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【書評】土偶を読む――130年間解かれなかった縄文神話の謎


この本は、縄文時代に作られた土偶の謎を解こうと試みたものです。土偶は、妊娠中の女性、地母神、植物などのさまざまな解釈がなされてきましたが、竹倉は、それらすべてが間違っていると主張しています。

彼は、土偶は「日本の最古の神話」を描いた植物像であると主張しています。

竹倉の理論は、考古学の実証的研究と図像解釈学という2つの柱に基づいています。考古学の実証的研究とは、土偶が発見された場所や時代などの客観的な証拠に基づいて、土偶の意味を理解しようとするものです。図像解釈学とは、絵画や彫刻などの視覚的表現を研究する学問で、竹倉はこれを土偶の解釈に応用しました。

竹倉は、土偶の特徴の多くが植物と一致していることを指摘しています。たとえば、土偶の多くは腕が曲がっていて、これは植物が成長する姿を反映していると考えられます。また、土偶の顔に描かれた線は、葉脈や木の枝を表していると考えられます。さらに、土偶の体の部分が組み合わさって動物や人のような形になっているものがありますが、これは植物が絡み合っている様子を表現していると考えられます。

竹倉は、土偶が植物を描いたものである理由として、縄文人が植物を神聖なものと見なしていたことを挙げています。縄文人は、植物を豊作の象徴と見なしており、土偶を神に捧げて豊作を祈ったと考えられます。また、土偶は縄文人が自然界と調和して暮らしていたことを示す証拠でもあると考えられます。

竹倉の理論は、他の考古学者から批判されていますが、多くの人から注目を集めています。竹倉の理論が正しければ、土偶は縄文時代の宗教や文化を理解するための重要な手がかりとなります。


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