人口自然減は過去最大の51万人超。日本の現状を人口動態統計で見る。
今回のポイント
・厚労省から人口動態統計2019年が公表されました。
・人口自然減は過去最大の51万人超とのこと。
・日本の現状を知るために、一緒に人口動態統計を見てみましょう。
厚労省から人口動態統計2019年が公表
人口動態調査とは、国が政策を考えるために毎月行っている調査です。出生数・死亡数・婚姻数・離婚数が主な調査項目です。
毎月、月報という形で情報が公表されているのですが、今回の年計は、その1年分のデータを合計したものになります。
2019年の人口自然減は過去最大の51万人超
今回の人口動態統計で印象的なのは、やはり人口自然減が51万人にものぼるということです。
人口自然減は、出生数から死亡数を引いた数です。
出生数は過去最少の約87万人、死亡数は過去最多の約138万人となり、全体としては51万人人口が減ったということです。
データのある1960年から2019年までの出生数と死亡数の推移をグラフにしてみると次の通りです。
1900年代は一貫して出生数の方が死亡数を上回っており、人口が増加していました。死亡数が出生数を初めて上回ったのが2005年です。意外と最近ですね。そこから人口減少がスタートしています。
年々、減少幅が大きくなり、今回の2019年調査結果で51万人を突破しました。
人口自然減51万人というと、月間4.25万人ペースです。これでもなかなか衝撃的ですが、最近ではさらに、減少ペースが加速しています。
2020年3月の人口動態統計速報の情報では、人口自然減は月間4.8万人でした。もはや月間5万人の人口減少に迫る勢いです。2020年はひょっとすると年間で60万人程度の減少になるかもしれません。
出生数や死亡数のグラフも見てみよう
その他、人口動態統計月報年計に掲載されているグラフを簡単に見ていきましょう。
■出生数の推移
第1次ベビーブームの時(1949年)には、約270万人を記録した出生数ですが、現在では、約87万人まで減少してしまいました。
ちなみに、この第1次ベビーブームで生まれた方々がいわゆる団塊の世代ですね。団塊の世代の方が、75歳になるのが2025年で、後期高齢者が急増することから、2025年問題と言われていますね。
■合計特殊出生率の推移
合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に産む子供の数を表したものです。
2005年以降、少しずつ回復傾向にありましたが、直近でまた下がってしまいました。年代別で見ると、20歳代が減少傾向にあり、30歳代が増加傾向にあることが印象的ですね。
■死亡数の推移
死亡者数も死亡率も年々、増加傾向です。
死亡率が増加しているというと、なんだか違和感があります。これだけ医療介護が発展しているのだから、死亡者数は増えても死亡率は減りそうなものです。
年齢階級別に死亡者数・死亡率みると、そのからくりがわかります。
■年齢階級別死亡数・死亡率
年代別の死亡者数・死亡率の特に、対前年増減に注目して見ると、70歳未満の世代では死亡者数も死亡率も前年に比べて下がっていることがわかります。
まさに医療介護が進歩しているためだと思います。
しかし、高齢者数が年々増えているため、70歳以上になると「死亡率」は下がっていますが、「死亡者数」は増えています。
そして、最後の区分である100歳以上になると、死亡者数も死亡率も増えていることがわかります。
医療介護の進展により、現役世代の死亡率は減っているものの、高齢者の割合が多くなったことで、全体としては死亡率が高くなって見えるのですね。
おわりに
今回は、厚労省から公表された人口動態統計2019年を見てみました。
昨年は平均で毎月4.25万人も人口が減っているのですから、恐ろしいことですね・・・。
高齢者の増加、年間の死者数の増加、現役世代の減少と、医療介護業界に直結する課題が山積みです。これらの課題に向き合い、新しい医療介護業界の在り方を見つけていきたいですね。
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