絞り込まれます。

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二次医療圏も同様に、対象の二次医療圏を選ぶと市区町村が絞り込まれます。

まずは対象となる都道府県、二次医療圏、市区町村内にどの程度の薬剤師がいて、それは全国的に見ると多い方なのか、少ない方なのかを確認してみてください。

他の地域と比較したランキングも掲載しているため、どの程度薬剤師数が多い地域なのか、比較的簡単に確認することができます。

薬剤師数が少ない場合、近隣の多い地域からの獲得や、Iターン、Uターンを狙った採用の検討も必要になります。

市区町村別の薬局当たり薬剤師数の調べ方

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採用のしやすさの視点では、単純な「薬剤師数」よりも「薬局当たり医師数」を見ることをおすすめします。

なぜ、薬局当たりでみるとよいのかは、勤務先別の薬剤師数を見るとよく分かります。

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1990年以降、薬局に勤務する薬剤師が急激に増加しており、薬局が薬剤師の主要な勤務先となっています。

1990年以降、医薬分業が本格的に進む中で、薬局での薬剤師ニーズが高まりました。処方箋40枚規制もあることから、薬局による薬剤師の積極採用が行われています。

地域別の薬局数は、地方厚生局の届出受理医療機関名簿で確認ができます。

▼関東信越厚生局 届出受理医療機関名簿

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残念ながら、届け出受理医療機関名簿は、市区町村別に集計されているデータではありません。このままでは扱いにくいため、市区町村別に集計したデータを用意しています。ぜひご参考ください。

▼薬局数データ

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薬局当たり薬剤師数のデータは以下から確認できます。

▼薬局当たり薬剤師数データ

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さらに、全国の薬局当たり薬剤師数を0として指数化したデータが次の通りです。このように加工することで、薬局当たり薬剤師数が多いのか、少ないのか分かりやすくなりますね。

▼薬局当たり薬剤師数(全国を0とした場合の指数)

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0より左側に棒が伸びている地域は薬局当たり薬剤師数が全国に比べて少ないことを示しています。逆に、0より右側に棒が伸びている地域は薬局当たり薬剤師数が全国に比べて多いことを示しています。

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例として、茨城県で絞り込みをしてみてみます。

茨城県全体では薬局当たり薬剤師数は少ないですが、「つくば医療圏」は薬局当たり薬剤師数が多いことが分かります。

このように都道府県の中でも、二次医療圏や市区町村によって傾向が異なる場合があります。

ぜひ、あなたの街の薬局当たり薬剤師数も確認してみてください。

都道府県別の平均薬剤師給与の調べ方

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続いて、平均薬剤師給与の調べ方を紹介します。

採用について考えるうえで、薬剤師数と並んで重要になる指標が給与です。

給与だけが全てではありませんが、周辺の医療機関と比べて、あまりにも給与に差があれば採用は困難になるでしょう。

給与に関するデータは、賃金構造基本統計調査で公表されています。

▼賃金構造基本統計調査

こちらのデータも可視化しています。

▼薬剤師の平均年収データ

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賃金構造基本統計調査の結果は調査年によって、給与が高めに出てしまったり、低めに出てしまったりするため、調査年の影響を軽減するために、3年分の平均値を用いています。

残念ながら、市区町村別のデータはオープンデータには存在しません。より詳細に調査する場合は、実際に対象地域の薬剤師求人を調べて、平均給与を算出することをおすすめします。

都道府県別の立ち位置を知る

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最後に都道府県別の立ち位置を知る方法をご紹介します。

都道府県別の立ち位置は、これまで調査した「薬剤師の年収」と「薬局当たり薬剤師数」のマトリクスによって表現することができます。

▼薬剤師の年収と薬局当たり薬剤師数のマトリクス

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縦軸に「薬局当たり薬剤師数」、横軸に「薬剤師の年収」を取り、都道府県をプロットしています。

このマトリクスで分けられた4象限で、採用市場が異なります。それぞれの特徴に合わせた採用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

4象限の内、右下にあるエリアは「薬剤師少・高給エリア」です。

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代表的な都道府県は、「奈良県」「岩手県」「栃木県」です。

薬局当たり薬剤師が少なく、薬剤師の平均年収が高いエリアになります。4象限の内、最も採用が難しいエリアと言えるでしょう。

このエリアに位置する場合、薬剤師採用に相応のコストがかかることを覚悟する必要があります。

経験の少ない薬剤師に対しても600万円程度の高給を提示している薬局や、たんきかんの出稼ぎ的な誘致をしている薬局の話を聞いたこともあります。

もちろん給与だけが全てではありませんが、周辺の医療機関の給与水準を確認し、求人内容を吟味する必要があります。

4象限の内、左下にあるエリアは「薬剤師少・低給エリア」です。

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代表的な都道府県は、「新潟県」「福井県」「沖縄県」です。

薬局当たり薬剤師が少なく、薬剤師の平均年収が低いエリアです。

給与での競争をしなくてよいという意味では、「薬剤師少・高給エリア」に比べると採用はしやすくなります。

薬剤師少・低給エリアに属する県では、高額の給与を提示しなくても、魅力や特徴をしっかりと伝えていくことで採用することができます。

幅広い診療科を経験出来ることや、柔軟な働き方が出来ることなど、個々の魅力や特徴を見つめ直してみると良いのではないでしょうか。

また、あえて給与を高くするという戦略も取ることができます。周囲の医療機関は、高給の提示はしていないわけですので、高い給与が差別化になります。

4象限の内、左上にあるエリアは「薬剤師多・低給エリア」です。

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薬剤師多・低給エリアの代表的な都道府県は「徳島県」「富山県」になります。

薬局当たり薬剤師数が多く、薬剤師の平均年収も低い為、他の地域と比べて採用がしやすい地域と言えるでしょう。

特に「徳島県」は、薬局当たり薬剤師数が多い都道府県です。なんと、東京都に次いで2番目に薬局当たり薬剤師数が多いのです。

徳島県の薬剤師数は2,674人(全国32位)と多くはないのですが、薬局数が386件(全国43位)と少ないことから、薬局当たり薬剤師数は多くなっています。

薬剤師の就職先の選択肢が少ないイメージですね。周辺の医療機関との違いをしっかりと打ち出すことができれば、質の高い薬剤師を選んで採用することも可能な地域であると考えられます。

4象限の内、右上にあるエリアは「薬剤師多・高給エリア」です。

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薬剤師多・高給エリアの代表的な都道府県は、「東京都」「神奈川県」になります。

薬局当たり薬剤師数が多く、薬剤師年収も高いエリアです。

薬剤師年収が高いと言っても、前述の「奈良県」や「岩手県」ほど大きく年収が高いわけではありません。「東京都」「神奈川県」は一般に平均賃金が高い地域になりますので、その影響で、全国平均よりも若干年収が高い傾向にあるのです。

最低賃金の違いに注意しながら、適切に周辺医療機関との違いを打ち出すことができれば、採用は可能な地域と言えるのではないでしょうか。

おわりに

今回は、「薬剤師採用のコツ|採用市場を調査しよう」と題して、以下の事を説明しました。

1 薬剤師採用のコツは「採用の市場調査」をすること
2 採用の市場調査は以下の流れで行う
  ①薬剤師数を調べる
  ②薬局当たり薬剤師数を調べる
  ③平均薬剤師給与を調べる
  ④あなたの地域の立ち位置をする
3 あなたの地域の立ち位置が分かったら、立ち位置に合わせた採用戦略を検討しましょう

こちらの記事を含めて、「病院・介護施設の市場調査ができるようになるnote」シリーズでは、病院・介護施設の市場調査の方法をご紹介しています。

取り上げる調査項目は以下の7つです。

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今回の記事は、項目4の「医療職・介護職の需給状況」になります。

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以上です。

医師の市場調査についてはこちらです。

次回は、看護師の採用市場について解説していきます。

またぜひ見てください。どうぞ宜しくお願いします!

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