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なんてことない”好き”

自己紹介とかで絶対と言ってもいいほどほぼ100%の確率でくる
          「好きな〇〇は?」
食べ物、動物、季節、、、
大人になった私は聞かれるなら「好きな瞬間は?」がいい。

昔読んだ小説の中に「好きな瞬間しりとり」があったのを思い出す。
どんな本だったか思い出せないけど、好きな瞬間をしりとりにしていた。

しりとりをする相手も、「好きな瞬間は?」と聞いてくれる人も今そばにはいないから勝手に紹介するよ。


自分の髪に太陽が当たる瞬間
 
私の髪は少し茶色が混ざっている。
父は髪も瞳も真っ黒、母は明るい茶色。私の目は少し緑が入った(友達曰くそうらしい、だからそう信じている)茶色の瞳。髪は黒髪と茶髪のミックス。遺伝ってすごいなーと思った。太陽に当たると私の茶色い髪はキラキラ光ってラプンツェルの気分にさせてくれる。私の黒髪は太くて真っ直ぐで柔らかくて細い茶髪とはまた違った魅力を魅せてくれる。

生まれて17年、まだ髪は染めたことはない。色んな色を楽しむ友達を横目に何度も染めたいと思ってきたが、最近は両親の血が入ったこの髪を残したいなって思うようになってきた。多分染めるだろうけど。

銀色の包装紙の上からチョコを割る瞬間
 自分から「私の血液はチョコでできている」と言いふらすほどのチョコ好き。多分、いやほぼ確実にチョコレート依存症。母から何度も糖尿病になるよと脅しを受けているがそんなものでやめられる訳が無い。

私が好きなのは板チョコ。個包装の丸や四角のチョコもいいけどああいうのって表面が変なのでコーティングされてたりするから好きじゃない。
明治とか、ガーナとかリンドールとかの板チョコがいいのだ。
少しずつ食べようと銀色の包装紙の上に手を滑らせて、デコボコを見つける。そしてパキッと割る。それがいい。

冷蔵庫から出したばかりのはだめ。固すぎる。ピノだってパルムだって、ハーゲンダッツさえ少し待つでしょ。口に入れた時にすっと溶けるのがいいの。


焼きたてのパンを口いっぱいに頬張る瞬間
 実は私、今カナダに留学中で1年間ホストファミリーと暮らしている。私のホストはフィリピンの方。ホストマザーは育児休暇中でよくパンを焼いてくれる。初めて”スパニッシュブレッド”を食べた時のことは忘れられない。

学校から帰ってきて暇だった私は、一緒にパン作りをすることに。なぜスペイン?と、初めて聞くそのパンの名前に心を惹かれながらパンの形成を一緒に。夜ご飯の前、17:30。オーブンから出されたほかほかのそれは香ばしい香りと共に私の目の前に置かれた。

夜ご飯あるから少しだけね、と熱々のパンを手渡されすぐに口に。パンから出る湯気と香りと中のペーストと。一瞬で口の中が幸福で満たされた。
「あ〜生きててよかった」などと適当な言葉が出てきてその日以来、私の中でスパニッシュブレッドは大好きなパンになった。


新しいコンタクトを入れる瞬間
 押入れから出てきた懐かしいたまごっちに夢中で小四になった頃、急に視力がAからCに。みんなには本の読みすぎって説明したけど原因は明白だった。それから3年ほどメガネをつけてきた。学校内の”丸めがねブーム”は私がちょっとおしゃれな丸メガネをつけ始めてからだ。私がブームの火付け役だ。多分。

中学に入り、部活の事情でコンタクトに。初めて眼科でコンタクトを装着した時は目から涙が止まらず、つけるのに1時間半もかかったなあ。
2weekのコンタクトも今ではお手のもの。鏡を見ずに着けられるようになるまで長かった。

新しいのをつけるとき、液がこぼれないようにそっとパッケージを剥がして水分たっぷりのコンタクトを人差し指に乗せ目に入れる瞬間。
眼球に水分がパッと広がってなんだか魔法を与えられた気がして。早く交換日が来ないかなあ。


映画館で予告を見る瞬間
 瞬間なのか、微妙だけどこれも結構好き。
友達と映画館で映画を見るときは結構時間を気にしがち。人によっては「チケットに書かれてる上映時間になっても初めは予告だから〜」なんて言ってぎりぎりに駆け込むタイプも。絶対許せない。

上映時間の10分前には席について今日は人が少ないな、とかあそこのカップル可愛いな、とかそんなことを考えながら照明が落ちるのを待つのがいい。ホラー映画の予告が来たら目と耳を塞いで、面白そうな予告が来たら公開日をチェックする。それがいい。

ついでに言うとエンドロールの最後まで席を立たない人がいい。だって監督の名前が流れた後に特別なサプライズがあるかもしれないでしょ?
なくても照明が明るくなって一気に周りがざわざわし出した時に余韻に浸るのがいい。席を立つのは誰もいなくなってからがいい。


これ以上書き出したら止まらなくなりそうだから、トイレに行きたくなったこの辺で一旦終わろうかな。文字を綴るのは楽しいね。

すぐに思いつかないだけで大好きな瞬間はもっとある。思い出せなくていい。きっとまたその時が来れば幸福で満たされて身体中から黄色とオレンジの混じったオーラで包まれるだろうから。


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