SS【タケルくんの日曜日】

今日は学校がお休みだというのに、珍しく早起きしてきた食いしん坊のタケルくん。


タケルくんはいつもお母さんのお手伝いをしています。


朝は苦手なタケルくん。

でも、お母さんの「カレー作るよ！！」の声を聞いて目が冴えてきました。


まず野菜を洗って切っていきます。


ジャガイモの芽を食べてもお腹の痛くならない鉄の胃袋タケルくん。


でもお母さんのお腹が痛くなるかもしれないので、ちゃんと三角に切り込みを入れて取り除きます。


ニンジンは皮をむきません。皮には栄養が豊富だからです。


ジャガイモの皮はむかないと、煮た時にペラーーンと剥がれてくるのが気になるのでむいています。


タマネギをむく時は水中メガネを装着します。


そんな変なことをするのはタケルくんくらいかもしれません。


いつものことなのか、お母さんは何も言いません。


一口大に切った野菜と豚肉を炒め、カレー粉で味付けすると煮込み始めました。


ラーメンスープでも作っているかのように、一生懸命アクを取り続けるタケルくん。


火を止めると甘口のカレールーを入れて溶かし、大量のコーンと隠し味のブイヨンペーストも投入しました。


ふたたび火をつけ数十分後。タケルくんの自信作である豚コーンカレーが完成しました。


さっそく出来たばかりのカレーを炊きたてのごはんにかけて三杯食べると、出かける準備をするタケルくん。


今日は仲良しのミキちゃんとデートの約束をしています。


待ち合わせの公園までやってきたタケルくん。

ミキちゃんも同時に到着しました。

いつもだったらタケルくんの方が早いです。

でも今日はなぜか時間がかかってしまいました。


ミキちゃんはタケルくんを見て唖然としています。


タケルくんは言いました。


「今日はなんだか世界が違って見えるよ」


ミキちゃんは呆れ果てて苦笑いしています。


「こら、タケルくん」


「なあに？」


「水中メガネ！！」


「あっ！！」


タケルくんは顔に水中メガネのあとをクッキリと残したままミキちゃんとお出かけしました。


終