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[現代の経済的最適解]カネが必要ないという人間は、すべからくカネに支配されている

我々は良くも悪くも、人生の大部分を「お金」という財に左右されながら生きている。特に男性陣は、その社会的な圧力から様々なものを犠牲にして経済的成功を追い求める場合も多い。どんな綺麗事を並べようが、カネがある男は美女にモテるのだ。美女や社会的地位などのある種ステレオタイプな価値を感じる男は、カネが必要になると言ってもよいだろう。そのような意味では、金銭的な成功は間接的に非金銭的な成功も生み出す。はっきりいって、世の中のほとんどのものは金で買えるのだ。金は社会的信用の証であり、幸福の源でもある。異論は認める。
 
本報では、その絶対的効用をもつ金を手に入れる手段について論ずる。一般的に、「カネが全てではない」と主張する人々は、「カネを追い求めるがゆえに時間や人間関係や身体を犠牲にするとカネがあっても意味がないだろう?」と考えている。しかし、そのような問題が起こるのは、カネを集める手段が間違っているからであり、正しい認識のもと経済活動に勤しめば、自然と幸福度は向上するはずである。なぜなら、永らくこの社会を支配する原理原則は資本主義であり、ルールブックをよく読んでゲームに参加すれば、楽しめるようデザインされているからである。
 
まずは、そのルールについて簡単な説明を行う。
(※経済学について素養がある方へ内容への注意点:古典経済学における労働価値説について論争があることは重々承知しており、その上で初学者に向け基本原理の紹介という位置づけで記述している。効用価値説はややこしいので、少しだけ。)
 

資本論においては、商品の値段は価値と使用価値によって決まるとされている。価値とは、その商品を生産するのに費やした労力・コストである。例えば、ケーキを商品とすると、いちごやクリームなどの原材料、パティシエの人件費、焼く際のエネルギー費用などが価値である。一方で、使用価値はその商品の有用性・有益性によって決まる。この価値と使用価値が2つ揃ってはじめて商品に値段がつく。例えば、10年間かけて書いた日記は、どれだけ労力をかけても使用価値がないため値段はつかない。また、空気は全人類の生存にとって必須だが、得るためにコストがかからず価値がないため値段はつかない。
 
そして、実際の商品の値段は、需要と供給が釣り合っている場合、価値によって決定される。釣り合っていない場合は、使用価値などのその他要因によって多少変動することとなる。個人または企業が利益を得るためには、この商品を市場に投下し、ほしいと思った利用者に購入して貰う必要がある。
 
ここで、「生産コスト=値段なら利益は出ないのでは?」と思ったかもしれないが、剰余価値という概念で説明できる。例えば、企業が労働者を使う場合、その労働力もある種の商品として捉えられ、労働者がその労働力を生み出すために支払うコスト(価値)をもとに給料が支払われる。したがって、労働者は労働によって費やした身体的・精神的コストを回復させるための住居・食料・娯楽等にかかる費用を受け取るのである。簡単に言うと「明日も元気で会社に来てもらうために、家賃と食費と飲み代くらいはあげるよ」という次第だ。しかし実際は、人がその対価以上に働くことで生み出される利益である“剰余価値”を生み出すために、企業は支払い以上の労働を労働者に求めるため、労働者という地位に甘んじる限り、いつまでも苦しい人生を送ることになる。スキルが上がったり、年代が上がったりすれば給料は少しずつあがっていくが、それは勉強コストへの価値だったり、家族を養うコストへの価値のため生じるものだ。仕事で二倍の成果を出しても二倍の給料を得ることができないのは、それが剰余価値として企業に搾取されるからである。
 
以上が資本主義下での労働者の立場である。もっとも、現代ではマルクス時代の純粋な資本主義とは違い、社会保険や労働基準法などによって労働者への搾取は抑制されているが、その基本原理は変わっていないといえる。1867年出版の資本論は、現在では否定されている理論もあるが、基本ルールは上述したとおり理解できる。資本家が有利になるから資本主義なのであって、大多数の労働者が経済的に不利なのは当然といえば当然なのだ。
 
現代の経済体制として採用されているルールに文句を言っても仕方がないので、現在労働者として苦しむ諸兄らに、この資本主義というゲームでプレイヤーとして楽しく生きるマナーをお教えする。
 
まず1つ目に、金を得る手段として、「会社に労働力を買い取ってもらう」ことへの依存は悪手である。労働力のポートフォリオマネジメントを考えるべきだ。例えば、株を投資する場合、一社だけでなく多様な会社に投資することにより、リスクを分散しつつリターンを得るという理論がある。ひとつのかごに卵を入れると落としたときに大変だから、いくつかのかごに卵を分けて入れておこう、というのが現代ポートフォリオ理論である。これを労働力にも適応した概念が、筆者の考える労働力ポートフォリオマネジメントだ。労働力ポートフォリオ・マネジメントを最適化するためには、労働者の労働力は会社にだけでなく、市場に投資しなければならない。労働力を市場に投資するためには、会社からもらったカネを資本としてなんらかの商品・サービスをつくり、それを基に事業者・経営者として稼ぐ手段を確立するということだ。これを読んでいる諸君らは、ほんとうの意味で自ら金を稼いだことはあるだろうか。どれだけ大学や大学院で学び、高度資格・スキルを取得したとしても、それを市場で買ってもらえる商品に変換して高度人材をビジネス財に変えているのは、経営者や事業家だ。アルバイトや会社員としてもらった対価は、“稼がせてもらった”お金でしかないのだ。労働力以外に市場に投下できる商品・サービスを持つことはポートフォリオの観点から極めて重要であるといえる。近年ではこの考え方が神聖視され、FIREだったりフリーランスだったりが注目されているが、これは推奨できない。なぜなら、会社員であることにも極めて多くの効用があるからだ。日本の会社は簡単に労働者をクビにはできず、さらに年功序列が根強いため、ふつうに勤めていれば出世してある程度稼げる。さらに、大企業や公務員であれば、その権威性や信頼性が大きなメリットとなる。人間はどれだけ経済的に豊かになっても、社会的動物である限りは、学歴や所属組織などの社会階級が大きく幸福度に影響する。公務員であれば年収500万円で得られる地位が、フリーの事業家の場合1000万円あっても得られないことがある。上記を踏まえると、会社員をやりながら副業として事業を起こすことが、もっとも優れたゲームプレイングであるといえよう。このプレースタイルは、はじめに会社選びが重要となるのだが、他の回で論ずることとする。
 
2つ目に重要なことは、稼いだ資本を労働力の再生産ではなく、投資に回すことだ。労働力を資本に変換しているだけでは、いつまでたっても働き続けなければならない。ある点からは、人や金が自動的にさらに金を生み出す仕組みを創り出すことが重要である。株や不動産などが典型であり、古典的であるが故に今更面白みがないと思うかもしれないが、それは大きな間違いだ。実は、これまでに積み上げられてきた膨大な経済データから、r(資本収益率) > g(経済成長率)であることが既に明らかになっている。労働によって得られる富が年に1~2%程度であるにも関わらず、資本・資産運用によって得られる富は年5%にも達するのだ。簡単に言うと、我々が汗水たらして働いて生み出した富は、株買って寝ているだけで生み出される富の二分の一以下なのだ。あまりにも馬鹿らしい。私はこの事実を知ったとき、こんな重要なことを教えてくれなかった学校はクソだと思った。そして、こんな大事なことを知らなかった私は労働者一族の末裔なのだとしみじみと理解した。もしかすると、ここまで言っても労働は金じゃなくて生きがいだとかやりがいだとか考えている人もいるかも知れない。確かに、労働者として大企業に勤めていれば、絶対に個人では関われないビッグプロジェクトを手掛けることもあるだろう。しかし、経営活動の目標とは、高度な労働の分業によりどんな労働者でも従事できる仕事を作り、利益を生み出すことだ。必ずしも、“やりがい”とやらが感じられるとは限らないし、やりがいを感じている時点で経営者が作り出したビジョンという名の麻薬に漬けられているともいえる。私としては、実現したい社会は自分で目指すべきだし、そのためのリスク分散として会社勤めや投資であると思うのだ

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長くなってしまったが、上記二点が厳しい現代を生き抜いていく経済的マナーといえる。リテラシーある諸君には必要なかったかもしれないが、知らなかった方にとっては、多大な衝撃を与えうる記事になっただろうとも思う。人はすべからくカネから逃れることはできない。であれば、現代ルールに則ってうまくゲームを勝ち進んでいこうではないか。
 
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